地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ベルギー通信社による市民ジャーナリズム導入の実験
初代EU大統領と外相が決定した11月19日はEUとその加盟国にとって忘れられない歴史的な日となりました。大統領には中道右派のベルギー首相のヘルマン・ファンロンパウ(Herman Van Rompuy(62歳))氏が、外相には、中道左派のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton欧州委員(通商担当、53歳))氏が選出されました。どちらも一般には無名という事で各種メディアは競う様に2人のプロフィールなどを載せているのですが、特にベルギーでは大変大きな話題となっている様ですね。というのも、ようやく落ち着いた国内政治が又混乱に陥るのではないのか?という不安がベルギー社会に広がっているようです(ベルギーでは内閣不在が9ヶ月続いたそうです)。

さて、ベルギー関係で思い出したのが、実は今週の木曜日の新聞(La Vanguardia, 19 de Noviembre 2009, P11)に載っていた、「市民ジャーナリズムがファビオラ王妃を殺した(El periodismo ciudadano mata a la reina Fabiola)」という小さな記事の事です。

ベルギーの通信社が今週月曜日から実験的に市民記者から情報を募った所、同じ日の11時37分(つまり初日)に「ファビオラ王妃が亡くなった」という情報が届き、通信社が直接、契約報道機関に情報を送信するシステムを採っていたが為に、新聞社などの問い合わせで誤報が分かったという事件があったそうです。

この通信社が採用していたシステムは、Twitterと同じ様なシステムで、ウェブページ(www.ihavenews.be)上から160文字以内(写真一枚も可)で、誰でもニュースを通信社に送信出来るというもの。問題は、通信社が内部でフィルタリングをせずに、直接、契約している報道機関などに他のニュースと一緒に送ってしまうシステムを採用していたという点でしょうね。

日本でもオーマイニュースとか色んな実験が行われていたようですが、今回のベルギーの様に、「通信社」に市民ジャーナリズムを導入するという実験は珍しいのでは無いのでしょうか?(どうなんでしょう?)

市民ジャーナリズムの利点は、ジャーナリストがアクセス出来ない情報などを、市民が独自のチャンネル(偶然の産物なども含んで)を通して持っているという点だと思います。正に集合知のなせる技であり、一つの理想だとは思うのですが、勿論そこには危険が伴います。それが「集合知」という言葉と常に対で使われるもう一つの言葉、「衆愚」な訳で、我々の社会は今、その間のバランスをどう採るのか?という所で葛藤している所だと思います。“「多様な意見」はなぜ正しいのか 衆愚が集合知に変わるとき”というような言葉を見ると、ものすごく希望が湧いてきて、元気になったりするのですが、今回の実験は(悲しいながら)後者の方に針が振れた事例になってしまった様ですね。

世の中、ナカナカうまくいかないものです。
| スペイン政治 | 22:05 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
こんにちは!ご訪問ありがとうございました。
あぁ、こういう話だったんですね。
WIKIもそうですが、最適化が働いて、自助機能というかチェックができちゃったりするのが面白いところなんだと思うんですが、こういうマイナスもありますね。ただ瞬間風速的なもので、時間がたつとチェックが効くんでしょうけれど。王室という閉ざされた空間なのも今回は災いしたように思います。
| めぐみぃ | 2009/12/03 5:37 PM |
めぐみぃさん、コメントありがとうございます。
結構画期的な取り組みだったので、かなり期待してはいたのですが、僕達の世の中はそうそう上手くはいかないものなのだなー、と思ってしまいました。でも、めぐみぃさんがおっしゃるように、時間と共にそういうものも淘汰され、最適化が働いてくれるのでは?と期待しています。
| cruasan | 2009/12/04 8:52 PM |
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