地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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パリ旅行2009その3:美術館における人の動きのコントロールについて:グローバリゼーション下に見るローコスト(チープ)観光現象その1
今回の旅行では連日のように美術館に行っているのですが、芸術の都パリというだけあって、どの美術館も大変魅力的な作品を所蔵・展示しています。ドラクロア、ルノアール、カミーユ・クローデルなど、美術作品については又改めて別のエントリで書こうと思っているのですが、これら幾つかの美術館を回っていて気が付いた事があったので、ちょっとココに記しておこうと思います。

多分誰も知らないし、全く興味は無いと思われますが、一応僕はヨーロッパでは人やモノの移動軌跡を扱うエキスパートという事になっています。今、「エー、そうなの???」とか思ったあなた、地獄に堕ちて下さい(笑)。「cruasanって、美味しいレストランでパエリアとか食べて、適当に紹介する人かと思ってたー」って思ったあなた、火あぶりの刑、決定です。こんな感じで:

一応、人の動きを扱うスペシャリストって事になってるの!!!

と言う訳で職業柄、違う街などに行くと、どうやって交通計画してるのかな?とか、どうやって人の動きをコントロールしてるのかな?とかいう所に眼が行ってしまうのですが、今回面白かったのがポンピドゥーセンターが採用している仕組みでした。

パーソンカウンター

ポンピドゥーセンターでは一階でチケットを購入して、ガラスのチューブを使って各階に配された各展覧会へとアプローチする事になるのですが、各階のエントランス部分に当たるガラス扉に赤外線センサーのようなものが設置され、出入りする人の数をカウントしていたんですね。

パーソンカウンター

上の写真が表示パネルで、実際には数が表示されているのですが、写真ではちょっと見えにくいですね(ゴメンなさい)。で、ココまでは普通なのですが、ちょっとの間観察していて気が付いた事がありました。それはこのセンサーはこの部屋の中に入った人をカウントしているのではなくて、部屋の中に何人の人が居るか?を表示しているカウンターだという事に気が付いたんですね。ちょっと分かりにくいかもしれないので、最上階の特別展のセンサーを例に出してみたいと思います。それがコレ:

パーソンカウンター

数字が3つ並んでいますね。一番上(Entrees)はこの部屋の中に入った人の数。2番目の数字(Sorties)はこの部屋から出て行った人の数。そして一番下の数字(Presents)は、この部屋の中に居る人、つまり展示を見ている人の数を表しています。コレは面白い!!!僕は世界各地で色々な美術館を見回っていますが、人の滞在時間を計っている美術館に出会ったのは今回が初めてです。コレを実現する仕組みはこんな感じ:

パーソンカウンター

出入り口に赤外線センサーを2つ平行に取り付けます。

パーソンカウンター

ちょうど2本の線が横並びで引かれた状態を想像してもらえれば分かり易いかと思います。この線の間を人が通ると、必ずどちらかのセンサーに最初に引っかかり、続いてもう一つのセンサーに引っかかる事となります。つまり、どちらのセンサーが先に反応したのかを調べる事によって、人がどちらから来たのか?どちらに行くのかが分かるという訳です。全く同じシステムがポンピドゥーに併設されているブランクーシのアトリエにも採用されていました。さすが美術先進国だけあって、美術館にも最適化(Optimization)を採用しようという気概が感じられますね。

パーソンカウンター

ちなみにオルセー美術館では単純に入った人の数をカウントしているだけでした。

そして今回非常に感心したのがコチラ:

パーソンカウンター

世界中、何処の美術館でも採用しているオーディオガイドなのですが、パリの美術館ではズバ抜けてその内容が充実していました。普通のオーディオガイドのシステムというのは、見たい作品の前に割り振ってある番号を入力すると、その作品の解説が流れてくるというのが、通常のオーディオガイドだと思います。しかしながら、ここパリでは一つの作品に対して、複数のオプションがあり、画家の経歴や作品が描かれた背景、ハタマタ関連作品情報など、素晴らしく深い説明を聞く事が出来るんですね。ちなみに僕は美術館に行ったら必ずオーディオガイドを聞く事にしているオーディオガイド・ヘビーユーザーで、オーディオガイドの中に入っている説明は隅から隅まで聞く事にしています。そんなんだから、昨日、朝一番でルーブル美術館に行ったんだけど、9時間かけて4分の1程度しか見れなかった!(恐るべしルーブル!)

さて、オーディオガイドの目的とは、収蔵作品をより良く理解する為に生み出されたモノだという事は言うまでも無いのですが、実は近年、このオーディオガイドを用いて、ある実験的な試みが行われ始めています(ココからは僕の観察に基つく推測なので適当に聞いてください)。勘の良い人はもうお気付きだと思うのですが、そうなんです!このオーディオガイドを用いて、人の動きをコントロールする試みが行われているんですね。そしてココ、ルーブル美術館では、最新技術を用いた最新サービスを提供しているが故に、必然的にグローバリゼーションに覆われた僕達の時代が抱える闇の部分を照らし出している様に思えます。

美術館における人の動きのコントロールについて:グローバリゼーション下に見るローコスト(チープ)観光現象その2:ルーブルの場合に続く。

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