地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ガウディ建築の傑作、カサ・バトリョ(Casa Batllo)その3:この建築に流れる壮大な物語の全体像
さて前回までで、この建築の最大の見所である中央サロンまでの物語の流れを概観して来ました。



ここから通路を通ってセルダブロックの中庭に面したダイニングルームへと移動します。このダイニングルームにも、やっぱりガウディ建築らしさが出ていて、それが見られるのがこの天井です。



すごくエロチックな天井。女性の乳房を想像させるような大変官能的な表現になっています。



何だか呼吸が聞こえてきそうな程リアルです。そしてこのダイニングルームの扉からは中庭へと出られる様になっているんですね。



典型的なセルダブロックの中庭です。ちょっと前に何度か書いたのですが、現在バルセロナでは市当局の主導でセルダブロックの中庭開放プロジェクトが進んでいます。この計画は、今まで好き放題に駐車場などで埋められてきた中庭を、図書館などの公共施設や緑の被い茂る公園に変えようという、ナカナカ魅力的なプロジェクトなんですね。(詳しくはコチラ:地中海ブログ:エンサンチェ(Ensanche:新市街地)セルダブロック中庭開放計画

以前僕もセルダブロックの一角に住んでいた事があったのですが、中庭に面した部屋は怖いくらいに静かで、日中には陽があふれ、夜になると反対側の家の明かりがまるで印象派の絵画のような素敵な風景だった事を覚えています。素晴らしく居心地の良い空間でした。都心の真ん中でそんな時が止まったような空間を体験出来る所こそがバルセロナの新市街地に住む醍醐味であり、この街の生活の質を上げていると思います。カサ・バトリョが面しているのは、まさにそんな理想的な中庭です。

さて、カサ・バトリョでは今回新たに最上階空間と屋上空間を見学する事が可能となりました。その屋上空間に行くのに通るのが階段室なのですが、ココがナカナカ面白い。



タイルの色を上に行くに従って濃くしているのが分かると思います。









何故こんな事をしたか?というと、陽が多く入る上の方を暗めの色にして、陽が少なく到達する下の方を明るくする事で、下から見た時に階段室全体の色が均質に見えるように計算したからとの事です。



なるほどなー、よく考えてるなー。



そんな事を思いながら最上階へと行くと、そこにはコレマタ素晴らしい空間が僕を待っていてくれました。それがこの空間:



これはスゴイ。真っ白なアーチが「これでもか!」と連続する空間。この空間がどれ程革新的なのか?という事は鳥居さんの著書などを参照してもらう事として、僕が注目するのは、やっぱりココでも天井をかなり意識しているという事ですね。この空間はエントランスの階段空間、グラシア通りに面したサロン空間に続く、この建築の最大の見所の一つだと思います。

さて、この空間を抜け屋上へと昇っていきます。



屋上って煙突やら何やらで、ガウディがかなり趣向を凝らす場所として知られているのですが、カサ・バトリョの屋上には、こんなデザインがしてありました:



ドラゴンの尻尾です。ココで始めて僕たちは気が付く訳です。「そうか!この建築には、エントランスホールの手すりから始まった「ドラゴン」という一つの物語が流れているわけか!」と。あそこからドラゴンが上昇して、建物を貫き、再び屋上にて姿を現すと、こういう訳です。

うーん、様々な場所にチラチラ姿を見せては隠れるといった、「チラリズム作戦」によって、この建築にかなりスケールの大きな物語が流れているという事が分かりますね。

さて、大満足で表へ出て、この建築の全体を良く見ようと思い、通りの反対側へと行き、振り返ってビックリ。



となりのプッチ・イ・カダファルク(Josep Puig i Cadafalch)設計のカサ・アマトリェール(Casa Amatller)が現在改装中で、その建設シートの広告の派手な事!こんな大胆な広告が公共空間で出来るのも、バルセロナならではと言った所でしょうか。
| 旅行記:建築 | 21:47 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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