地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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アイルランド国民投票でリスボン条約を批准承認:そしてその後の問題
今日の各新聞(El Pais, La Vanguardia)はどれも、昨日アイルランドで批准承認されたリスボン条約の記事を一面に持ってきていますね。EUにとっての大事件だったので当たり前と言えば当たり前なのですが。

EUが長い時間をかけて熟成させてきたリスボン条約にアイルランド国民がNOを叩き付けてから約1年(詳しくはココ:地中海ブログ:リスボン条約:アイルランド国民投票批准否決とEUプロジェクト)。これでようやくEUも前進出来そうな気配がしてきました(実はまだまだ障害はあります)。

今回の投票率は58%(前回の投票率は53.1%)。その内賛成が67.1%を占めています。前回の反対が53.4%だった事を考えると、ものすごい伸びだという事が分かります。各種メディア、何故アイルランド国民がこれ程の短期間に意見をガラリと変えたのか?について、分析をしていますが、多分、La Vanguardia紙の言っている事が結構当たっているんじゃないのかな?この記事は冒頭にこんなフレーズを引用して始まります:

“Poderoso caballero es don dinero” Francisco de Quevedo

「偉大な紳士はミスター金持ちである(金こそ権力である)」:フランシスコ・デ・ケベド

“El miedo es el mas peligroso de los sentimientos colectivos”, Andre Maurois

「不安は集団的感情よりも危険である」:アンドレ・モロア


ケルティック・タイガー(Celtic Tigre)という名で良く知られているように、アイルランドはEUのテコ入れのおかげで最悪の経済状況からヨーロッパの優等生と言われる程の成長を遂げました。そして訪れたのが今回の経済危機。ボロボロになりかけていた国内の危機的状況に助け舟を出したのは、またもやEUだったんですね(詳しく言うと、ヨーロッパ銀行)。

だから、もし今回EUに賛成しとかないとせっかく良くなりかけていた経済が又下降するという「不安」が国民の間に広がったのではないのか?そして2度もNOを叩き付ける国にテコ入れ(欧州中央銀行)をする程EUは甘くは無い、という認識もあったのかもしれません。更に言えば、MicrosoftとIntelの後押しもかなり良い方向に働いたと考えられています。MicrosoftとIntelは共に、アイルランドをEU戦略における拠点にしています。つまりここでアイルランドがEUに背を向けるような事があれば、アイルランドに拠点を築いている意味が全く無くなるんですね。

何はともあれ批准承認され、「良かった、良かった」となったわけなのですが、懸念されるのは今後です。リスボン条約に調印していないのはチェコとポーランド、2カ国のみとなりました。しかしですね、今一番の障害だと考えられているのは、実は英国なんですね。英国保守党のDavid Cameronは今日の新聞記事内で、「もし来年の選挙に勝ったら早急に国民投票を行い、全力を持ってリスボン条約の批准を妨げる」と宣言しています。チェコが調印しないのは、来年の英国の選挙後の出方を伺っているという見方もあるようです。

逆に先日、欧州委員長に就任したばかりのJose Manuel Durao Barrosoは「年末までにチェコの合意を取り付ける」という大変強気な発言をしています。

この数ヶ月間程、EUの動きが慌ただしくなりそうな予感がします。
| EUプロジェクト | 22:41 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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