地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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バルセロナのIKEAに行って来ました:IKEAに見る家具店のエンターテイメント化
ヨーロッパのチープエコノミーの象徴とも言うべき存在、IKEAに行って来ました。バルセロナにIKEAは2つあって、今回行ったのは昨日のエントリで書いた伊東豊雄さんが計画されている2本の塔の真ん前にあるホスピタレット店です。

IKEAはスウェーデン発の大型家具店なのですが、さっきチラッとネットで調べた所、どうやら日本にも入ってるみたいですね。僕はこちらに来るまでは全く知らなかったのですが、ヨーロッパでは絶大な人気を誇る超有名ブランドです。週末ともなるとお子様連れから若年カップルまで、朝から晩までIKEAで過ごすという生活スタイルが出来上がっている程なんですね。コレは大変に面白い現象で、「IKEAで1日中過ごす事が出来る」と読まれるべきであって、それがコノ家具屋の革新的な点の一つなのですが、家具屋がエンターテイメント空間化しているんですね。つまり一種のテーマパークと化している。家具を見る楽しさ、家具を選ぶ楽しさ、家具を買う楽しさに加えて、ありとあらゆる所に人を遊ばせる仕掛けが施してある。

まあ、しかし、そのようなエンターテイメント空間の提供というのはあくまでも付加価値であって、その根底にあるIKEAの真の革命無しには成り立た無いのは明らか。それが価格改革です。来てみれば一目瞭然だと思うんだけど、安い!とにかく安い!そしてデザインが良い!!これだけの質に対してコノ値段なら、そりゃ、普通の家具屋さんは太刀打ちが出来ないのは当たり前と言えば当たり前かー、という感じです。

そしてそれを成り立たせている秘密が、徹底したコスト削減です。これでもか!という程の徹底振りは見ていて気持ちが良くなる程です。その結果、日本の常識からはかなりかけ離れた販売方法をしているので、僕も始めていった時はかなりビックリしましたけど。

先ず入り口をくぐると大きな階段で2階へと導かれます。



そして階段を昇り切った所には紙と鉛筆、そして買い物袋が用意されています。それらを手に取り中へ入っていくとセクション別に家具がズラーっと並んでいるんですね。こんな感じで:







で、面白いのはこのフロアでは家具を見るだけという事。「見てるだけー」ってヤツです。普通ならココで店員さんを呼んで、「コレ頂戴」みたいな話になると思うんだけど、IKEAではそれはやりません。代わりに、気に入った家具があったらその家具に付いている商品番号をせっせと紙に書き込むという作業をします。それを持ってどうするか?と言うと、その答えがコレ:



下階フロア丸ごと倉庫という圧巻の風景!
そしてココではみんな、車輪の付いたデカイ作業用の荷台を引いています。



そうなんです、IKEAが取り入れた最大のコスト削減方法がセルフサービス方式なんです。ココでは何もかも自分でやらねばならず、先ほどメモった紙を見ながら自分で全ての部品を集めなければならないのです。あっち行ったり、こっち行ったりしながら、こんな感じで大量の荷物になってしまいます。



さて、これらを持ってレジに並ぶのですが、ココでもちょっと見慣れない風景が展開されていました。それがコレ:



セルフサービスのレジです。自分でバーコード読み取り機を持って自分で精算しちゃうという、ココまでするか!という徹底振り。まあ、考えてみれば定員さんにやってもらおうと自分でやろうと代わりは無いのですが・・・「定員さんにやってもらわなければならない」というのは、どうやら思い込みだったという訳ですね。

レジが終わったら、次は出口付近にある輸送部門へと行きます。



車で来ている人は買ったものを車に運ぶだけなのですが、家具を運んで欲しい人はココで輸送を依頼する事が出来るんですね。料金は市の中心部からの距離と買ったモノの合計金額に依ります。概して安いです。

こうして店を出て契約した日時には買ったモノが家に運ばれてくる事となります。まあ、普通だったら家具が家に運ばれて来て終わりなのですが、IKEAの場合はココから第二ラウンドが始まります。何故かと言うと、家具を組み立てるのもセルフサービスだからなんですね。



こんな感じで家に運ばれてきた部品をばらして、説明書を読みながら組み立てる風景はこんな感じ:



家具そのものより、組み立てる為の広いスペースが必要になるのが欧米モデルに基ついてるっぽいですね。狭い日本の学生アパートではちょっと無理っぽいかな。

小さい頃、プラモデルが大好きで細かい物を一生懸命組み立てていた頃の事を思い出します。コレは「やらなければいけない作業」というよりは、「やっていて面白い遊び」という感じだと思います。自分の家具になるかと思うと、親しみすら感じてきますね。

さて、今回IKEAに行って大変に巧いなと思ったのが上にもちょろっと書いた「家具店がエンターテイメント化、テーマパーク化している」という事です。最初に通される2階の広大な家具展示スペースには、各セクション毎に小さなモデルルームっぽいディスプレイが作られていて、あたかも「私の部屋もこうなるかも」みたいな幻想を抱かせるんですね。

これらの素敵なディスプレイを見ている内に、頭がだんだんIKEAに洗脳されていきます。そしてそのディスプレイの一つを買おうものなら、「このベットにはやっぱりコノ机が似合うわよね」くらいの勢いで、次から次へと知らない内に買うものを増やされるという洗脳振り。

そしてこの2階を見終わり1階に下りていく丁度その間にあるのが、レストランとカフェコーナー。



歩き疲れたと思った抜群のタイミングでのカフェの配置です。更にココでコーヒーを飲んでいる時の会話は勿論家具の話でしょう。「あれはよかったよね、でもあれも欲しいなー」みたいな、今見たばかりのイメージがドンドン良い方向に膨らんでいきます。そしてやっぱりアレを買うべきだ!と思ったら売り場は直ぐ後ろという近さ。



このレストランがコレマタ巧いんだけど、スウェーデンの食品会社と提携を結んでて、限りなく安く地元の食品を提供しているんですね。勿論ここもセルフサービス。更に使われている家具は全てIKEA。スゲー。ここにもちょっとでも長く店にいてもらおうという意図が至る所に見えて、例えばコーヒーやジュースのお代わりは無料。多分、ココで会話を長くしてもらう事が顧客の家具に対するイメージを膨らませて、結果、家具の売り上げに貢献すると考えているんじゃないのかな?家具などを買う時って、家具を見てる時間も大切だけど、それについておしゃべりをする時間ってもっと大事だと思うんですよね。普通の家具店だったら、そういうおしゃべりは帰ってから家のリビングでして、後日もう一度来店した時に買うというのが普通のプロセスだと思います。しかしそれだと顧客が戻ってきてくれるかどうかは不明だし、かなりの確率で戻ってこないと思う。その点、IKEAはココでおしゃべりをしてもらう事で再来店の必要は無し、一度掴んだ顧客は逃がしません状態です。

そしてこのような仕掛けは店を出る直前まで続きます。レジを出た所に位置しているのが、スウェーデン直送の食品で満たされたちょっとしたコンビニ兼、ちょっとしたカフェ。





一日IKEAで過ごした後、買い物に行くのが面倒くさいという人は多いはず。そんな人の為に出口で夕食のおかずを買って、帰ってから手軽に食べるというスタイルを提案している訳です。

いやー、IKEA凄いです。今回初めて訪れたのですが、ココまで徹底していると、ちょっと感動すら覚えちゃいました。
| バルセロナ日常 | 23:44 | comments(6) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
>cruasan様、
おはようございます。

IKEAは西船橋に上陸後、
関西は神戸ポートアイランドと
大阪の舞洲に進出して来ました。

私みたいな性格(?)ですので、
両方のIKEAに出向き、買い物を
しています。
北欧デザインも好きですし、目の
保養にもと・・・
ただ、車がクーペタイプですので
大きいものは佐川急便で宅配。
これが半端でなく料金が高い。

土・日はおっしゃる通りテーマ・
パーク化され、お待ちの駐車場らしい。
平日に仕事前に何度かいきますので、
空いていて楽です。

以前何度かBLOGでイケアの事を投稿
していますので、お時間がありましたら
チェックして下さい。
ZARAやHMなどのファッション系も
進出してきており、価格破壊戦略に
グローバル化が浸み込んで来ています。
| mory's | 2009/04/06 11:13 AM |
IKEYA実は、日本には、ずいんぶん前
に一度入ってきて、一度撤退しています。

まあ、日本の市場が受け入れなかった
んだけど、撤退した時と今の状況が、どう違う
かが興味深いところです。(個人的に15、6年前
スウェーデンの友達の所にいって、IKEAに
行った時はえらく感動しました。)

撤退理由の一つは、お客様は神様で、上げ膳据え膳の
日本において、ああいった、販売形態が
受け入れなれなかった。(自分で、運んで
組み立てて。その浪費を考えると決して
安くないといったぐあいに)

ちょっと前に友達と話した時、友人は
日本での成功はどうなのかと言っていました。
(理由は、上記と同じ理由で)
まあ、グローバルな企業なので、日本からの撤退は
ないとは思いますが、どうでしょうか?
経済状況が良くなくて、少しでも安く、、
時間をかけて選ぶとなるれば、IKEAは残って
いくとは思いますが。今後の経緯は楽しみです。
| プルーデンス | 2009/04/06 11:59 AM |
IKEAって行くたびに、“ああ、IKEAの戦略にはまってるなぁ”って
思うんですけど、やめられないんですよねぇ。あのカフェテリアも
絶対利用しちゃうし、カフェの下にある、キッチン雑貨のコーナー
とかも、ついつい物色しちゃう。家に帰って、家具を組み立てるため
の体力残しておかないととか言いながら、レジのあとのスタンドバー
でホットドッグ食べちゃったり(笑)。でも、楽しいだけじゃなくて
家具の使い勝手とかデザインとか、感心させられるものが多いです。
しかも、あの値段でしょう。駐車場の外に、“家具の組み立てやり
ます”みたいなプラカード持ってる外国人とかいるのが笑えるけど。
| にきび | 2009/04/07 5:31 AM |
Mory`さん、こんにちは。
そうなんですか、IKEAは大阪にも進出してきているんですか。
輸送料金が高いのは驚きです。車社会が進んでいる日本ですから、皆車で来る事を想定しているのでしょうか?そんな状況では土日の混雑振りは想像出来ちゃいます。車の中で2時間待ちとか、想像するだけで冷や汗モノです(笑)。でも、みんなそれこまでしてIKEAに繰り出すという事はそれだけそのデザインが大衆を惹きつけているという事だと思います。
| cruasan | 2009/04/07 6:14 PM |
プルーデンスさん、こんにちは。
そうですね、何から何までやってもらえる日本ではナカナカあのビジネスモデルは受け入れられないかも知れませんね。しかも組み立てるのに日本の家では小さ過ぎるだろうし。ただ、日本の若者くらいから意識が違ってきているのと、おっしゃる通り、経済状況が芳しくない事から、ちょっとした手間よりは安い方を取るかもというのは大いにありえることだと思います。今後注目ですね。
| cruasan | 2009/04/07 6:17 PM |
にきびさん、コメントありがとうございます。
あのホットドック、妙に魅力的なんですよね(笑)僕も食べちゃいました。そしてあの外国人達。アレかなり笑える。輸送する人用に、「家具運びます」みたいな人達も出口付近に沢山いました。多分、IKEA店内ではああいう呼び込みは禁止ぽっくって、みんなちゃんと自動ドアの内側には入ってこないのも、ちょっと笑えました。
| cruasan | 2009/04/07 6:22 PM |
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