2011.11.06 Sunday
グラシア地区歩行者空間計画BMW賞受賞
大変嬉しいニュースが飛び込んできました。以前僕が担当していたバルセロナのグラシア地区歩行者空間計画がBMW賞を受賞しました!BMW賞というのは、優れた都市計画などに贈られる賞として、都市計画のメッカであるバルセロナは勿論の事、スペイン中の建築家や都市計画家達が「今年はどのプロジェクトが選ばれるんだろう?」と、固唾をのんで見守っている賞の事なんですね。この賞が何故これ程注目されるのかというと、その年の受賞プロジェクトが、ある種の「モデル」として、他の都市のお手本にされるという背景が少なからずあるからです。
グラシアの歩行者空間計画については今まで散々書いてきたのですが、手短に言うと、自動車の排気ガスや騒音に塗れまくっていた地区を歩行者中心で緑溢れる地区に変えちゃおうっていう、当時としては大変画期的な計画の事です(地中海ブログ:グラシア地区祭り:バルセロナの歩行者空間プロジェクトの責任者だったけど、何か質問ある?)。まあ、それが故に、当時は近隣住民からの反対が凄くって、毎週末の様にデモが行われたり、「バルセロナ市役所は何も分かってない」みたいなプラカードを乱立させられたりと、計画が終わる直前まで気が気で無いプロジェクトでした。
その後、アスファルトの舗装や信号機の調整、そして植栽など全ての計画が完了した後の歩行者の実態調査とその分析も引き続き僕が担当してたんだけど、その調査結果によると、このエリアを訪れる歩行者と自転車の数が劇的に増加して、更に個別インタビューを行った所、近隣住民を始め、商店の人達などの満足度が以前に比べて伸びている事などが分かってきました。当然と言えば当然で、と言うのも、歩行者が増えれば商店の前を通る人の数が増加し、それだけ売り上げに結び付く「可能性」が高まるからです。
この計画を皮切りに、バルセロナ市内では22@地区の歩行者計画(地中海ブログ:22@地域が生み出すシナジー:バルセロナ情報局(Institut Municipal d'Informatica (IMI))、バルセロナ・メディア財団(Fundacio Barcelona Media)とポンペウ・ファブラ大学(Universitat Pompeu Fabra)の新校舎)、そしてヨーロッパにおいて最もサステイナブルな都市の一つとして知られている(というか、日本ではさっぱり知られていない)バスク地方のビトリア市でも、次々とこの歩行者空間計画を採用し始め、僕もこれらの計画に駆り出される事となったんだけど、ビトリア市の計画なんかは今思い返してみても「結構良く出来てたなー」なんて思ったりしちゃいます(地中海ブログ:フランクフルト旅行その3:広告としての緑の都市計画)。
都市内を歩行者空間にするだけでなく、都市を取り巻く様に「緑の指輪」を創り出す事によって、都市の境界を明確にすると同時に、際限無いアーバニゼーションを抑制しつつ、更にはそのエリアを緑溢れる公園として解放するという計画を立案、そして実施したんですね。
これらの計画に見られるように、今、ヨーロッパの諸都市では明らかに自動車を都市から追い出し、そして歩行者中心の都市に移行していこうという意図が見られます。勿論これはそんなに簡単な話ではなくて、自動車というのは(ある意味)都市経済を回しているモーターでもある事から、それをあまりにも排除してしまうと、今度は都市の経済活動が停滞してしまうという、ある種の矛盾をも抱えているからです。
故に歩行者空間を計画する際に重要だと思われるのは、都市という大きな枠組みの中において、「どの地区をどういう位置付けにしたいのか?」という、都市全体から見た時の都市戦略だと思います。それが全てであり、今までのバルセロナの都市計画における成功の鍵はそこにあったと言っても過言では無いと思います。
何はともあれ、嬉しいニュースでした。
追記: バルセロナのレストラン情報で書こうかと思ったけど、書く程でもないのでココに書いちゃおう。昨日友達に連れて行ってもらったレストランで、生まれて初めてエスカルゴを食べました:
初めは、「ぎゃー」とか思ったんだけど、食べてみたらこれが意外に美味しかった。普通のエスカルゴみたいに大粒ではなくて、カタルーニャ特有の小さいサイズのカタツムリ。バルセロナに来られたら、一度試されてみるのも悪くはないかも。
グラシアの歩行者空間計画については今まで散々書いてきたのですが、手短に言うと、自動車の排気ガスや騒音に塗れまくっていた地区を歩行者中心で緑溢れる地区に変えちゃおうっていう、当時としては大変画期的な計画の事です(地中海ブログ:グラシア地区祭り:バルセロナの歩行者空間プロジェクトの責任者だったけど、何か質問ある?)。まあ、それが故に、当時は近隣住民からの反対が凄くって、毎週末の様にデモが行われたり、「バルセロナ市役所は何も分かってない」みたいなプラカードを乱立させられたりと、計画が終わる直前まで気が気で無いプロジェクトでした。
その後、アスファルトの舗装や信号機の調整、そして植栽など全ての計画が完了した後の歩行者の実態調査とその分析も引き続き僕が担当してたんだけど、その調査結果によると、このエリアを訪れる歩行者と自転車の数が劇的に増加して、更に個別インタビューを行った所、近隣住民を始め、商店の人達などの満足度が以前に比べて伸びている事などが分かってきました。当然と言えば当然で、と言うのも、歩行者が増えれば商店の前を通る人の数が増加し、それだけ売り上げに結び付く「可能性」が高まるからです。
この計画を皮切りに、バルセロナ市内では22@地区の歩行者計画(地中海ブログ:22@地域が生み出すシナジー:バルセロナ情報局(Institut Municipal d'Informatica (IMI))、バルセロナ・メディア財団(Fundacio Barcelona Media)とポンペウ・ファブラ大学(Universitat Pompeu Fabra)の新校舎)、そしてヨーロッパにおいて最もサステイナブルな都市の一つとして知られている(というか、日本ではさっぱり知られていない)バスク地方のビトリア市でも、次々とこの歩行者空間計画を採用し始め、僕もこれらの計画に駆り出される事となったんだけど、ビトリア市の計画なんかは今思い返してみても「結構良く出来てたなー」なんて思ったりしちゃいます(地中海ブログ:フランクフルト旅行その3:広告としての緑の都市計画)。
都市内を歩行者空間にするだけでなく、都市を取り巻く様に「緑の指輪」を創り出す事によって、都市の境界を明確にすると同時に、際限無いアーバニゼーションを抑制しつつ、更にはそのエリアを緑溢れる公園として解放するという計画を立案、そして実施したんですね。
これらの計画に見られるように、今、ヨーロッパの諸都市では明らかに自動車を都市から追い出し、そして歩行者中心の都市に移行していこうという意図が見られます。勿論これはそんなに簡単な話ではなくて、自動車というのは(ある意味)都市経済を回しているモーターでもある事から、それをあまりにも排除してしまうと、今度は都市の経済活動が停滞してしまうという、ある種の矛盾をも抱えているからです。
故に歩行者空間を計画する際に重要だと思われるのは、都市という大きな枠組みの中において、「どの地区をどういう位置付けにしたいのか?」という、都市全体から見た時の都市戦略だと思います。それが全てであり、今までのバルセロナの都市計画における成功の鍵はそこにあったと言っても過言では無いと思います。
何はともあれ、嬉しいニュースでした。
追記: バルセロナのレストラン情報で書こうかと思ったけど、書く程でもないのでココに書いちゃおう。昨日友達に連れて行ってもらったレストランで、生まれて初めてエスカルゴを食べました:
初めは、「ぎゃー」とか思ったんだけど、食べてみたらこれが意外に美味しかった。普通のエスカルゴみたいに大粒ではなくて、カタルーニャ特有の小さいサイズのカタツムリ。バルセロナに来られたら、一度試されてみるのも悪くはないかも。