地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
<< リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その1 | TOP | ポルトガルの総選挙に向けて:ポルトガルースペインの両国間の関係が焦点に >>
リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その2
前回のエントリ、リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その1の続きです。

今回僕が乗った飛行機はマドリッドの古い方の空港(T2)に着いたので、お目当てのマドリッド・バラハス国際空港は、帰り際のちょっとした時間を利用して見学してきました。

マドリッドには新旧2つの空港があるのですが、両方とも街の中心とは地下鉄で結ばれています。所要時間はおよそ45分で料金は2ユーロ(地下鉄駅Banco de Espanaから乗り換え込み)。当ブログでは、都市の玄関口である空港から中心市街地までのアクセスの良さが、その都市における「居心地の良さ」や「生活の質」に関連する一つの指標に為りえるのではないのか?と言う観点からアクセッシビリティ評価というのをシリーズ化しています(例えばコチラ:地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ、地中海ブログ:ローマ(Roma)旅行2008その1:アクセッシビリティ評価とか)。

それらのデータと比べると、中心街から空港まで45分というのはちょっとかかり過ぎかなという感じがしますね。その反面、2ユーロは安い!!!ローマの12ユーロやフランクフルトの4ユーロ(所要時間15分)と比べると、この安さはダントツですね。



さて、マドリッド・バラハス国際空港最寄の駅、バラハス駅(Barajas)で電車を降りると、その瞬間からもう既にそこにはリチャード・ロジャース・ワールドが広がっています。



黄色い鉄骨群やロジャースお得意の工業系デザインなどが、上方ガラス越しにちらちら見え、否がおうにも期待感が膨らみます。そして最初のエスカレーターを上り、地下鉄の自動改札を出た所で待っているのがこの空間:



丸い大きな穴から燦燦と自然光が降り注ぐ、彼お得意の近未来系デザイン。3層吹き抜けになった黄色い鉄骨が門のような役割を果たし、その間をむき出しの鉄骨やダクト、エレベーターなどが縦横無尽に横切る、大変に気持ちの良い空間に仕上がっていますね。



それらの鉄骨に紛れるように挿入されたエスカレーターを使って上階へと上っていくと、段々とこの空港の全体像が浮かび上がってきます。



そしてエレベーターを上りきった所には、半透明のガラスが敷き詰められた渡り廊下が設えられています。この渡り廊下は、これから入っていく、この空間のクライマックス的空間の前に一息付き「これから入っていくぞ」という心の準備をする為の空間ですね。そして廊下を渡った所に広がっている、この空港のメイン空間がこちら:



圧巻です。うねる屋根が何重にも重なり合って、「コレでもか!」と言う程、ダイナミックな空間を創り上げています。ちょっとこの空間はすごい。



さっき入り口で見た、門型の黄色い鉄骨が一つの単位を形つくり、それらが無限に反復する事で現れる空間。



システムとしては上の写真のようなナミナミの形をした屋根が一つのユニットを形成し、それを縦横に連続させる事によって空間を形作っています。



僕がこの空間を見た時に真っ先に思い浮かんだのが、コルドバのメスキータです。このメスキータも、一つの門を基本ユニットとし、それを反復させる事で、無限に繰り返されるリズムと不思議な空間を創り出しています。
ロジャースがやりたかった事は、コレなんじゃないのかな?一つのユニットの反復が作り出すリズム。僕は未だ行った事が無いけれど、カーンのキンベル美術館の本質も実はそこにあるのではないのか?と思っています。つまりボールト天井のユニットの連続が作り出す不思議なリズム感、みたいな。



そして、この軽やかな天井を根元で支えている太い幹のような鉄骨と、それらの対比。



波々天井のお山に取り付けられた照明のデザインもナカナカカッコイイ。



短冊のように細く切られ、横向きに並べられた木に対して垂直方面に一直線に伸びる細く黄色い鉄骨盤が上手い事、天井の分節化とリズム感に貢献しています。そしてその黄色く細い鉄骨盤が、屋根を支える鉄骨と出会うというデザイン物語の展開。



この辺はさすが巨匠らしく、最後の反復部分をガラスで仕切りながら、一つ分だけ外に出すと言う、上手い終わり方を実現している。こんな所、誰も見ないかもしれないけれど、こういう所の上手さが光ってるからこそ、かなり大胆な造形とか、黄色とか使ってもチープなデザインにならないんですよね。こういう所こそ、僕たちは見習うべきだと思います。

内部空間を堪能した後、ちょっと外に出て外観を見てみました。先ずはココ:



屋根の端部ですね。重たくならないように、繊細にデザインされている事が分かります(今朝のバルセロナ新空港の端部とは大違い)。



さすがに何処に力を入れるべきかをよーく分かっている。



そしてこの階段。コレは彼がロイズ銀行で使用したデザインとほぼ同じですね(詳しくはコチラ:地中海ブログ:ロンドン旅行その5:Richard Rogers( リチャード・ロジャース)の建築:Lloyd's of London)。この辺もやはり上手い。

総じて、今回の新空港対決は圧倒的にマドリッドに軍配が上がると思います。一応バルセロナの名誉の為に言っておけば、バルセロナ新空港だってそんなに出来が悪いわけじゃない。ただ、今回は相手が悪かった。このマドリッドの空港は、デザインという観点から見た時には、僕が今まで見た中でダントツに良いんじゃないのかな?そう思わせてくれるような、素晴らしい空間デザインでした。

星、3つです!!!
| 都市戦略 | 19:09 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
僕が初めて海外旅行でスペインに行った時、ヘルシンキ経由で着いたのがこのバラハス空港のロジャーズのターミナルでした!!

うねうねした屋根とそれを支えるの連続した柱を見た時の感動は、今でも鮮明に覚えてます。
僕はその旅行でメスキータを見てきたのですが、まさに吉村さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、メスキータは真っ暗な空間が連続し、進路を進めていく中で自分自身を見つめ直す空間ではないかと感じました。メスキータの空間構成は、たしかヌーベルもアラブ研究所の地下の空間で応用してましたよね?

ロジャーズはこの躍動感ある屋根でマドリードを表現したかったのかなぁ と当時は思いました。

この前ロンドンへ行って沢山ロジャーズの作品を見てきましたが、ロイズのような初期の作品やバラハスやヒースローのような近作まで,、造形力のあるデザインだなぁと関心するばかり。デザインに対する姿勢は、彼から学ぶところが多いものです。

| travelman-archi | 2009/09/20 2:55 AM |
travelman-archiさん、コメントありがとうございます。
ロンドン行かれたんですね。いいなー、うらやましいですー。
ロジャースって、やっぱり無茶苦茶デザインが巧いんですよね。あんなのダメだ、とか古くさいとか言う人が居るけど、見るべき所はソコじゃなくて、もっと基本的なデザインの部分を見習うべきだと思います。
学ぶべき事って、未だ山ほどありますね。がんばりましょう!
| cruasan | 2009/09/20 11:32 PM |
コメントする