地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ヨーロッパの賃貸向け公営住宅(ソーシャル・ハウジング)の問題
昨日の新聞(El Pais, 16 de Noviembre 2009, P36-37)にヨーロッパの住宅事情に関するちょっと面白い記事が載っていました。

スペインにおいて住宅問題はテロ問題に次ぐくらいの最重要課題だと言う事は、当ブログで繰り返し述べてきた所なのですが、今回の記事ではヨーロッパ各国の公共住宅事情が比較されていました。まあ、当然、社会的弱者の為に公的資金で住宅を建設して、格安の値段で売ったり賃貸したりするのは何処の国でも変わらないとは思うのですが、面白いのはその割合です。

先ず、各国のGDP(国内総生産)における公共住宅建設に割かれる割合なのですが、一番大きいのがフランスで1,96%。2位はオーストリアで1,7%。3位はフィンランドで1,4%。その後、チェコ(1%)、デンマーク(1%)と続きます。我がスペインは0,81%。一位のフランスと比べると2倍以上の開きがあるけど、これは、スペインが低いというよりも、むしろフランスがものすごく公共住宅に資金を当てていると見た方が正しいと思います。スペインの0,81%と言う数字は、ヨーロッパでは優等生の部類に入ります。

しかしですね、これを「売却」するのか?「賃貸」するのか?という軸で見ると、風景がガラっと変わってきます。スペインの場合、建設された公共住宅の内、なんと1%程度しか賃貸されていないそうです。市場に出回っている賃貸住宅を含めてもスペインにおける住宅全体の13,2%という低い数字が立ち上がってくるんですね。

この賃貸公共住宅1%という数字がどれくらい低いかというと、例えば、ヨーロッパで最も高い数字をはじき出しているのがオランダで35%。その次はスウェーデンとオーストリアで21%。デンマークが20%、フランスが19%、フィンランドが18%と続きます。ビリから数えると、スペインが1%で最下位。その次がルクセンブルグで2%、ポルトガルが3%、ハンガリーが4%と続くんですね。

さて、ココまで「公共住宅が賃貸されていない事が問題だ」というような口調で書いてきたのですが、実はコレが今スペインでは大問題になりつつあります。

何故かと言うと、スペインの不動産バブルで住宅価格が無茶苦茶に跳ね上がり、そこに世界同時金融危機到来→銀行がお金を貸さない→誰も住宅を買えなくなった、という悪循環が出来上がり、その結果、せっかく建てた公共住宅に誰も住む事が出来ない、言わば、空の公共住宅があちらこちらに出現する結果となった訳なんです。

こんな背景から、スペインでは公共住宅を建てるよりも、賃貸する人に補助を出す方が良いのでは?という議論が沸き起こりつつあります。どういう事か?というと、毎月、社会的弱者に400ユーロ程度の手当てを与え、賃貸料の一部に当ててもらうという政策です。

この政策はもう既に一部実行に移されているのですが、コレも問題があって、建物のオーナーが(賃貸者が政府から補助を貰っていると知ってるから)その補助分、割り増しするという問題が起こっている事が判明しているんですね。今検討されているのは、賃貸する人とオーナーに半分くらいずつの補助を与えるという方法。

住宅問題に関しては何処までいっても、ナカナカ解決が難しそうです。正に戦争の様相を呈してきていますね。
| バルセロナ住宅事情 | 19:08 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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