地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ONARA:オシャレ感を出す為に利用される言語:「何処か遠い国」というイメージ
最近ディアゴナル通り(Diagonal)を走るバスに乗る事が多いんですけど、グラシア通り(Passeig de Gracia)を少し過ぎた辺りに最近、こんなお店が出現しました:





日本人なら誰もが耳を疑ってしまうようなネーミングのお店。ONARAですよ、ONARA!



しかも女性のオシャレ系の服を扱っているお店らしい。「もしかしたら何か深い意味でもあるのかなー(例えば臭いほど良いデザイン(笑))」とか思ってネットで調べたけど出てこず。結局分かったのはポルトガル発のブランドらしいと言う事だけ。じゃあ、何かポルトガル語で特別な意味でもあるのかなー?とか思ってポルトガル人に聞いた所、「特に意味は無し」と言う回答。こうなったら最後の手段、と言う訳でお店まで乗り込んで定員さんに質問したけど、定員さんも知らず。

結論:まあ、適当に選んだんでしょうね(笑)。なんか分からないけど日本語から適当な単語を一つ選んで付けておけばカッコいいから見たいな。

多分、99%のヨーロッパ人が「ONARAってどういう意味?知らないけどカッコいいからまあ良いや」で終わる。残りの1%の人が興味本位でネットで調べたり、日本人から意味を聞かされて、笑いのネタにする。どちらに転んでも美味しいか・・・もしかしたら、このお店、考えて無いようで、実は無茶苦茶戦略練ってるかも(冷汗)。

こちらは別の事例。先日の新聞にこんな写真が載っていました:



サッカー界の大スター、ベッカム選手の裸。注目すべきは彼の腹部に掘り込まれた文字。なんか般若心経みたいなのが書いてある(笑)。日本人の僕に読めないんだから、99%以上のヨーロッパ人に読める訳無し(多分ベッカムは知ってる)。でも、コレを見た彼のファンの反応は、「何て書いてあるか知らないけど、カッコいい」でしょうね。

これらを見て、「ポルトガル人(もしくはヨーロッパ人)ってバッカだなー」とか思った日本人の皆さんは多いはずだと思うのですが、ところがどっこい、意味不明の単語を持ってきて街頭を飾ったり、漫画なんかに多用するのは日本人の十八番。それをやらせたら日本人に勝てる民族は先ずいないと思います。

ただ最近、この現象に日本特有と思われる新しい傾向が現れてきました。それを良く表しているのがコレ:



海外でも大人気の(日本刀を振りかざした死神が主人公の漫画)Bleachです。この漫画の中では敵役の名前から番号まで、何とスペイン語が氾濫しています。日本の皆さんにはあまり違和感が無いかもしれないけど、ちょっとでもスペイン語が分かる人が見たら、もう、可笑しくて可笑しくて。

去年あたり、テレビなどでスペイン語がブームだったというような話を聞いた事があったのですが、「じゃ、何故今スペイン語がブームなのか?」については以前にチラッと書いた覚えがあります(探したけど見当たらず)。

つまり早い話が、漫画なんかは従来、英語などを用いて「日本じゃない何処か遠い国」を演出したり、英語の発音による「聞こえの良さ」を利用して「クール感」を出したりしてきたのですが、海外旅行当たり前世代の弾頭や英語教育の充実化、そして英語表記のモノの氾濫などによって、英語がかつて無い程日本人に身近になってくると、英語発音だけでは以前のような「遠い国の感じやクール感」が出なくなってきたんですね。何故なら意味が分かってしまうからです。

例えば昔は「1,2,3」と言う代わりに「ワン、ツー、スリー」と言えば、もうそれだけで、クールな感じが出たんですが、今や「ワン、ツー、スリー」なんて、おばあちゃんでも知ってる。だからクール感を出す為には、他の言語を選ぶ必要が出てきた。そこで白羽の矢が立ったのがスペイン語だったという訳です。

日本人で「ウノ、ドス、トレス(スペイン語で1,2,3)」と聞いて、直ぐに理解出来る人はナカナカ居ないはずです。そうすると、「何だか良く分からないけど、カッコいい」と言う事になるんですね。

ココから予想される事は言語の消費化です。英語が消費されたように、スペイン語も消費される日がきっと来る。すると次はオランダ語、その次はポルトガル語というように、次々と言語を消費する社会に僕らは向かっています。うーん、言語すら消費するようになってきたのか!というのが僕の実感です。
| バルセロナ日常 | 21:00 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
面白いですね。

私(シンガポール在住)のロシア人の友達が会社を設立するのに「発音しやすく(発音間違えられにくく)、ありそうでどこにもない名前がよくって、考えたんだけど、なんか日本語っぽんだよねー 聞いてくれる?」と言ってきたので、聞いたところ、SAGURUでした。

一応、「探る」の意味教えてあげて「会社にはいい名前じゃない?」と言ったらそれで会社名登録してました。

母音と子音が交互で発音しやすく覚えやすいんでしょうね?

そのONARAの名づけ親は近くに聞ける日本人友達がいなかったんでしょうねー(笑)
| la dolce vita | 2009/07/29 5:50 PM |
la dolce vitaさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
なるほどー、母音と子音の関係で名を考えるという、そういう方向もあった訳ですね。これは思い付きませんでした。

ONARAはねー、ポルトガル発祥ですから、日本人は居なかったんでしょうね(笑)
| cruasan | 2009/07/31 5:45 PM |
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