地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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海外を訪問するという事:中国らしさとは何か?日本人とは一体どういう事か?
今回の上海訪問は僕にとって初めてのアジア諸国訪問(日本を除く)という事もあって、否が応にも、日本とは何か?そしてスペインとは何か?という事を考えさせられる訪問となっています。今日は日程に組み込まれていた「豫園エリア」をみんなと一緒に訪れたのですが、それを見るにつけ、つくずく自分は日本人なんだなー、とか思ってしまいました。

このエリアの中心は何と言っても「豫園」です。



江南古典庭園の名園と称される豫園が着工されたのは今からおよそ450年前の1559年の事だそうです。それから何世紀にも渡り創り続けられ、今のような形になったのが1961年の事だと言いますから、まあ、何とも気の長い話です。



お庭の造り方とか塔の分散配置のされ方とか、言いたい事は山程あるけど、先ず「パッ」っと目に飛び込んでくるのが、「屋根の作られ方」と、それによる「空の切り取られ方」ですね。



操り人形の手足のごとく、さも空から紐で吊られているかのように、屋根の先端が天へと向かって吊り上げられています。



幾つもの先端が「これでもか!」というくらいの勢いで空を目指していますね。





ミラノ旅行の時に見たミラノ大聖堂が丁度こんな感じで、大屋根に取り付けられた何十体という聖人様達が天に突き刺さるかのように表現されていたのを思い出します(地中海ブログ:ミラノ(Milano)旅行その2:ミラノのドゥオーモ(Duomo di Milano):文化の多様性をゴシック建築の多様性に見る)

しかしながら、僕の感覚からすると、このような中国のお寺の空の切り取り方には正直あまり心を動かされませんでした。何故かと言うと、僕にしたら、この吊り上げられ方はちょっときつ過ぎる気がしたからです。それよりも、やはり、日本のお寺のように、最後の所で、わずかに反り上がっているだけの方がよっぽど趣味が良いように僕には思われます。







だから例えば、槙さんがやられた東京体育館の絶妙なカーブとか、曲線の交わり方、それらが織り成すシルエットなどに大変心を動かされたりする訳ですよ(地中海ブログ:リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その1、地中海ブログ:エンリック・ミラージェス(Enric Miralles)の建築その3:バラニャ市民会館(Centro Civico de Hostalets de Balenya)に見る建築の質:実際に建築を訪れる事の大切さ)

ココなんです!

何故僕は中国の屋根の反り方ではなく、日本の屋根の反り方に共感するのか?もしくは「僕の感覚にピッタリ合っている」と体全体の細胞が反応するのか?というと、それはひとえに僕が日本人であり、日本文化の中で育った為、僕の体の隅々まで日本の感覚に支配されている、と、まあ、そういう単純な事実だと思うんですね。逆に、このような微妙な感覚の所で「心を動かされる/動かされない」という事を感じる時、自分のアイデンティティを再確認させられる気がします。

間違えてはいけないのは、ココで僕は両文化の比較を主観的に、自分の感覚に「合う・合わない」の話をしているんであって、「良い・悪い」の軸で話しているのでは無いと言う事です。そもそも文化に優劣なんて無くって、優劣があるのは文明の方なのですから。つまり文化は「好き・嫌い」という軸で、文明は「良い・悪い」という軸で評価出来るという基本的な事なんですけれども。

さて、豫園について「地球の歩き方」を見ていたら面白い記述を見つけました。

「豫園を中心としたエリアは、上海の中で最も中国的な所。・・・」P94 地球の歩き方、上海09−10

むむむ・・・確かに豫園はその建築様式などから「伝統的な中国」が感じられる所ではあるけれども、現代の中国を表しているか?と言われるとかなり疑問です。(何時も「地球の歩き方」には散々お世話になってるのに、ちょっと意地悪過ぎるか?ちなみに数日前、Twitter上で「スペインに8年程住んでますが「地球の歩き方」は今でもとっても役に立ちます」とつぶやいたら、日本在住の皆さんにとても驚かれ、ちょっとした議論に発展しました。欧州在住の皆さん、実際どうなのでしょうか?)

今の中国らしさというのは、例えば、19世紀後半から20世紀前半にかけて建てられた重厚な石造建築群(外灘エリア)がリノベーションされて、外観は必要最小限の変化に留めながらも、中はお洒落なバーや高級ブランド店(アルマーニなど)になっていたりする一方で、そのすぐ裏手には違法コピーのブランドバックを売っているお店がひしめいていたり、貧しい人達が、ブランド品のバックを抱えて店から出てくる観光客に物乞いをしていたり、安い賃金で働く労働者が交通の危険にさらされながら仕事をしていたりと、そういう激しい2極化が隣同士で共存している所にこそ、今の中国の空気みたいなのが感じられると思う訳ですよ。







もしくは下の写真なんて、ものすごく中国政府のやりたい事を表象している様に思われます。



ブランド品の広告によって、向こう側にある「汚い風景」を隠しつつ、その又向こう側に聳え立つ「桃源郷としてのビジネスセンターというイメージ」を売り出すという戦略。



豫園エリアについて言えば、何百年も続く豫園に寄り添う形で、観光客を呼び込む為だけに昔の町並みを再現してしまう所(出来てしまう所)、そして小籠包など中国の伝統料理のファーストフード店と同列にMのマークの超有名&超高級レストラン(笑)が軒を連ねている所など見るに付け、現代中国だ!と思う訳です。



ちなみに日本のマクドナルド社長である原田さんの奥さんは、昔僕が大ファンだった谷村有美さんです(全くどうでも良いマメ知識)。



そして、このような「都市の遺産」が21世紀の基幹産業である観光と完璧に結び付いた姿こそ、我々の都市の未来風景なのかも知れません。(コレマタ全く関係ないけど、こういう先っぽがとんがったお城とか、小さな赤いちょうちんが並んでいる風景とか見てると、思わず「ス、スイカ頭―!!!ドッカーン(爆発)」とか思い出しませんか?(今、Youtubeで動画探そうとしたんだけど、中国(もしくは僕のホテル)じゃあYoutube使えないの忘れてた!これはとっても中国っぽい!)
| 仕事 | 17:32 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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