2009.06.14 Sunday
バルセロナ新空港(T1)とうとうお目見え
ここ数日、バルセロナ空港の話題が各新聞を賑わせています。というのも今週水曜日、カタラン人が首を長ーくして待っていたバルセロナ新空港がお目見えする事になっているからなんですね。

どれくらい待っていたかって、その長さ、およそ10年(驚)!最初に新空港の話が持ち上がったのが1999年の事でした。それからというもの、計画が頓阿しそうになったり、資金調達が上手くいかなかったりと、紆余曲折を経て、ようやく今週開設の運びとなったという経緯があるから各方面がお祭りムードになるのも分からないでも無い。
13億ユーロ(1.258.000.000Euro、1ユーロ120円として約1560億円)が投資された新空港のデザインを担当したのは地元出身の建築家、リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)です。現代建築の世界では、はっきり言って既に忘れられた存在と化したボフィールなのですが、地元バルセロナでは未だに大御所としての存在感を維持しています。つい先日も、バルセロナの海岸線に「ドバイの甘いコピーだ」と非難されている三日月のホテルを完成させたばかり。

はっきり言って彼の建築がそんなに良いとは思わないけど、建築というのは純粋芸術では無く、政治的な側面も持ち合わせているので、そういう意味で言うと、これだけのプロジェクトを取り実現させたという意味においてさすがと言えばさすがか。
さて、今回彼が手がけた新ターミナルは既存のバルセロナ空港(El Prat(プラット空港))の真横に位置しています。当然の事ながら2つの空港はバス、鉄道などで結ばれる事になっているのですが、その工事が未だ終わって無いとか何とか‥‥2012年の完成予定らしいのですが、それまでは臨時バスが両ターミナルを繋ぎ、所要時間は約10分だそうです。
さて、気になるその新空港の規模なのですが、総床面積は52万平米(525.000)。地中海域では随一、ヨーロッパ中を見回してみても、最大規模の空港にランクインする事になります。つまりバルセロナ空港が晴れて、ヨーロッパのハブ空港として認識されるに十分な規模を持つ事になる訳です。
今日の新聞(La Vanguardia, 14 de junio 2009, p2-3)によると、新空港の詳細データはこんな感じ:
旅客数/年:3000万人(プラット空港と合わせると5500万人)
空港の駐車場数1万2000
総床面積:52万平米
フィンガー数(飛行機がターミナルにくっつく所):43
セキュリティカメラの数:1200
ターミナル内のお店の数:73
ターミナル内のレストランとバーの数:43
率直に言ってデカイですね。
先ず旅客数なのですが、5500万人規模という事になると、フランクフルト国際空港やマドリッド・バラハス国際空港の上、シャルル・ド・ゴールの下という事になります。ちなみに下記は2008年の乗客数の上位15空港:
1. Hartsfield-Jackson: Atlanta, U.S.: 84.846.639
2. O'Hare International: chicago, U.S.: 77.028.134
3. London Heathrow: London, U.K.: 67.880.753
4. Tokyo Haneda: Tokyo, Japan: 65.810.672
5. LosAngels: Los Angels, U.S.: 61.041.066
6. Dallas-Forth Worth: Dallas, U.S.: 60.226.138
7. Pari, Charles de Gaulle: Paris, France: 56.849.567
8. Fransfurt: Fransfurt, Germany: 52.810.683
9. Pekin Capital: Pekin, China: 48.654.770
10. Denver: Denver, U.S.: 47.325.016
11. McCarran: Las Vegas, U.S.: 46.193.329
12. Amsterdam Schiphol: Amsterdam, Holanda: 46.065.719
13. Madrid Barajas: Madrid, Spain: 45.501.168
14. Hong Kong: Hong Kong, China: 43.857.908
15. John F.Kennedy: N.Y., U.S.: 43.762.282
まあ以前書いたように、現代社会の中における空港の役割というのは大変複雑化しているので、単純に利用乗客数だけでその空港のインパクトというのは測れないんだけど、一つの参考指標にはなりますよね(地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ)
今日の新聞(La Vanguardia, 14 de Junio 2009, Especiales, P14-15)にはリカルド・ボフィールのインタビューが載っていたのですが、その中で彼はこんな事を言っていました:
“Una miniciudad bajo una gran cubierta”
“大きな屋根の下の小さな都市”
つまり都市の中の都市論ですね。古い所ではイグナシ・デ・ソラ・モラレス(Ignasi de Sola Morales)やジョセフ・ラモネーダ(Josep Ramoneda)もしくはオリオル・ネロ(Oriol Nello)、最近ではマニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)なんかが良く引き合いに出している話題です。(地中海ブログ:マニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)の都市戦略:国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)を通した21世紀の美術館の在り方)
彼らの議論は主に、都市を再開発する際にそのエリアに人を集める為の求心核を創り出す必要性がある事を説いたモノなのですが、今回ボフィールが言っている「都市としての空港論」はコールハースなどが90年代初頭から繰り返し議論してきた事で、建築界ではさして目新しい議論でも無いですね。上の詳細データが示しているように、監視カメラが1200台も設置されている所などを見ると、「空港とセキュリティ」のお題にも発展していきそうですね。(地中海ブログ:ウィーン旅行その9:シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)のオーディオガイドに見る最も進んだ観光システム/無意識下による人の流れのコントロール)
ちょっと面白かったのは、このインタビューと共に載っていた写真です:

新空港の規模を市民に理解してもらう為に、バルセロナの新市街地との比較写真が載っていました。
新しい施設や外国の諸施設の大きさの比較として良く用いられるものに野球場やサッカー場があるかと思います。「この施設は東京ドーム50個分です」っていう、例のアレです。50個って、かなりデカイという事は分かるのですが、どれくらいデカイのか?というのがまるで分からない。
その反面、セルダの新市街地と比較されたら、「あー、グラアシ通りからサグラダ・ファミリアまでね」って言う具合に、ものすごく良くイメージ出来る。
僕がイメージ出来るという事は、生まれた時からこの街に住んでいるカタラン人にとっては、そんな事雑作も無いと言う事です。つまり市民の頭の中にその大きさがインプットされているんですね。リンチが言った意味における「都市の判り易さ」という点において、バルセロナは抜きん出ています。だからメンタルマップとか書かせるとこんな感じになるんですね:


(Rubio,A. (1995): la imatge mental de lEixample de Barcelona. In Semiotica de lEixample Cerda, Barcelona, Edicions Proa, p33-43)
特徴としては常に山が上(北)で海が下(南)に描かれている事。これは明らかに事実(バルセロナの本当の東西南北)とは違います。
まあ、それはどうでも良いんだけど、空港の話に戻ると、空港のもう一つ忘れては無らない側面が「物流」という観点から見た機能です。つまりシティ・ロジスティックス(City Logistics)の中心になるが故に、都市の経済に多大な影響を及ぼす訳です。見逃してはならないのは、この飛行場が今後、バルセロナ港とどう連結されていくのか?という点。そして、その2つの機能が結ばれた時こそ、本当の意味でバルセロナがアムステルダムと同等のハブとしてヨーロッパに君臨する事になるのですが、それは又今度にしましょう。

どれくらい待っていたかって、その長さ、およそ10年(驚)!最初に新空港の話が持ち上がったのが1999年の事でした。それからというもの、計画が頓阿しそうになったり、資金調達が上手くいかなかったりと、紆余曲折を経て、ようやく今週開設の運びとなったという経緯があるから各方面がお祭りムードになるのも分からないでも無い。
13億ユーロ(1.258.000.000Euro、1ユーロ120円として約1560億円)が投資された新空港のデザインを担当したのは地元出身の建築家、リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)です。現代建築の世界では、はっきり言って既に忘れられた存在と化したボフィールなのですが、地元バルセロナでは未だに大御所としての存在感を維持しています。つい先日も、バルセロナの海岸線に「ドバイの甘いコピーだ」と非難されている三日月のホテルを完成させたばかり。

はっきり言って彼の建築がそんなに良いとは思わないけど、建築というのは純粋芸術では無く、政治的な側面も持ち合わせているので、そういう意味で言うと、これだけのプロジェクトを取り実現させたという意味においてさすがと言えばさすがか。
さて、今回彼が手がけた新ターミナルは既存のバルセロナ空港(El Prat(プラット空港))の真横に位置しています。当然の事ながら2つの空港はバス、鉄道などで結ばれる事になっているのですが、その工事が未だ終わって無いとか何とか‥‥2012年の完成予定らしいのですが、それまでは臨時バスが両ターミナルを繋ぎ、所要時間は約10分だそうです。
さて、気になるその新空港の規模なのですが、総床面積は52万平米(525.000)。地中海域では随一、ヨーロッパ中を見回してみても、最大規模の空港にランクインする事になります。つまりバルセロナ空港が晴れて、ヨーロッパのハブ空港として認識されるに十分な規模を持つ事になる訳です。
今日の新聞(La Vanguardia, 14 de junio 2009, p2-3)によると、新空港の詳細データはこんな感じ:
旅客数/年:3000万人(プラット空港と合わせると5500万人)
空港の駐車場数1万2000
総床面積:52万平米
フィンガー数(飛行機がターミナルにくっつく所):43
セキュリティカメラの数:1200
ターミナル内のお店の数:73
ターミナル内のレストランとバーの数:43
率直に言ってデカイですね。
先ず旅客数なのですが、5500万人規模という事になると、フランクフルト国際空港やマドリッド・バラハス国際空港の上、シャルル・ド・ゴールの下という事になります。ちなみに下記は2008年の乗客数の上位15空港:
1. Hartsfield-Jackson: Atlanta, U.S.: 84.846.639
2. O'Hare International: chicago, U.S.: 77.028.134
3. London Heathrow: London, U.K.: 67.880.753
4. Tokyo Haneda: Tokyo, Japan: 65.810.672
5. LosAngels: Los Angels, U.S.: 61.041.066
6. Dallas-Forth Worth: Dallas, U.S.: 60.226.138
7. Pari, Charles de Gaulle: Paris, France: 56.849.567
8. Fransfurt: Fransfurt, Germany: 52.810.683
9. Pekin Capital: Pekin, China: 48.654.770
10. Denver: Denver, U.S.: 47.325.016
11. McCarran: Las Vegas, U.S.: 46.193.329
12. Amsterdam Schiphol: Amsterdam, Holanda: 46.065.719
13. Madrid Barajas: Madrid, Spain: 45.501.168
14. Hong Kong: Hong Kong, China: 43.857.908
15. John F.Kennedy: N.Y., U.S.: 43.762.282
まあ以前書いたように、現代社会の中における空港の役割というのは大変複雑化しているので、単純に利用乗客数だけでその空港のインパクトというのは測れないんだけど、一つの参考指標にはなりますよね(地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ)
今日の新聞(La Vanguardia, 14 de Junio 2009, Especiales, P14-15)にはリカルド・ボフィールのインタビューが載っていたのですが、その中で彼はこんな事を言っていました:
“Una miniciudad bajo una gran cubierta”
“大きな屋根の下の小さな都市”
つまり都市の中の都市論ですね。古い所ではイグナシ・デ・ソラ・モラレス(Ignasi de Sola Morales)やジョセフ・ラモネーダ(Josep Ramoneda)もしくはオリオル・ネロ(Oriol Nello)、最近ではマニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)なんかが良く引き合いに出している話題です。(地中海ブログ:マニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)の都市戦略:国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)を通した21世紀の美術館の在り方)
彼らの議論は主に、都市を再開発する際にそのエリアに人を集める為の求心核を創り出す必要性がある事を説いたモノなのですが、今回ボフィールが言っている「都市としての空港論」はコールハースなどが90年代初頭から繰り返し議論してきた事で、建築界ではさして目新しい議論でも無いですね。上の詳細データが示しているように、監視カメラが1200台も設置されている所などを見ると、「空港とセキュリティ」のお題にも発展していきそうですね。(地中海ブログ:ウィーン旅行その9:シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)のオーディオガイドに見る最も進んだ観光システム/無意識下による人の流れのコントロール)
ちょっと面白かったのは、このインタビューと共に載っていた写真です:

新空港の規模を市民に理解してもらう為に、バルセロナの新市街地との比較写真が載っていました。
新しい施設や外国の諸施設の大きさの比較として良く用いられるものに野球場やサッカー場があるかと思います。「この施設は東京ドーム50個分です」っていう、例のアレです。50個って、かなりデカイという事は分かるのですが、どれくらいデカイのか?というのがまるで分からない。
その反面、セルダの新市街地と比較されたら、「あー、グラアシ通りからサグラダ・ファミリアまでね」って言う具合に、ものすごく良くイメージ出来る。
僕がイメージ出来るという事は、生まれた時からこの街に住んでいるカタラン人にとっては、そんな事雑作も無いと言う事です。つまり市民の頭の中にその大きさがインプットされているんですね。リンチが言った意味における「都市の判り易さ」という点において、バルセロナは抜きん出ています。だからメンタルマップとか書かせるとこんな感じになるんですね:


(Rubio,A. (1995): la imatge mental de lEixample de Barcelona. In Semiotica de lEixample Cerda, Barcelona, Edicions Proa, p33-43)
特徴としては常に山が上(北)で海が下(南)に描かれている事。これは明らかに事実(バルセロナの本当の東西南北)とは違います。
まあ、それはどうでも良いんだけど、空港の話に戻ると、空港のもう一つ忘れては無らない側面が「物流」という観点から見た機能です。つまりシティ・ロジスティックス(City Logistics)の中心になるが故に、都市の経済に多大な影響を及ぼす訳です。見逃してはならないのは、この飛行場が今後、バルセロナ港とどう連結されていくのか?という点。そして、その2つの機能が結ばれた時こそ、本当の意味でバルセロナがアムステルダムと同等のハブとしてヨーロッパに君臨する事になるのですが、それは又今度にしましょう。