地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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アルド・ファン・アイク(Aldo Van Eyck)の建築その1:母の家:サヴォア邸に勝るとも劣らない螺旋運動の空間が展開する建築
今回の旅行で大変楽しみにしていた事の一つがアルド・ファン・アイクの建築を訪れる事でした。今までナカナカ訪れる機会が無かったんですが、作品集などを見るにつけ、ヒューマンスケールのほど良い空間が展開されている感じを受け、是非とも訪れたいと考えていたんですね。

先ず最初に訪れたのは、アムステルダムの中心に位置する「母の家」と名付けられた、とってもカラフルな建築です。



「母の家」と言えば、ロバート・ヴェンチューリ(Robert Venturi)の「母の家」が有名なのですが、アルド・ファン・アイクによる、この「母の家」は、どうやら未婚の母を受け入れる施設らしい。行き方は至って簡単で、市内を走る9番か14番のトラムに乗り、Plantage Middenlaan通り周辺で降りた直ぐ目の前にあります。



一目見て直ぐそれと分かる鮮やかさも去る事ながら、何よりも驚かされるのが、そのデザイン力の高さです。



大まかな構成としては、この建築は2つの部分に分けられ、その間の窪み部分に階段などのコアを入れるという構成ですね。



先ず気が付くのは、この窪み部分に向かってものすごい内向きの力、つまり中に向かって引き込んでいくようなデザインになっているという事です。



全体を構成する部位を細かく分け、それらが折り重なるようにして、内側へと雪崩れ込むような表現になっているのが分かるかと思います。(どことなく原さんのデザインを彷彿とさせますね。)そしてココのデザイン:



入り口全体で、「おいで、おいで」と言っているようなデザインです。「人を招き入れるとはどういう事か?」のお手本を示してくれているかのようなデザインです。



左手奥に見える入り口の天井高が低く抑えられ、更に側面の壁が半円を描きながら内側に膨れ上がっている事によって、入り口空間の親密感を増しています。「この建築家は、本当にヒューマンスケールと言うものを大切に考えているんだなー」と思わせてくれる空間です。



そしてココからがこの建築の真骨頂なんだけど、左手側にある平面の青いパネルを基点として、右手方向の緑色のパネルに行くほど、少しずつ天井高が高くなっているのが分かると思います。そう、まるで天馬が丘を駆け上がっていくかのように・・・。



その流れは我々を、右手側に見える階段を上がった奥にある入り口に導きます。



つまり青色パネルから始まった流れが、奥にある入り口に向かって、竜巻に飲み込まれるかのように、巻き上げられる空間が展開しているんですね。
そしてその勢いは、真ん中の黄色のパネルに納められている螺旋階段によって、最終的に上空へと登っていく・・・というストーリーが展開されています。本当に巻き込まれるかのような空間構成です。

この時、僕が真っ先に思い出したのは、何時もお世話になっている中村研一さんに頂いた「サヴォワ邸/ル・コルビュジェ(中村研一著)」に書かれていた、サヴォワ邸を貫く、螺旋の空間構成の話でした。



ピエロ・デッラ・フランチェスカ(Piero della Francesca)の「キリストの鞭打ち」に見られる画面の2分割、更にそこから読み取れる螺旋の運動が実は、ル・コルビジェに重要なインスピレーションを与えたのではないのか?という、大変興味深いお話ですね(続きが知りたい人はコチラ)。

サヴォア邸には未だ行った事が無いので、その螺旋の空間構成がどのようなものなのか想像するしかないのですが、アルド・ファン・アイクによる「母の家」で感じられるのは、正に龍が天に昇っていくかの様な螺旋の空間です。

私施設なので中に入る事は出来ませんが、アルド・ファン・アイクの見事な空間デザインは外から眺めるだけでも、十分に堪能する事が出来ます。一見の価値ありです。
| 旅行記:建築 | 22:34 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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