地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ワイン観光について:ワイン貯蔵庫の生き残り戦略:ワインと建築の協働
スペインで生活する楽しみの一つはワインです。この国では美味しいワインを信じられらないくらいの値段で、たらふく楽しむ事が出来るんですね。

と言っても僕はそんなに飲む方じゃないし、ワインの知識があるわけでもなく嗜む程度なのですが、この数年間で「海産物やパエリアにはやっぱりワインが合うよな」とか偉そうな事を口走るまでになっちゃいました(笑)。

世界的に有名なワインの産地と言えば誰もが思い浮かべるのがボルドーやシャトーなどを生産しているフランスだと思います。しかし、スペインも南フランスに負けず劣らず昔から良質のワインを沢山生産してきたんですね。そしてその南フランスが今大注目しているのが、スペインで沸き起こっているワイン観光ブームです。そしてそのワインブームに火を付けたのが、スペインのワイン貯蔵庫が生き残りをかけて選んだ戦略、スター建築家達とのコラボレーションでした。

「スペインはワインの新しいイメージにおいてグローバルに展開する事の出来る潜在力を秘めている地域である。沢山のワインセラーが建築のランドマークになる為に農業建物の姿を捨てた。こうして外観と中身が一緒になってワインを売り出すためのコラボレーションを始めたのである。」

“Espana es una potencia global en la nueva imagen del vino. Muchas bodegas han dejado de ser edificios agricolas para convertirse en hitos araquitectonicos. Continente y contenido se alian para vender.” ( El Pais Semanal, 19 de Abril 2009, P 62)


ここではスター建築家達が創り出すモニュメントがワインに付加価値を与えるものだと認識されています。そしてその効果は絶大だという事です。

「我々のワイナリーはCNNやフィナンシャルタイムズといった、世界的に有名なメディアに取り上げれる事に成功しました。ここにこそ、我々の投資の収益性を見る事が出来ます。質の高いレポートと共にそれらメディアに取り上げられる為に必要な宣伝経費はおそらくもっと高かったことでしょう」

“Hemos conseguido que nuestra bodega aparezca en medios de tanto prestigio como CNN, The Financial Times, Wine Spectator… Es ahí donde se esta viendo rentabilizada la inversion. El coste de la inversion publicitaria que tendriamos que haber hecho en todo el mundo para aparecer en medios con reportajes de alta calidad nos habria costado mas” (El Pais Semanal, 19 de Abril 2009, P70)


面白いのはここで行われている事がイメージ戦略であり、建築がある種のブランドに付加価値を与えると考えられている所ですね。逆じゃ無いんです。あくまでも建築は「元ある内容物」に付加価値を与えるものだと考えられています。

これを聞いた時に僕が思った事は、先ずは目の付け所の良さですね。

今世紀は観光の時代です。その事に異を唱える人は先ず居ないと思います。そして観光の中でも特に注目されるのが(というか、僕が注目しているのが)「食」と「健康」観光です。食観光というのは、そのままなんだけど、食べる事を目的とした観光です。「健康観光」は聞きなれないかもしれないけど、というか、僕が勝手に作った造語なのですが、健康になる事を目指してセラピーとかをする観光。「え、そんな観光あるの??」とか思っちゃいますが、あるんです。(実はバルセロナが今準備中の目玉戦略の内の一つです。)これはまだまだ下火なのですが、その内火が付く事は間違いないですね。

大体観光っていうのは、お金がある人がする楽しみな訳で、誰が一番お金を持っているかといったら、おじいちゃん、おばあちゃんなわけですよね。そしてそんな彼らが一番気にかけているのが健康なんですね。数年前に丹波哲郎さんが「大霊界」とかいう映画を作ってたけど、あれって戦略的にとっても巧くって、ターゲットとしては明らかに高齢者層を狙っていました。おじいちゃん・おばあちゃん世代が一番関心のある事といったら、何と言っても「死んだらどうなるか?」ですからね。

おっとっと、話がずれた。

さて、ワイン観光というのは実はこれら2つ(食と健康)を横断している(出来てしまう)観光なんですね。ワインというのは飲み方次第で健康に多大なる好影響を及ぼすので。

更にワインセラーがあるのは大抵の場合、都市郊外や田園風景の中です。つまりエコツーリズムとも絡める事が出来るという事です。モニュメンタルな建築を核としたSpaやホテル、そして貯蔵庫の一般公開などを含んだワイン観光の威力は僕自身、ウィーンに旅行した際に身をもって体験しました。(地中海ブログ:ウィーン旅行(Vienna / Wien)その3:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):ファサードに見る建築デザインの本質、地中海ブログ:ウィーン旅行(Vienna / Wien)その4:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):歴史的遺構という物語空間に接続された現代建築、地中海ブログ:ウィーン旅行(Vienna / Wien)その5:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):内部空間にて思う事

こういうしっかりとした下地と戦略があるからこそ光るのが建築家のモニュメントな訳です。ビルバオのグッゲンハイムもそうだけど、ゲーリーの建築ひとつで街が甦る程甘くは無い。その裏にあるべき戦略にこそ目を光らせるべきなんですね。

最近3つ星を獲得し、東京にもレストランを構えるカタルーニャ出身の超売れっ子シェフ、カルメ・ルスカイェーダ(Carme Ruscalleda)はこんな事を言っています:

“la arquitctura impresionante hace que unas bodegas den la vuelta al mundo”, pero “ es la calidad del producto lo que mantiene la marca de una casa”

「印象的な建築はワイン貯蔵庫を世界の日の当たる場所へと連れて行きました・・・しかし(ワインなどの)ブランド名の質はその製品自体(ワイン)の質によって保持されるべきですね」


まあ、当たり前と言えば当たり前なんだけど、最近、こういう当たり前の事が当たり前にならなくなってきている世の中っぽいので。
| 都市戦略 | 21:58 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
美味いよね、スペインのワイン
リオハ、リベラ・デ・ドゥロ、トロ、etc
a+uでもワイナリーの特集が出ているしね。
そして、次はハモンイベリコボデガの登場
を期待しています。ツーリストに組み込んで、
デエサに作られた、イベリコボデガで
ワイン、イベリコ、ケソの食べ放題!
次は、間違いなくこれ!そして、豚インを
吹き飛ばそう!出資者募集!どうだい、cruasan?
| プルーデンス | 2009/04/28 8:45 AM |
プルーデンスさん。そうなんですか、A+Uでワイナリー特集が組まれていたとは知りませんでした。という事は、やっぱり世界が注目しているということですね。生ハムとチーズにはワインがとっても合いますよね。スペイン人が今までで成し遂げた事で、僕は最も評価します。
| cruasan | 2009/04/30 3:45 AM |
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