地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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アルド・ファン・アイク(Aldo Van Eyck)の建築その2:子供の家:建築家の素養とは?を考えさせられる建築
前回のエントリで書いた「母の家」に大変良い印象を持ったので、その足で市外に位置する、同じくアルド・ファン・アイク設計による「子供の家」に行ってきました。



元々この建築は孤児院として建てられたそうなのですが、今では機能転化して、歯医者さんや情報系企業など、多種多様な企業により分割して使われている様です。



水平に広がるレンガ造りのこの建築の第一印象は、「とても静かな佇まい」ですね。前面に大きく取られた広大な芝生の中に「コレだ、コレだ」と主張する事無く、とても静かに佇んでいます。



コレが上空写真なのですが、グリッドを基本とした、結構大規模な建築だという事が分かるかと思います。しかし、中庭やら天井高やらを工夫する事によって、ヒューマンスケールを失わず、見事に保持していますね。



基本的なデザインとしては、レンガ造の上にコンクリート造の薄い屋根が乗るという構成です。シンプルだけど、非常にデザインセンスを感じさせます。下のレンガに対するコンクリートの比率とか、窓の取り方とか、結構動かし難いくらいの域に達している気がする。そしてメインアプローチはココです:



グリッドの直線に対してアプローチは半円を描いています。



その半円に従って歩いて行くと、建築が様々な表情で展開されていくのが分かります。



その半円は最終的に我々を、四方を囲まれた非常に親密な空間に導きます。



そしてココ、アプローチから一番遠い、対角線上に入り口がひっそりと、何かとても大事なモノをかくまうかの様に設えられています。

前回の「母の家」もそうだったんだけど、アルド・ファン・アイクという建築家は、入り口の扱いが大変上手い建築家ですね。そして建築へのアプローチをとても重要な出来事と考えている。更にもう一つキーワードを付け加えるなら、「ヒューマンスケール」と言った所でしょうか。



それはこれら、様々な場所に散りばめられた中庭の扱いからも窺い知る事が出来ます。ともすれば、スケール感を失いがちな程大きな建築において、この中庭がある事で、何か「ほっと」するような感覚を与えてくれます。

アルド・ファン・アイクと言うと、言わずと知れたチームXの主要メンバーであり、槙文彦さんと大変交友深かった建築家だという事が知られています。槙さんによると、この子供の家の計画案は、1960年7月に南フランスのバニョール・スセーズで開かれたチーム・テンの5日間に渡る会合で討論されたらしいですね。(記憶の形像、P143)。又、アルド・ファン・アイクは典型的なヨーロッパの建築家に見られる以上に、歴史・文化的な素地を持っていた人物だったようです。

「・・・彼はヨーロッパの建築の歴史・文化・近代芸術に関する造詣の深さでは郡を抜いていた。」記憶の形像、P144、槙文彦

ここなんですよね、実は。建築家って、デザインが出来れば良いか?っていうと、全くそんな事は無くて、もっと大事なのは、文化社会を理解する事だと言う事が、ヨーロッパの建築家に接していると、嫌と言うほど分かってきます。そういう素地があった上で、デザインセンスがある人が出て来る、そういう事なのでしょうか。

これら2つの両立(社会文化的バックグランドとデザイン)は決して易しいものではありません。だからこそ建築と言うのは挑戦のしがいがあると思うのですが・・・。
アルド・ファン・アイクのデザインセンス、しっかりと見せて頂きました。
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