地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その1
とある大型プロジェクトの打ち合わせの為にマドリッドへ行ってきました。まあ、マドリッドで打ち合わせというのはそんなに珍しい事でも無いのですが、今回はいつもとはちょっと趣向を変えて、交通機関にバルセロナーマドリッド間の飛行機を利用してみました。マドリッドとバルセロナは一時間に一本程度の割合で2都市間を結ぶ飛行機がVuelingとSpanairというローコスト航空会社によって運営されています。この格安飛行機と高速鉄道(AVE)の間で熾烈な顧客競争が行われている事は当ブログで何度と無く書いてきた通りです(詳しくはコチラ:地中海ブログ:スペイン高速鉄道(Alta Velocidad Espanola:AVE)バルセロナ−マドリッド間開通一周年記念、地中海ブログ:スペイン高速鉄道(Alta Velocidad Espanola:AVE)に見る社会変化の兆し、とか)。

僕はどちらかと言うと高速鉄道派(AVE派)なので、バルセロナーマドリッド間に飛行機を使用する事は稀です。そんな僕が今回飛行機を利用しようと思い立った主な理由は、先週からフル稼働が始まったバルセロナ新空港を見ておきたかったからなんですね。南ヨーロッパのハブ空港を目指す目的で建設された新バルセロナ空港は、今年の7月、盛大なるセレモニーの中で開港したのですが、残念ながら今まで使用する機会に恵まれませんでした(新空港の開港についてはコチラ:地中海ブログ:バルセロナ新空港(T1)とうとうお目見え)。と言う訳で今回初体験となる、噂の新空港の感想を忘れない内に書いておこうと思います。

家を出たのは、未だ辺りが真っ暗な朝5時。市内からタクシーで向かったのですが、新空港に近つくにつれ、噂には聞いていた、その大きさに圧倒されます。そして先ず出迎えてくれたのがイルミネーションで一面飾られた大きな大きな駐車場。



なるほど、空港には必要不可欠且つ、往々にして粗大ゴミのように汚い風景を作りがちな駐車場を透明な箱に仕立てる事によって、一種のモニュメントに変えてしまおうという戦略か。ナカナカ上手いアイデアですね。



そしてタクシーを降りると、うねるような大屋根が我々を出迎えてくれます。こういう時って、断面の処理が重要だと思うんだけど、残念ながらその辺はあまり成功していませんね。



ココとか、かなり重たくなってしまっています。断面の処理が圧倒的に上手かったのはヘルシンキで見た、スティーブン・ホールのキアズマ(ヘルシンキ現代美術館)ですね。





この断面処理は巧い!空の切り取り方も絶妙(詳しくはコチラ:モスラの断面勝負:Steven Holl (スティーブン・ホール): キアズマ (フィンランド現代美術館))もう一つ例を挙げるならば、やはり槙さんの東京体育館でしょうか(詳しくはコチラ:地中海ブログ:エンリック・ミラージェス(Enric Miralles)の建築その3:バラニャ市民会館(Centro Civico de Hostalets de Balenya)に見る建築の質:実際に建築を訪れる事の大切さ





やっぱりこの屋根のデザインはすごい!この屋根は見るたびに、どれだけのデザイン力がこの屋根を生み出す為につぎ込まれたのかと思ってしまいます。それに比べると、新空港の断面はちょっと格が落ちるかな。せっかく大屋根がいい感じでうねってるのに、断面が太く重たくなりすぎているので、効果半減ですね。

そんな事を思いながらイヨイヨ中へと入っていきます。その空間がコレ:



中は、コレでもか!と言うくらいに高くダイナミックにうねる大屋根が大変に気持ちの良い空間を演出しています。更に白色を基調としたデザインは、ココを訪れる人達に大変清潔なイメージを与えてくれますね。





又、屋根と屋根の切れ目から自然光を導き入れ、更にそれが程好い所でアクセントの役割をしているので、全体がのっぺりとせず、おおらかさを出すのに一役買っています。



屋根に関して言えば、所々に半透明膜を用いる事によって、控えめな分節化のデザインを導入しています。コレは結構効果的かな。この半透明膜から見える青空が一面白の空間に程好い青色のアクセントを付け、大変趣味の良いデザインに仕上がっているんじゃないかな?と思います。

さて、セキュリティチェックを通り搭乗口がある内部へと入っていくと、改めてこの空港の大きさにビックリさせられます。



数年前に建築家コールハース(Rem Koolhaass)等によって「都市としての空港」みたいな議論が流行った事があったけど、この空港は正に「都市そのもの」という感じ。



大屋根の下に沢山のお店が集まっている光景は、正に都市の風景そのものと言っても過言ではないかと思います。唯一つ残念だったのは、デザインが一筆書きで終わっている所でしょうか。例えばこの空間:



透明ガラスや薄いブルーのガラス、そして白タイルを用いる事で、空間を大変上品に仕上げ、一見「綺麗」に見えるのですが、コレは逆に言えば、それ以上のモノではない事を意味します。もっと言っちゃうと、「綺麗だけど、それがどうした!」みたいな。意地悪な言い方をすれば、最近流行の伊東豊雄さんとか妹島和世さんとかの「甘いコピー」でしかない訳です。
細かい事を言えば切りが無いのですが、ココとか見れたもんじゃないですね:



この辺の割付など、時間切れで適当にやったぽい。もう少し何とかならなかったのかなー?ちょっと残念!

でもまあ、ボフィールなりにがんばったと言う所で、合格点は付けられるかなとは思います。星2つです!!!

リカルド・ボフィールの新バルセロナ空港とリチャード・ロジャースのバラハス空港:やっぱりロジャースは巨匠だった!その2に続く。
| 都市戦略 | 20:33 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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