地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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東さんの「SNS直接民主制」とかマニュエル・カステル(Manuel Castells)のMovilizacionとか
なんか数日前からネットでは東浩紀さんの“「ネットがあれば政治家いらない」東浩紀「SNS直接民主制」提案“が大変な議論を沸き起こしているみたいですね。



昨日は偶々、カイシャ・フォーラム(Caixs Forum)で行われたマニュエル・カステル(Manuel Castells)の講演会に行ってきた事もあって、これも何かの偶然か?(新しいテクノロジーが引き起こす社会変化というお題はカステルの十八番)とか思ったので、ちょっとメモ程度に書いておこうと思います(マニュエル・カステルについてはこちら:地中海ブログ:Manuel Castells との出会い、地中海ブログ:再びManuel Castells)。

ウェブ2.0的なテクノロジーと民主主義については、例えばジェームズ・スロウィッキー(James Surowiecki)の「みんなの意見」は案外正しい(The Wisdom of Crowds)なんかが既に古典みたいになってたり、吉田純さんが「インターネット空間の社会学」というハーバーマス(Jurgen Habermas)の公共圏を下敷きとした「電子民主主義」の可能性について論じた本や、もしくは最近では「ブログ論壇の誕生」なんてものまで出てたりします。佐々木俊尚さんの「ブログ論壇の誕生」では、「毎日新聞低俗記事事件」など、ブログが引き起こした言論の波がマスコミや政治を動かした実例などが挙げられていて、結構面白いです。僕自身、以前にはニコニコ動画みたいなのが、もしかしたら将来的に政治を動かすのかもしれないと思ったりした事もありました(地中海ブログ:案外、日本の政治を変えるのはニコニコ動画だったりするのかも知れないと思ったりして)。

しかしですね、このような新テクノロジーが実際の政治に与えた影響が顕著に見られる最初期の例は実はスペインなんですね。時は2004年の総選挙、民衆党圧勝だと思われていた戦況をひっくり返したのは、嘘で固められた政権に飽き飽きした若者達が引き起こした携帯メッセージの連鎖でした。詳しくは以前のエントリ、スペイン総選挙から引用します:

・・・当時、世論調査において圧倒的優位を誇っていたのは民衆党のアスナールでした。各種新聞は民衆党の圧倒的勝利を確信していました。そこへテロ勃発。

何故テロが起こったのか?当時のアスナール政権はイラク派兵を支持していました。その見返りでした。そうなると具合が悪いのがアフナール政権。結局、彼等 は選挙への影響を考慮してこのテロがアルカイダではなく、ETAによるものだと発表。選挙前にETAの残虐性を謳った映像をテレビで流すなど情報操作のや りたい放題。それに怒ったのが普段は選挙になど行かない若者層。

彼等は携帯電話のSMSを使い全国の若者に呼びかけ、イラク派兵反対を掲げてきた社会労働党に投票するように呼びかけたんですね。結果、投票率77%、 PSOEが164議席、国民党148議席でPSOEが8年ぶりに第一党となりました。マニュエル・カステルは当時の新聞に携帯電話を用いた選挙への影響力 として記事を書いています。今で言うWeb 2.0の走りみたいなもんでしょうか。

El sabado 13 el trafico de mensajeria movil aumento en un 20% y el domingo en un 40%. Es plausible que esa movilización influyera en los dos millones de nuevos votantes que generalmente se abstienen mas que sus mayores, y que esta vez participaron activamente en las elecciones con un objetivo claro: “ Manana votamos, manana os echamos”. …. “ Vuestra guerra, nuestros muertos”, le decian al PP. Pero tambien, y sobre todo, protestaban contra la manipulación informativa del Gobierno, que intento suprimir información y aseverar la autoria de ETA por lo menos hasta “ el dia después”, confiando en sacar renta electoral.

Movil-izacion politica, 20 de marzo de 2004, La Vanguardia, Manuel Castells.

13日土曜日には携帯電話のSMSトラフィックが通常より20%、翌日日曜日には40%増加した。この運動は普段は選挙になど行かない200万人に影響を 与え、今回の選挙にあるはっきりとした目的と共に積極的に参加させる契機となった。その目的とは“明日投票しよう、明日やつら(民衆党)を追い出そ う”。・・・”彼等の戦争、我々の犠牲“と民衆党に叫ぶように。しかしながら又、彼等は政府の情報操作にも怒っていたのである。その情報操作は選挙を有利 に運ぶ為に少なくとも選挙後1日まで続く事になったであろうETAに責任を全て押し付けたウソである。


うーん、何か、久しぶりに頭使って色々考えてたら、パンクしそうになってきたので、バナナ食べて寝よ。バイチャ!
| スペイン政治 | 23:47 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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