地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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パリ旅行2009その4:美術館における人の動きのコントロールについて:グローバリゼーション下に見るローコスト(チープ)観光現象その2:ルーブル美術館の場合
前回のエントリ、美術館における人の動きのコントロールについて:グローバリゼーション下に見るローコスト(チープ)観光現象その1の続きです。

ルーブル美術館と言えば、その驚くべき展示品数の多さで世界的に知られていると思うのですが、実際ココに来ると、それが誇張では無い事が瞬時に理解出来ると思います。それら途方も無い数の美術作品を一つずつジックリ見て回っていたら、一体全部見るのに何日掛かるのか検討もつかない程です。実際僕は今回の旅行で既に丸々2日間、朝から晩までルーブル美術館に費やしたけど、それでも未だ回り切れていません。だから明日も行く予定なんですけどね(笑)。

「ルーブルに3日間も行くなんて、cruasanのヤツ、よっぽど暇なんだな」とか言う声が聞こえてきそうですが(笑)、その他大勢の「暇じゃない人」の為にルーブル美術館が生み出したシステムがコチラ:

パーソンカウンター

オーディオガイドを使ったExpress観光システムです。詳しく言うと、「特選コース」とか「イタリア美術コース」とか、幾つかのコースがあって、数千の作品の中からテーマ別に、数点を掻い摘んで早足で回り、この上なく効率良く観光が出来るようになっています。で、その中でもすごいのが「特選コース」。所要時間約45分で、ルーブル美術館が誇る3大目玉作品、「モナリザ」、「ミロのビーナス」、そして「ニケ」を見て回る事が出来るというものです。

むむむ・・・このシステムを最初に見た時に思った事:

「オーディオガイドの根本的なコンセプトとの逆転現象が見られるなー」でした。

前回のエントリで書いたように、オーディオガイドの本来の役割とは、美術品や芸術家、ひいてはその美術館のコンセプトをより深く理解してもらう為に生み出された道具だったんですね。つまり作品を鑑賞するだけ、もしくは作品の前になぐさみ程度に掲げられている数行程度の説明だけでは物足りないという人の為に、入場料とは別にお金を採って提供しているサービス、それがオーディオガイドの基本コンセプトです。だから、オーディオガイドを借りている人は借りて無い人よりも、明らかに美術館の滞在時間は長いはずです。何故なら一つの作品に掛ける鑑賞時間が長いですから。

しかしですね、このような関係に逆転の傾向が見られるようになってきたのが、ココ最近の事なんです。つまりオーディオガイドを、「作品をより良く知ろう」とする為に使うのでは無くて、数多ある作品の中から効率良く「見るべきものだけを見て、さっさと次の美術館へ行こう」という目的を達成する為に活用する人が多くなってきた様な気がしています。そしてルーブルのような大型美術館では、観光客の回転率を上げる為に、そこを利用している感さえしているんですね。

このような人の動きのコントロールで圧倒的に巧かったのが、ウィーンで訪れたシェーンブルン宮殿でした。あそこのオーディオガイドは一度再生したらまき戻しが出来ない様になっていて、必然的に順路を前へ前へと歩かされるシステムを取っていました。巻き戻し出来ないので、自ずと観光客の足は次の部屋へと向かい、ほとんどの人が、わずか3分程度の誤差で宮殿の滞在時間を終えるという、まあ、その余りの見事なシステムに、溜め息すらついたのを覚えています(詳しくはコチラ:地中海ブログ:ウィーン旅行その9:シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)のオーディオガイドに見る最も進んだ観光システム/無意識下による人の流れのコントロール)。

さて今回のルーブルのシステムなのですが、実際試してきたので、その体験を記しておこうと思います。

その3に続く。

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