地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
バルセロナの食べ歩き方番外編:名古屋の食べ歩き方:滝カフェ、きらら
2年ぶりに日本に帰ってくるにつけ、原風景を含めた日本の社会文化の移り変わりの早さに只々圧倒されるばかりなのですが、そんな中でも「僕が特に変わったなー」と思う事の1つに、名古屋における近年の喫茶店の充実ぶりが挙げられます。



最近では様々なメディアがこぞってご当地グルメを紹介しているので知っている方も多いかとは思いますが、伝統的に名古屋には大変独特な喫茶店文化が存在します。と言うか、「名古屋のカフェ文化は変わってる!」と名古屋人が認識し始めたのは極々最近、それこそテレビ番組なんかが「地方の一風変わった食文化」を報道する様になってからの事なんですね。



例えば朝食の時間帯にはコーヒーを一杯頼むだけでトーストや卵といったものが付いてくる「モーニングサービス」があったり、そのモーニングに付いてくるパンに小倉を載せて食べてみたり(ちなみに小倉だけを頼む事も可)、とってもお得な9枚綴りのコーヒーの回数券が存在して、みんながそれを持っていたりと、名古屋の喫茶店文化とその特徴を語り出せばキリがありません。



「喫茶店(カフェ)、都市、文化‥‥」というキーワードを並べていけば必ず思い起こされるのが、公共空間の変容を謳ったハーバーマスなんだけど(地中海ブログ:東さんの「SNS直接民主制」とかマニュエル・カステル(Manuel Castells)のMovilizacionとか)、こんな独特なカフェ文化を目の当たりにすると、名古屋の喫茶店と言うのは正にヨーロッパにおけるカフェ=公共空間の様な機能を果たしているのかなー?‥‥と、そう思わない事もありません(そちらの話をし出すとまた脱線してしまうので、それは又別の機会にでも)。

と言う訳で、今日は僕が最近行った喫茶店の中でもナカナカ良かった、と言うか、ちょっと驚かされたカフェを紹介しようと思います。それがコチラ:



じゃーん、自然の滝を見ながら美味しい善哉が食べられる喫茶店、その名も「滝カフェ、きらら」です。

住所:(〒480−1201)愛知県瀬戸市定光寺町323−12
電話番号:0561−48−6669




ごくごく普通の住宅地が広がる高蔵寺駅から10分も車で走ると、俄には信じられないくらいの濃い緑が生い茂る風景が出現します。家々が立ち並ぶ人工的な街並みから、この圧倒的な自然への切り替わり方はちょっと凄い。今回お目当てのカフェは、この深―い緑の中、知らなければ絶対に通り過ぎてしまう様な場所に位置しているのですが、そんなカフェの駐車場兼入り口がこちらです:



「え、こんな所に本当に喫茶店なんてあるの?!」って感じなのですが、騙されたと思って標識に従って階段を降りていくと現れてくるのがこの風景:



緑の中に溶け込む様に設えられているテラス席と、そこからチラチラ見え隠れしている滝、そしてそこから大変心が癒される「滝の音」が聞こえてくるんですね。「あー、癒される〜!!」とか思いつつ、もうちょっと歩いていくと現れてくるのがこちら:



た、滝だー!生の滝なんて見たのは一体何年振りだろう‥‥って感じかな(笑)。正直、これだけでかなり興奮するwww。この滝沿いに屋外テラス席が並べられていて、それがそのままアプローチ空間となっています。



このアプローチ空間を言われるがままに歩いて行き、入り口を潜るとそこには我々を出迎えてくれるちょっとした売店兼エントランス空間が用意されていました。



この地方のお土産なんかを売っているこの空間を更に左手方向に折れます:



それほど大きくは無い空間の真ん中に2つのテーブル、そしてそこから更に左手方向に直角に折れると、そこに現れるのがこの風景です:



じゃーん、滝を真っ正面に見る事が出来るカウンター席の登場〜。これは気持ち良い!!



ほら、本当に手が届きそうな所に滝があるんですよー。水が岩に当たる音が非常に心地良く、更に青々とした森林の中に流れる滝はもう絶景としか言い様がありません!で、この滝を見ながらこのカフェで注文すべき一品がこちらです:



日本が世界に誇るべきお菓子、善哉セットです。



このぜんざいがコレ又美味しいんだな!1つ1つの粒がしっかりしていて、それほど甘過ぎず、しつこい感じは全く無し。ケーキセットも捨てがたかったんだけど、やっぱりこういう日本的な風景の中では、この国が育んできたモノを食すのが一番良いかと思います。

で、ここからが面白い所なんだけど、建築家の目から見て、お世辞にも「良い建物」とは言えないこの建築空間の中にさえも、我々日本人が長い年月を掛けて培ってきた「空間文化の様なもの」が垣間見えてくるんですね。



この土地における一番の特徴は明らかにココに存在している滝であり、逆に言えば、この滝の存在こそがこの土地を希有なものにしている要因である事は間違い無いのですが、そんな「掛替えのない滝」を、先ずはアプローチ空間でチラッと見せておきます:



その滝を横目に見せつつ、「敢えて」反対方向に進みながら入り口へと我々を導く仕掛けが施されています。



この時(入り口を入る時)、「我々には一切滝は見えていない」と言う所がポイントかな。先ずは耳だけで滝を楽しんで頂戴‥‥みたいな(笑)。そしてエントランスを入ったら、今度は進行方向とは90度直角方向(左手側)に強制的に進まされます。



更にそこから、もう一度左手方向に(直角に)方向転換させられてから、この空間のクライマックス的な要素である滝を「全面に見せる」という一連の空間的な物語が展開しているんですね。



‥‥と、ここまで書いてきて鋭い人は気が付いたかもしれませんが、そう、エントランスから最後のクライマックス的空間まで、この空間に展開しているのは正に「螺旋の運動」なのです。まるで渦を巻き、上方へと引っ張られる様な螺旋運動がこの空間を支配しているのです(地中海ブログ:パリ旅行その6:大小2つの螺旋状空間が展開する見事な住宅建築:サヴォワ邸(Villa Savoye, Le Corbusier)その1:全体の空間構成について)。



上述した様に、この喫茶店の建物自体には(そのディテールを含め)特筆すべき点はあまりありません。しかしですね、我々が驚くべきなのはこの空間に存在している「空間の流れ」という視点であり、一見平凡なこの建物に展開しているのは、それこそ日本の名建築に見られるのと同等の空間構成を伴った日本建築のDNAなのです。

こんな何気無い、どこにでも存在しそうな建物の中にすらも日本建築の特徴らしきものが垣間見えてしまうという事、意図せざる所にまでも日本的特徴が滲み出てしまうという点にこそ、逆説的に僕は「日本文化の特色」みたいなものを感じてしまいます。

この空間で頂く善哉も絶品だったし、大自然に癒されたい方は是非お立ち寄りください。
| レストラン:バルセロナ | 09:50 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方番外編:名古屋の食べ歩き方:吉い
皆さんご存知の様に、先週ボストンが物凄い事になってしまい、つい先日まで住んでいた者として、深いショックを受けています(悲)。



今回の事件の犯人達がMITで発砲事件を起こす直前、近くのコンビニで強盗事件をしているのですが、実はそのコンビニ(セブンイレブン)が僕が住んでいた所から徒歩3分の「行きつけのコンビニ」だと知った時は本当に「ぞっ」としました。しかも犯行時刻が午後10時30分頃という事で、その時間は正に僕がコンビニの真っ正面にあるカフェから出てくる時間とピッタリ!こんなに身近な所で殺人事件が起こったのは人生初という事で、色んな意味で記憶に残る事件となってしまいました(怖)。



さて、実は今、所用で日本に来ています。とは言っても、何かと忙しくて名古屋を中心とするアジアを行ったり来たりしてるんですけどね。



日本へ来るのは2年振り!2年も来ないと色んなものが変わっていて、本当に浦島太郎状態(笑)。って言うか、人のアイデンティティの拠り所となる原風景すらも物凄いスピードで変わっていくという点こそ、(良い悪いは抜きにして)日本の都市の特徴だと再確認させられます(地中海ブログ:ガリシア旅行その10:元貴族の居城を改修したレストラン:Pazo do Castro)。



海外に長く住んでいると日本という国の社会文化を客観的に観察する眼が養われると思うんだけど、2年間も日本に帰ってない&スペインとアメリカという、言うなれば両極端の社会文化を体験してきた僕の眼から見た時の日本文化の特徴‥‥つまりはスペインもしくはアメリカと比べて見た時に、「明らかに際立った特徴として映るもの」‥‥それはやはり日本の食文化です。



無茶苦茶美味しい牛丼が300円程度で食べられたり、極上の豚骨スープのラーメンが800円だったり、コンビニに行けば感動的なシュークリームが売っていたりと、もう、何処へ行って何を食べても美味しいというのは、端的に言って「凄い」としか言いようがありません。

僕はヨーロッパを中心に結構な数の国に行き、様々な地域の都市で過ごした事がありますが、こんなに美味しいものが揃っている国は日本以外にありません。

と言う訳で、ここからは最近僕が行って美味しかったレストランやカフェをちょっとずつ紹介していきたいと思うのですが、その名もずばり「バルセロナの食べ歩き方番外編、名古屋の食べ歩き方」(笑)。第一回目の今日はこのお店:



名古屋市中区新栄にある「吉い」さんです。大通りから一本入った所にひっそりと佇んでいるこのお店は、ハッキリ言って一目見ただけではレストランとは分からないので、通り過ぎること、間違い無し(笑)。



でも聞いた所によると、このお店は超人気店らしく今では予約は6ヶ月待ちらしい(驚)。つまり予約数だけで見れば、バルセロナ近郊にあった世界一のレストラン、フェラン・アドリアのエルブジ並みって事!

よくよく聞いてみると、どうやらそういう状況になってきたのはごく最近らしく、つい半年くらい前までは普通に予約が出来たそうです。で、今回は偶々知り合い(2人)が予約をとっていて、その内の1人が急に行けなくなってしまったので‥‥と言う訳で運良く僕に順番が回ってきたという訳なんです。



ルンルン気分で早速お店の中に入ってみると、中はカウンター席が7席のみという超シンプルな作り。ランチは一日に2組のみで一回転しかさせないそうなんだけど、何故かというとこのレストランはシェフの方(吉井さん)が1人で切り盛りしているらしく、その日に仕入れた最高の食材を最高の状態で出す事が出来るのが一回のランチにつき二組が限界という事らしいんですね。



席に着くと吉井さん自らのご挨拶に始まり、先ずはしっかりとした重みのある急須でお茶が出て来ました。木で出来たお箸やレンゲ、箸置きなども非常に上品で、何よりお茶が美味しい〜。と、ここで前菜の登場〜。



ホタルイカの黄身酢和え。今の季節しか食べられないホタルイカ、小さいけれど味がしっかりしていて歯ごたえも抜群。そんなホタルイカに、甘過ぎず、かと言って酸っぱ過ぎない黄身酢が絶妙のハーモニーを醸し出している。前菜からいきなり絶品が出て来てかなりビックリ!とか思ってたら今日の一皿目の登場:



一皿目はコレ又この季節しか食べられない筍の煮物。筍とは思えないくらい柔らかいんだけど、それでいてしっかりとした歯ごたえがある一品に仕上がっています。何が美味しいって、スープが絶妙なんだよなー。 続いて出て来たのがコチラ:



道明寺粉の中にすり身の魚を入れて桜餅の葉っぱで包んだ一品です。上に載っているワサビと絶品のスープが相俟って、これまた素晴らしいハーモニーを醸し出しています。このスープが本当に絶品で(僕にしては珍しく)全部飲み干してしまった程なんですね。普段あまり飲まないんですよ、スープ。お腹が一杯になっちゃいますからね。



上述した様に、このお店は全てがカウンター席になっていて、目の前で料理人の方が一品一品丁寧に作ってくれるのが全て見える様になってるんだけど、その様子を見ていて幾つか気が付いた事がありました。



プロの料理人が料理を作る所なんてあまり見る機会が無いんだけど、非常に驚いたのはスープを作る鍋に取っ手が無い所。熱々の鍋を持つ時はペンチの様なもので持ち上げてたんだけど、何でそんな面倒な事をするのかというと、それは多分収納する時に鍋が重ねられる様にという機能的な問題故なのでしょうね。



もう一点非常に面白かったのが、ご飯の炊き方です。このお店ではお客さんが入ってから土鍋でご飯を炊いてくれるんだけど、その炊き方が少し変わっていたのです。僕もスペインやアメリカでは鍋で良くご飯を炊くのですが(お米を炊くジャーが無いのでww)、一般的なご飯の炊き方って、お米を水で洗って水を入れてそのまま火にかけて水が沸騰してきたら火を弱めて炊きあがるまで蓋を取らないというのが一般的な炊き方だと思います。しかしですね、この店では水が沸騰したらその直後に蓋を開けてご飯をかき混ぜていました。「ご飯は炊きあがるまで蓋を開けてはいけない」と思い込んでいた僕にとっては、ちょっとしたショックですらあったかな。

更に更に、ご飯の盛りつけにも大変気を使っているのが垣間見られたのですが、と言うのも、杓文字でご飯を土鍋からお茶碗に移す際、押さえつけるのでは無く、あくまでもフワッと、とっても優しく盛りつけているのが印象的でした。で、そうやって出来たご飯がコチラ:



このご飯、本当に白く輝いている。「お米が立ってる」というのはこういう事を言うんでしょうね。素晴らしいの一言!そしてそして、今回出てきた一連の料理の中でも一番感動したのがこの焼鮭なんだけど、何が凄いって、この皮がパリパリなんです!それなのに身はふっくら。ここまでくると芸術品と言っても過言では無いと思います。ハッキリ言ってこんなに美味しい焼鮭は今まで食べた事がありません!

この魚とご飯、そして味噌汁と漬け物。日本食の伝統と文化がここにギュッと詰まっているかの様ですらあります。そして最後はデザート:



甘さを抑えた黒糖の寒天。そこにこれまた甘過ぎないクリームが掛かっています。そしてこれらの間にアクセントとして機能しているのが最初に出されたお茶なんですね。このお茶が又、デザートにも合うんだな!

素晴らしい。こんなに美味しいランチは久方ぶりです!しかも、これだけ食べて、これだけ素晴らしい芸術品の様な料理を味わって、お値段は一人2100円!!うーん、こんなレベルの料理をこの値段で出されたら、アメリカでハンバーガーなんかに1000円とか出すのを躊躇っちゃうなー。

料理記者歴たった3年程度の僕だけど、「大変、大変美味しゅうございました!」。星三つ、いや、四つです!!
| レストラン:バルセロナ | 21:56 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:Casa Roura:「食事とはその場の雰囲気や空間など、5感全てを巻き込んだ総合芸術である」という事を思い出させてくれるレストラン
所用で、バルセロナから電車で1時間程の所にある小さな町、Canet de Marに行って来ました。



美しいビーチの前に位置しているこの町は、1時間もあれば端から端まで歩く事が出来ちゃうくらいこじんまりとしてるんだけど、何を隠そうこの町の至る所にはガウディと並ぶモデルニスモの旗手、ドメネク・イ・ムンタネール(地中海ブログ:リュイス・ドメネク・イ・ムンタネール(Lluis Domenech i Montaner)によるモデルニスモ建築の傑作、サンパウ病院(Hospital de la San Pau):病院へ行こう!どんな病気も直ぐに治るような気にさせてくれるくらい雰囲気の良い病院)やプッチ・イ・カダファルク(地中海ブログ:国際博物館の日(International Museum Day):世界屈指のロマネスク美術コレクションが凄いカタルーニャ州美術館(MNAC))の作品が点在しまくっているという、建築や美術好きには溜まらない町となっているんですね。



町の中心部にはドメネク・イ・ムンタネールが日常使っていた生活用品や、生前彼が収集したと思われる大変貴重な芸術作品などを集めまくったムンタネール博物館なるものが存在しています。



この剣なんて正にドラゴンクエストに出てきてもおかしく無いくらいの完成度!そう、正にここはリアル・ドラゴンクエストの世界そのものと言っても過言ではありません。



まあ、そんなドラクエ好きには溜まらなく素敵な町なんだけど(笑)、その中でも僕の関心を惹いたのが、この博物館の対角線上に建っている1892年にムンタネールが完成させた昔の貴族の館(Casa Roura)です。外観の秀逸さもさる事ながら、僕が最も驚いた事実、それはこのお屋敷、現在は現役のレストランとして使われていると言う点なんですね!



ヨーロッパの町へ行くといつも思うんだけど、何百年も前に建てられた建物を大切に大切に改修しながら使い続けていくその姿勢には毎回脱帽せざるを得ません。そんな所から自分の町への愛着が生まれ、はたまた、その人のアイデンティティというものが生まれてくる事になるのかなー?と‥‥つまりは町の原風景とは我々人間が生きていく為のアイデンティティの拠り所であり‥‥あー、又話が脱線してしまった‥‥。この話をし出すと長くなるので、又今度(地中海ブログ:ガリシア旅行その10:元貴族の居城を改修したレストラン:Pazo do Castro)。



僕がこのレストランの存在を知ったのは全くの偶然でした。



あれは忘れもしない4年くらい前の事、バルセロナから電車とバスを乗り継いで3時間近くを掛けてエンリック・ミラージェスが手掛けた図書館を見に行った帰り(地中海ブログ:バルセロナからの小旅行その2:エンリック・ミラージェス(Enric Miralles)とベネデッタ・タリアブーエ(Benedetta Tagliabue)(EMBT)のパラフォイス図書館(Biblioteca Publica de Palafolls):空と大地の狭間にある図書館)、思い掛けず時間が余ってしまった事などから、「せっかくこんな遠くまで来たんだし、帰り道で何処かに寄って行こうかな」くらいの勢いで偶々来たのがこの町だったんですね。



で、着いたのが丁度お昼時(15時くらい)で、「観光する前に何処かで昼食を」と思い、町中をぶらぶらとしていた時の事、偶然にも目に入ってきたのがこの建物だったという訳なんです。



では一体、このレストランの何がそんなに凄いのか?言い換えると、僕の心をそこまで惹き付けた要因は一体何だったのか?

ずばり言います。それは、このレストランへ来ると「食事というのは料理の味だけではなく、それを食べる空間的な質、そしてそこに流れる雰囲気が非常に重要なんだ」という事を教えてくれる点に尽きます。そう、食事とは味覚や嗅覚だけでなく、知覚や触覚、ひいては聴覚までをも総動員して楽しむ総合芸術なのです。



日々の忙しさに追われている我々現代人は、ともすればそんな基本的な事をも忘れがちなんだけど、このレストランへ来ると、そんな我々人間が生きていく上で「非常に重要な何か」を思い出させてくれるかの様なのです。

と言う訳で、仕事をさっさと済ませて今回も早速行ってきたと言う訳なんですね。軽やかなステンドグラスで彩られたドアを開けると、僕達を出迎えてくれるのがこの風景:



2層吹き抜けの高い天井に、まるで天まで上っていくかの様な階段の登場です。



この直ぐ脇には家族や友人達とちょっとしたプライベートな雰囲気で食事を楽しむ事が出来ちゃうスペースが用意されていました。



この空間が又凄くって、例えばこの天井の素晴らしい事!



モデルニズム建築の特徴の1つ、壁を覆っているタイルや鉄細工といったもの全ての要素が一体となり、一丸となってこの空間を非常に特別なものにしている事が分かります。



ちなみに2階もあって、こちらはこれまた大変落ち着いた雰囲気の空間となっていました。‥‥と、そうこうしていたら僕の席の準備が整ったとの事。案内されるがままについていくと、そこに展開しているのがこの風景:



じゃーん!圧巻の大空間の登場〜!



この空間の中央にはナカナカお目に掛かれないくらいの質を持った暖炉が置かれています。



初めてこの空間に通された時は、「え、ここで食事しても良いの?本当に?」とか、戸惑ってしまった事を今でも覚えています。それほど素晴らしい空間なんですよ!



美味しそうなワインもこんなに一杯!



で、今回はお昼のランチメニューを頼んだんだけど、この空間があまりにも素晴らしかったので、料理の写真取るの忘れた!何たる失態(悲)。料理記者歴4年程度の僕(料理記者歴40年の岸朝子さんには未だ未だ遠い!)が料理の写真を取り忘れるくらいこの空間が素晴らしかったと、そう思って頂ければ幸いです。で、唯一撮ったのがコチラ:



じゃーん!海辺の町の定番メニュー、海産物のパエリアでーす。海産物の出汁が凄く利いてて、久しぶりの「大変美味しゅうございます!」。



締めは勿論コーヒーで。



満足、大満足です!今日頂いた料理はどれも美味しく、一品一品の質だけを取り上げても、バルセロナを代表するパエリアの名門店エルチェに負けずとも劣らない質を持っていると思います。しかしですね、それ以上にこのレストランでの食事を特別なものにしているもの、それは紛れも無くこの建築に展開している空間の質だと僕は思います。



同じ料理を「まばゆいばかりの光りが燦々と降り注ぐ洗練されたデザイン空間の中で食べるのか」、はたまた「日も当たらない様な狭い空間の中で食べるのか」によって、その人の料理に対する満足度は確実に変わってくると思います。料理って、味だけでなく、どういう空間で食するのかっていう「空間的な要素」が非常に重要であり、そしてその評価を考慮に入れる必要があると思うんですよね。

そんな「感じが良い」とか「素敵な空間」と言った、今までは言葉でしか語られてこなかった事、それをキチンと数値化して定量化する事、云わば、建築をサイエンスの分野にまで引き上げる事、それこそ僕がこの数年間格闘している事でもあるのです。

そんな事を思わせてくれる非常に素敵なレストラン。星三つです!
| レストラン:バルセロナ | 22:21 | comments(8) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:El Tunel D’en Marc Palouのランチメニューはちょっと凄い
長かった冬休みもやっと終わり、スペインではようやく今週辺りから日常生活のリズムに戻りつつあります。そして待ちに待った冬のバーゲンの到来です!



スペインには一年を通して大きなバーゲンが2回あるんだけど、これがちょっと凄くって、初日から50%OFFは当たり前、店によっては70%引きって言う信じられない店も存在するから驚きなんですね。って言うか、こういう具体的な数字に直面すると、「昨日まで普通に買ってた僕は一体何だったんだ!」って気になります(苦笑)。



この時期バルセロナでは各ブランド店などがバーゲンの売り上げを良くする為&注目を集める為に「変わったプロモーション」をするのが常なんだけど、去年はDESIGUALが「下着で来店したらどれでも服を無料でプレゼント」っていう信じられないプロモーションをしていました(地中海ブログ:「下着姿で来店したらどれでも服を無料でプレゼント」って言うDESIGUALのプロモーションに遭遇してしまった)。

もう一つちなみに、スペイン人とは体の作りが根本的に違う日本人の皆さんは、バーゲンを思いっきり楽しもうと思っても、街中を歩いてる最中なんかについついトイレに行きたくなってしまうのが常だと思います。日本の様にコンビニなんか無いヨーロッパにおいては休憩を兼ねてカフェに入るっていうのが手っ取り早い解決法だとは思うんだけど、そう何回もコーヒーばっかり飲んでる訳にもいかないし、逆にコーヒーで水分を取ったら又トイレに行きたくなるっていう悪循環に陥るのがオチだと思うんですね。そんな僕らの強い味方、それがバルセロナの目抜き通り(グラシア大通り)に位置するショッピングセンター、Bluevard Rosaの中にある公共トイレです(パチ、パチ、パチー)。ただコチラのトイレ、ちょっと問題がありまして‥‥:



そうなんです!何を思ったか、前衛過ぎるコチラのトイレ、扉が透明で中が丸見えなんですね(笑)。ちなみに男女共用(苦笑)。まあ、とは言っても勿論仕掛けはちゃんとあって、鍵を掛けたら曇りガラスになるっていう作りになっているんですけど、入るにはちょっと勇気がいる事も確か(詳しくはコチラ:地中海ブログ:夏バーゲンの始まり:入るのに世界一勇気のいるトイレ)。世にも珍しいコチラのトイレ、観光のついでに一度見に来るのも、今後の話のネタには面白いかもしれません。

と言う訳で、現在バルセロナはバーゲン熱が急騰中なんだけど、今週に入ってからというもの、今まで溜まりに溜まっていたミーティングが雪崩の様に入ってきてしまって、ゆっくりとショッピングをする時間も取れない毎日が続いています(悲)。そんな中、新聞社に勤めるカタラン人の友達から久しぶりに電話が掛かってきて、仕事の話も交えながらランチへ行こうという事になり、気分転換に早速行ってきました。今回僕達が選んだのが地元民に愛されるEl Tunel D’en Marc Palouというお店です:

コンタクト
Address: Bailen 91, Barcelona
Tel: 932658658
Web: http://www.eltuneldenmarc.com/

場所的にはサグラダファミリアとカサバトリョの中間くらいの所に位置してるんだけど、近くには特に目立った観光名所も無い事から、観光客の人達は先ず寄り付かないエリアにひっそりと佇んでいるんですね。その代わりと言ってはなんだけど、実はこのレストランの真後ろにカタルーニャ地方の大衆紙として知られるEl Periodicoの本社がある事から、昼食時にはジャーナリストを良く見かけるかな。



店内はそれほど広くなくて、面積的にはちょっと狭い感じもするけど、白色を基調としたインテリアも手伝って、概して清潔感溢れる印象を与えてくれます。大きなガラス窓からは一杯に日の光が入ってくる一方で、下半分が曇りガラスになっている事から、歩行者の視線は全く気にせずに済む作りになっているんですね。さて、席に座ってランチメニューを頼むと、先ずはアミューズが出てきます:



このお店特性のジャガイモ(patata)と(スペインの)サツマイモ(boniato)のポテトチップス。揚げたてのアツアツをオリーブオイルに付けて食べるというもの。ハッキリ言って只のポテトチップスなんだけど、オリーブオイルに付けて食べると、高級感溢れる一品に変わるから不思議です(笑)。そして今日のワインはコチラ:



カタルーニャ産(Penedes)の赤ワイン、Vallformosaです。うーん、とってもフルーティー〜。口当たりも良く、幾らでも飲めちゃう感じかな。パンはこの店で焼いた数種類あるパンの中から選ぶ事が出来ます:



こちらも焼き立てでアツアツ。ふっくらしてて美味しいー。と、そうこうしている内に、2つ目のアミューズの登場:



小さな一口サイズの瓶に入っているのは、コンソメスープとサーモンのマリネ(?)みたいなの、そして最後の一つがPan con Tomateと呼ばれる、パンにトマトとオリーブオイルをかけて食べるカタルーニャの名物料理を一口サイズにしたものです:



世界一のシェフこと、フェラン・アドリア氏の影響からか、最近は料理を「分解して再構築する」っていう「料理の錬金術」が流行ってるんだけど、バルセロナのレストランでは「パンコントマテを分解して味だけ再現する」っていうのが流行ってる気がします。って言うか、良く見かけます。さて、そうこうしている内に、今日の一皿目が運ばれてきました:



じゃーん、今日最初のメインはリゾットでーす。お米とチーズが大変巧い具体に絡まり合い、絶妙なハーモニーを醸し出している。しかも上に乗ってるチーズがコレ又微妙に違う味わいを織り込んだりしてて、文句無く美味しい!量もそれほど多く無く、かと言って少なくも無く、これまた絶妙。「大変美味しゅうございます!」。一品目から大満足!とか思ってたら今日の2皿目の登場です:



こちらは焼き魚‥‥何の魚かは忘れた(笑)。岸朝子も真っ青の料理記者歴未だ3年程度ですから、その辺はご容赦を(笑)。 で、早速食べてみると身がプリプリ!こちらの料理はそれほど強い味付けがしてある訳でもなく、魚の味を楽しむ事が出来ました。ここまでで結構お腹が一杯だったんだけど、今日のランチメニューには3皿目が付いてきました。それがコチラ:



この店特性の手作りハンバーグです。下にはピーマンの付け合わせが敷いてあります。このハンバーグ、肉汁が滴り落ちる程ジューシーで、たまらなく美味しい!付け合わせのピーマンの酸味との相性も抜群で、今日食べた中では一番美味しかったかな。「あー、もうお腹がはち切れる程一杯!もう駄目、絶対食べれないー!」とか言ってもデザートは別腹(笑)。と言う訳で、今日のデザートがコチラ:



リンゴの赤ワインのコンポートです。「ヘビーなお皿が続いた後にはクドイかな?」と思ったけど、それほどお腹に溜まる事もなく、逆にさっぱりしていました。で、締めは勿論コチラ:



コーヒーも美味しい。

満足、大満足です。で、気になるお値段の方なのですが、アミューズ2皿+パン+メイン3皿+デザート+コーヒー+飲み物、全て込みで何と24ユーロ!これは安い!って言うか、安過ぎる!!サービスもほどほど良いし、レストランの雰囲気もまずまず、そして何よりも料理の質は申し分ない事を考えると、この値段はちょっとビックリです。ただ、ランチメニューの内容は週によって変わるそうなので、その辺は行かれる前に確認された方が良いかもしれません。

何はともあれ、星三つですー!!!
| レストラン:バルセロナ | 06:24 | comments(4) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの1つ星レストラン、アルキミア(Alkimia)のとってもお得なランチメニュー
今週中頃からバルセロナは急に涼しくなってきて秋の様相を呈し始めてきました。秋と言えば「食欲の秋」という訳では無いんだけど、今週は本当によく食べた。「人間ってこんなに食べれるのか?」ってくらい食べた気がする(笑)。朝食はバルセロナで2番目にクロワッサンが美味しいと評判のカフェEscribaに始まって、お昼は前菜からデザートまでしっかり食べた上、夜もガッツリとディナーを食べちゃうって言う食べ三昧の一週間だったんですね。そんな中、「普段は行かない、ちょっと変わったレストランへ行ってみよう」と言う事になり、バルセロナ市内にある1つ星レストラン、アルキミアに行ってきました。



コンタクト Address: Industria 79
Tel: 932076115
Web: www.alkimia.cat

サグラダファミリアの近くにあるこのレストランでは、値段の違う3つのコース料理が提供されていて、一つ星なのにお値打ちなランチが気軽に楽しめちゃうって言う、大変嬉しいレストランとなっています。バルセロナ在住の知り合いの料理人に言わせると、この質の料理でこの値段ならコストパフォーマンス的には申し分無し、「超お奨め」という事を繰り返し言っていました。

このお店のポイントはランチメニューが3つのランクに分かれている事、そしてその一番下のコースが3皿(プラス2皿のお通し&デザートと乾き物)で35ユーロと言うコースを提供している事だと思います。間違っちゃいけないんだけど、これは値段の問題じゃなくて、料理の量の問題です。星付きレストランって、概して料理が無茶苦茶出てくるので、食べ終わる頃にはお腹一杯を通り越して、気持ち悪くなる事が多いんですね。世界一のレストランと名高いエル・ブジなんて20皿近く出てくるそうで、帰り道のタクシーの中でお客さんが吐いたりすると言う噂を結構良く耳にする程です(苦笑)。その点、この35ユーロのランチメニューだったら、全部あわせて5皿程度なので、お腹は一杯になるけど、気持ち悪くなる程ではありません。

と言う訳で、今回はこのアルキミアに行こうという事になったんだけど、お店に入る前にちょっとしたビックリがありました。実はこの一つ星レストランの真横には中国人の方が経営していると見られる「なんちゃって日本食レストラン」があるんだけど、その店の前に置いてあるメニューを見てビックリ:



何かメニューの中に「海老の」とか書いてある(笑)。「海老の・・・何?」みたいな(笑)。スゴイ気になる・・・もしかしてこれは、「海老の何か」と言う事を匂わせておいて、それが気になってしょうが無いお客さんに注文させるって言う、かなり高度なマーケティングなのか?とか思ってしまった(笑)。まあ、冗談はこれくらいにして、早速レストランの中へ入って行きます:



中は結構こじんまりとしていて、10組も入れば一杯になってしまう程なんですね。ちなみに僕達が行った時には、10組中4組が日本人のグループでした。



室内は狭いながらも各テーブルには絵画が掛けられていたりして、ナカナカお洒落な空間に仕上がっています。そうこうしている内にメニューと共に運ばれてきたのがコチラです:



細長いパン・・・かな?ポッキーみたいな感じと言ったら良いのでしょうか。食べてみるとカリカリでなかなか美味しい。そして今日一つ目のアミューズがコチラ:



小さなコップの上にはサラミ、そして下に入っているのはパン・コン・トマテの液体版だと説明された気がするんだけど・・・と思って飲んでみたら、やっぱりパン・コン・トマテの味がする!パン・コン・トマテと言うのは、カタルーニャ地方に伝わる伝統的なパンの食べ方で、パンにトマトを塗りつけて食べる料理なんだけど、ちょっとお洒落なレストランでは、アミューズにこのパン・コン・トマテをスープとかにして少し崩した様な形で出している所が多くなってきた様な気がします。流行ってるんでしょうかね?そして今日2つ目のアミューズがコチラです:



サーモンとイクラとカリカリのパンみたいなのが混ざった料理。イクラは久しぶりに食べたけど、まあ、普通に美味しいかな。特に特筆する程でも無し。そうこうしている内にパンが運ばれてきたんだけど、このパンが美味しかった:



中に大粒の胡桃が入ってるアツアツのパンなんだけど、最近行ったレストランの中では圧倒的に一番美味しかったかな。このレベルのパンを出しているのは、グラシア地区にあるShojiroくらいじゃないのかな?(地中海ブログ:バルセロナの食べ歩き方:星が付いても全然不思議じゃないと評判の日本人シェフのレストラン、ショウジロウ(Shojiro))。そしてようやく今日の一皿目の登場です:



ガリシア風タコ煮と焼き豚(かな?)のコカ。先ずは盛り合わせに注目。流石に一つ星と言うだけあって、飾り付けの気合の入り方が違う。正に芸術品と言うに相応しく、凄く綺麗。食べるのが勿体無いくらいです。



味の方はと言うと、タコの柔らかい事!これは美味しい!タコ煮はガリシアで食べまくったんだけど、それに勝るとも劣らない、素晴らしい仕上がりになってます。焼き豚みたいなのもタコに凄くマッチしてる。料理記者歴4年足らずだけど、「大変おいしゅうございます!」。一皿目から格の違いを見せ付けられてしまった。そして今日の二皿目:



牛の首の肉(って説明された気がする)。牛の首って、初めて食べたけど、とりあえず凄く柔らかい。お味の方はと言うと、少し苦味があって、かなり独特。普通の牛肉とは全く違うので、これは好き嫌いが分かれるかな。ちなみに上に載ってるのは、玉ねぎの揚げ物です。そして今日の3皿目:



魚(何の魚かは忘れた)。プリプリの白身魚を大変まろやかなクリームソースで頂く一品。抜群に美味しい。下に敷かれているのは、この地方の名物、白インゲンと、ブロッコリー。このブロッコリー、最初は魚の卵か何かかな?と思ったんだけど、口の中に入れてみたら、物凄く酸味が利いていて、白身の魚のクリーミーな味付けに「これでもか!」と言う程マッチしてる!凄く美味しい。それしかコメントのしようが無い!

満足、大満足です。ここまででお腹は既に一杯なんだけど、ここからはデザートのオンパレードが始まります。と言う訳で、今日のデザートはコチラ:



カボチャのプリン(みたいなの)とチーズケーキ(の味がする)アイスクリーム。カボチャの甘みが素晴らしい。アイスクリームの方は爽やか。それ程お腹に溜まる事も無く、美味しく頂けました。そして乾きものの登場〜。



こちらはチョコレートの祭典(笑)。占めは勿論コーヒーで。



満足、非常に大満足です。味だけでなく、行き届いたサービスといい、落ち着いた空間といい、文句の付けようがありません。そしてこのメニューが35ユーロって言うのは、どう考えても安い気がする。

日本人の頭の中には「高い物=良い物」みたいな等式があると思うんだけど、普通の日本人がこのレストランでコース料理を食べるなら、この一番安い35ユーロのコースで十分だと思います。と言うかコレがベストな選択でしょうね。値段が一番安いからといって決して手を抜いている訳ではなく、定番モノもちゃんと入ってるし、何より食べた後に気分が悪くならない(笑)。何度も繰り返すけど、星付きレストランで重要なのは、「価格」と言うよりも、出てくる「料理の量」です。折角の楽しい観光なのに、お腹を壊したら元も子もありませんからね。あー、美味しかった!
| レストラン:バルセロナ | 03:53 | comments(7) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:AGUA:ビーチのまん前で楽しむ極上パエリア
暑い!非常に暑い!!って言っても、もう6月下旬で、地中海は殆ど夏真っ盛りって感じだから当たり前と言えば当たり前なんですけどね。でもそんな暑い中においても、何よりも嬉しかったのは、バルセロナに青い空と青い海が戻ってきたと言う事です。今年は例年にも増して曇り&雨の日が続いていたので、カタラン人達の喜びも一入。気分はまさにこんな感じかな。



そんな訳で、天気が良かった昨日は、真っ青な地中海を望みながら食事が楽しめるレストラン、Aguaへ行ってきました。

コンタクト:
Address: Pg.Maritim de la Barceloneta, 30
Tel: 932251272
Web: www.grupotragaluz.com

このレストランがある辺りは「海のテラス」と言っても過言ではない、地中海を一望出来る歩行者空間が広がってるエリアなんだけど、今回のレストランの入り口は、そんな海のテラスの片隅にひっそりと佇んでいるかの様なコチラ:



うっかりすると見逃してしまいそうなくらいなんだけど、その入り口を入ると、階下へと続く階段が現れ、結構ゴージャスな待合室に通されます:



ちょっと待ってると、ウェイターのお姉さんが呼びに来てくれて、ついていくと眼前に現れるのがこの風景:



じゃーん、目の前がビーチと海って言う絶好の風景なんですね。しかも待ってましたのテラス席まであったりしちゃいます:



今の季節、テラスで飲むワインと海産物がこの上なく美味しい季節となっているので、そっちに行きたかったんだけど、あいにく今日は予約で一杯なんだとか。まあ、そりゃ、そうだよなー。平日のランチとは言え、場所が場所だけに、連日連夜超満員の大人気店ですからね。と言う訳で、室内で食事をする事にしたんだけど、こちらは天井が高くて非常にゆったりと落ち着いて食事が楽しめる空間となっています:



まあ、そんな事を思いつつ、今日の料理のお供はコチラ:



世界的に知られているガリシア産の白ワイン、AlbarinoのCrecienteです。海産物にはやっぱり白!葡萄のフルーティーな味が堪らなく美味しい!そして今日の一皿目がコチラ:



山羊のチーズのサラダです。僕は2皿目に海産物やパエリアなんかを注文する時は、大抵一皿目にこの山羊のチーズのサラダを頼むんだけど、この独特の味のする山羊のチーズと干し葡萄、そしてオリーブオイルが醸し出す絶妙のハーモニーは、一度体験したら病み付きになる美味しさなんですね。ちなみにスイス人の友達のファビアン君は、スイス人なのにヤギのチーズが嫌いだとか言ってた(ファビアン君についてはコチラ:地中海ブログ:ファビアン(Fabien Girardin)君来る:つけて味噌かけて味噌が大人気!)。スイス人にとってのチーズって、日本人にとってのゴハンみたいなものだと思ってたんだけど、どうやら僕の勘違いだったと言う事が判明。かなり驚き桃の木でしたけどね。で、今日のメインがコチラです:



アーティチョークなどの野菜と、様々な海産物を炭火焼きしたパエリア風のゴハン・・・ってメニューには書いてあった(笑)。まあ、パエリアだと思っておいてください。物凄く重厚な熱々のお鍋に入ってきて、自分で取り分けなきゃいけないんだけど、これが結構危険!いや、熱いからじゃないですよ、余りにも美味しいから、ついつい食が進んで取り過ぎちゃうからです(笑)。このパエリア、見た目は色が濃くて結構重たそうに見えるんだけど、食べてみると以外とサッパリしてて、何杯でもいけそうな感じなんですね。そんなこんなで、何時もの様に食べ過ぎちゃって、「とてもデザートまでは!」とか思ったんだけど、やっぱりデザートは別腹。と言う訳で今日のデザートはコチラ:



タルト・タタン(Tarta de Tatin)。これ何かって、早い話が熱々のアップルケーキ(もうちょっと詳しく知りたい人はコチラ)。あんまりパッとしないレストランなんかに行くと、甘過ぎたり、硬かったり、もしくは冷めちゃってて、さっぱり美味しくなかったりするんだけど、ここのタルト・タタンはそれ程甘過ぎると言う事もなく、なかなか絶妙な味わいを醸し出していました。で、勿論〆はコーヒーで:



満足、大満足です!で、気になるお値段の方なのですが、飲み物、デザート、コーヒー込みで一人36ユーロでした。支払いを済ませ、お腹も一杯になった所で、ふと横を見ると、この風景:



本当に真っ青な空と海。地中海性気候は暑いって言っても湿気が低いので、日陰に入れば快適そのもの。そんな快適空間でこれだけ美味しい料理が味わえるなら、この金額はそれ程高くはないと思います。唯、今頃から夏場にかけては、このレストランは超人気で連日連夜満員となるみたいなので予約必須です。特に週末なんかは1週間前でも予約が既に埋まってる事の方が多いのだとか。そしてやはり、このレストランの楽しみは、食事の質だけではなく、ビーチのまん前と言う絶好のロケーションにあると思いますので、行かれるならば海がよく見えるランチの方がより一層楽しめるかと思います。

味良し、空間良し、雰囲気良し!
星3つです!!!!
| レストラン:バルセロナ | 08:50 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:クロワッサン(cruasan)篇:カウントダウン第5位:Brunells
今日の午前中は所用でピカソ美術館に行っていたので、その帰りに近くにあるカフェに入ったんだけど、そこが偶然にも、以前TIME OUTと言う雑誌に掲載されていたクロワッサンランキング第5位にランキングされていたBrunellsと言うカフェだと言う事に入ってから気が付きました。



TIME OUTと言う雑誌は、「バルセロナの〜ランキング」みたいな特集を時々組んでて、cruasanランキングが出たのが、丁度2年くらい前の事。美味しいクロワッサンに目がない僕は、早速その雑誌を購入し、暇を見つけては掲載されているお店を訪れ、その度に「cruasanカウントダウン」をしてたんだけど、7位くらいまでいった所で急に仕事が忙しくなってきて、それ以来断念してたんですね(地中海ブログ:バルセロナの食べ歩き方:クロワッサン(cruasan)篇:カウントダウン第9位と第8位:Montserrat del RocBolet)。その後、他の店のクロワッサンを味わう機会がなかなか無かったんだけど、今回の偶然を皮切りに、ちょっとずつランキングを更新していけたらなーと思っています。と言う訳で、記念すべき再開第一回目の今日はランキング第5位のBrunellsから。



このカフェは、バルセロナ観光に来る人なら誰でも一度は訪れるエリア、ピカソ美術館の通りの角っこに位置すると言う、ロケー ション的にはこの上ないくらいの所にあるんだけど、それは同時に泥棒ちゃんが多く存在するエリアでもあると言う事を意味する訳で、その点には非常に注意す る必要があるかと思います。

コンタクト:

Address: Princesa 22
Tel: 933196825




バルセロナでは老舗に分類されるカフェである事から、カフェの内部も当時の趣を醸し出してて、大変良い雰囲気ですね。壁には今までこのカフェを訪れた有名人の写真が飾ってあったんだけど、その中にはこんな人の写真も:



天皇陛下が訪れてるじゃないですかー!現在の天皇陛下がバルセロナを訪れたのはオリンピック後の1994年の事。皇太子時代の1985年にサラマンカを訪れられたのが最初のスペイン訪問だと思うんだけど、その9年後に再度サラマンカを訪れられた後に、バルセロナにも寄られているんですよね。この写真はその時のものだと思われます。まあ、そんな「由緒正しきカフェ()」なんだけど、早速噂のクロワッサンを頼んでみました:



ふむ、ふむ、見た目は典型的なスペイン風クロワッサン。




で、早速パク。うーん、ちょっとパサパサしてるかな。それ程絶品って事は無かったけど、雰囲気が良いのと、何より立地が良いので、そういう意味ではピカソ美術館を見終わった後に休憩するには持ってこいかも。




ちなみに、このカフェの隣には駄菓子屋さんがくっ付いてて、ここで様々な種類のお菓子を買って持ち帰る事も出来ちゃいます。ただ、何度も繰り返しますが、この辺りはピカソ美術館の近くと言う事もあって、非常にスリが多い地区でもあるので、その点だけはお気を付けください。

| レストラン:バルセロナ | 07:46 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:パラグアイ(El Paraguayo)
ちょっと最近硬い記事が続いたので、今日は一休みの話題です。

友人
M君夫妻(カタラン人)が1週間程韓国へ出張に行くというので、昨日のお昼は見送りを兼ねてランチを共にしてきました。M君とは知り合ってから、もうかれこれ3年程になるのですが、妙に気が合う事からちょくちょくランチやディナーなどを一緒にしてるんですね。どんな所が気が合うかと言うと、ズバリ食べる所かな(笑)。実は彼のご両親はバルセロナで数件レストランを経営してて、家族ぐるみで食べるの大好き家族らしい。だからM君も小さい頃からバルセロナ中のレストランを食べ回っているのだとかなんとかで、何時も僕に美味しいレストランを紹介してくれると言う訳なんです。そんな彼が、以前から「行こう、行こう」と言っていたお店が、今日紹介するパラグアイ。



ランブラス通りの終わり、コロンブスの塔を見ながら左手にちょっと入った、かなり薄暗くて泥棒ちゃんが生息してそうな怪しげな路地に、この店は位置しています。


コンタクト:

Address: Parc, 1
Tel: 933021331
Web: www.e-paraguayo.com


はっきり言って、僕一人だったら絶対来ない様な場所ですね。店の見た目もお世辞にも奇麗とは言い難い。「本当にこんな所、美味しいのか?」とか、かなり疑問に思いながらも、勧められるままに店内へ。




店内はこんな感じで、思ったほど悪くは無いか。今日のオーダーは全て
M君に任せる事にして、取り合えずパンと前菜をつまんでみる:



ローストビーフにタルタルソースを付けて食べるんだけど、お味の方は、まあ、普通かな。それを食べてたら、お肉に付ける塩とソースが運ばれてきた:




お塩の方は、
Sal Maldonと言われる、イギリスの北部で採れる特別な塩。上質なお肉に合わせる塩として、お肉系のお店では良く見かける一品です。この塩が出てきたって事は、今日の料理はかなり期待出来るかも。もう一つは見た事がないソースだったんだけど、ニンニクとオリーブオイル、バジルなどが入ったちょっとピリっとするソースだった。そうこうしている内に今日のメインが運ばれて来たんだけど、今日の料理にはちょっと度肝を抜かれました。見てください、コレ:



もう、見た事無い様な肉の塊!!これを目の前で豪快に切り裁いてくれて、それを目の前の鉄板で焼いてくれるんです!で、好みの焼き具合に合わせて、「今、頂戴」とか言って、食べると言う、焼き肉のステーキ版みたいな料理なんですね。




こんな分厚いステーキを目の前で焼くんですよ!ちょっとこんなの見た事ありません。しかもお味の方は文句無く美味しい!肉が無茶苦茶柔らかくて、お味は絶品!




付け合わせはシンプルにジャガイモだけなんだけど、コレだけで本当に満足。今回は8人で行って肉
3キロ頼んだんだけど、それでもちょっと食べきれないくらいでした。ここまでで本当にお腹が一杯で、「デザートはチョット」って感じだったんだけど、M君がDulce de Lecheを勧めてきたので、それをみんなでシェアする事に。



Dulce de Leche
って何なのか知らなかったんだけど、食べてみたら、何か懐かしい味。「あ、これって、コンデンスミルクじゃん!」。そう、色がちょっと違うけど、味は間違い無くコンデンスミルクそのものです。

勿論締めはコーヒーだったのですが、今日は余りにも肉の印象が強烈すぎて、写真撮るの忘れた!さすがに食通の
M君が勧めるだけの事はある。ただ、この店に来る時は、うーんとお腹をすかしてこなければいけないですね。あと、この辺りはちょっと危険地帯でもあるので、その辺はご注意ください。
| レストラン:バルセロナ | 07:19 | comments(6) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:星が付いても全然不思議じゃないと評判の日本人シェフのレストラン、ショウジロウ(Shojiro)
最近忙しい。何だか知らないけど「本当にここ、スペインか?」って言うくらいミーティングやら出張やらがギューギュー詰まってる。でも僕が無茶苦茶忙しくしてるその傍らで、6時キッカリに「また明日〜♪」みたいな感じで帰っていくカタラン人を見るに付け、「あー、やっぱりここはスペインだ」と我に帰る自分がいる(苦笑)。そんな中、今日は久しぶりに時間が出来たので、「ゆっくりディナーでも楽しむか」と言う訳で、バルセロナ市内でも知る人ぞ知る名店、ショウジロウへと行ってきました。実はこのお店、名前からお分かりの様に日本人シェフの方が経営されているレストランなのですが、シェフの腕だけで見れば、いつ星が付いてもおかしくは無いともっぱらの評判なんだとか。



場所は我が子のようにかわいいグラシア地区の、もの凄く狭い路地に面した一角に位置しています(地中海ブログ:
バルセロナモデル:グラシア地区再開

コンタクト:
Address: Ros de Oiano 11

Tel: 934156548


店に入ると出迎えてくれるのは、ショウジロウさんと見られる日本人の方。



どうやらこの店はショウジロウさんと2人の弟子の合計3人でレストランの全てを回しているらしく、オーダーを取りにきてくれるのもショウジロウさんなら、お皿を運んできてくれるのもショウジロウさんと言う、ショウジロウさんが大活躍のお店なんですね。ちなみに僕はこの日本人の方がショウジロウさんなのかどうか?と言う事はサッパリ知らないのですが、多分そうなのでしょう。もしも彼が太郎さんとか言う、店の名前とは全く関係ない名前だったらそれはそれで面白いんですけどね(笑)。そうこうしている内に今日の料理が運ばれてきました。先ずはお通しから:



海老せんべいを細長くした様なもの(かな?)、揚げたてのアツアツ。ちょっと懐かしい味。そしてこちらが、この店の伝家の宝刀、自家製のパンです:



外はカリカリで中はフワフワ。しかもアツアツ!ハッキリ言って、その辺のパン屋なんか比べ物にならないくらい美味しい。それを、これまたかなり上品な味のするオリーブオイルに付けて食べると、もう絶品。僕は結構胃が小さい方なので、ちょっと食べるとお腹が一杯になってしまうのですが、この店のパンは本当に美味しいからついつい食べ過ぎてしまいます。本当にそれくらい美味しいパンなんですよ!そしてもう一つのお通し:



イカ墨とミソのスープに入った小イカ焼き。実は個人的にイカ墨が苦手なので、スープの方は少し味見して終わり。イカの方は完璧な焼き加減、そしてミソの美味しい事。濃厚、濃厚。お腹の準備も整ってきた所で、ここからが本番です。今日の一皿目がコチラ:



カタルーニャ地方のブイヤベースこと、魚の鍋料理として知られるスケット(Squet)です。海老やイカ、アンコウや貝などを焼いたり揚げたりしたものに、濃厚な魚のスープをかけた結構シンプルなものなんだけど、揚げたての食感がスープの汁を吸って台無しにならない様に、スープは食べる直前にショウジロウさん自らが注ぎに来てくれます。この辺にもこの店のこだわりが見えるなー。お味の方は文句無く美味しい!そして今日のメインがコチラ:



ヒラメの焼き物。これがもう絶品だった!身がプリプリしてて、その上、焼き加減とか最高。そして何にもましてソースとのハーモニーが抜群。この味だったら料理記者歴50年の岸朝子さんも絶対納得だと思う、「大変おいしゅうございます!」。何より驚きだったのが、魚の皮が焼いてあり付け合わせの様な感じになっていたのですが、「え、魚の皮ってこんなに美味しかったっけ?」って再発見させてくれるような味だったんですね。ちょっとこれは感動的ですらあったかな。さて、料理はココまでで終わりで、ココからはデザートに突入です。



先ずはお口直しにチョコレートクッキーの上にチーズを乗っけて、更にその上に蜂蜜をかけて食べる一口料理。蜂蜜の甘さとチーズが絡み合って、絶妙なハーモニーを醸し出しています。そして今日のデザート一皿目がコチラ:



ピーチのシャーベットにクリームみたいなのがかかってて、更にオレンジの輪切り揚げが添えられている料理。このオレンジの揚げてあるのは、おそらく人生で初めて食べたんだけど、結構いけるかも。シャーベットもヒヤッとしてて、満腹のお腹にはとっても嬉しい一品です。そしてデザート2皿目がコチラ:



オルチャータ(Horchata)と呼ばれる、スペインの夏の風物詩であるキハマスゲの地下茎の絞り汁に砂糖や蜂蜜を混ぜて作られるジュースを固めて、それをチョコレートと一緒に食べるデザート。まさかオルチャータがこんな形で出てくるとは夢にも思わなかったんだけど、チョコレートとかなりマッチしてて、凄く美味しい!そして勿論シメはコチラ:



コーヒーとプチフールです。



クッキーやマスカットなど、
4種類のプチフールも、多すぎず少なすぎず、丁度良いボリューム。今日のディナーを締めくくるのには持って来い。

満足、大満足です。最初から最後まで、この質を保ってるのはちょっとすごいかも。そして驚くべきはお値段の方なのですが、この質でこれだけ食べて、何と、このコースが35ユーロ!「えー、本当?!」って本当なんです。ただ、パンやら飲み物やらは別なのですが、それでも一人43ユーロくらいだから、この質でこの値段なら無茶苦茶お値打ちだと思います。更に更に驚くべき事に、このレストランではお昼のランチをやっているのですが、2皿+飲み物&デザート込みで、何と18ユーロと言うコースがあるんですね。しかも勿論料理の質は夜と殆ど変わりません(皿数は勿論減りますけど)。最近バルセロナでは一見お洒落で、お値打ちっぽいレストランがあちらこちらに出来ているのですが、その殆どが「見た目だけ」と言う所が少なくありません。そんな中、このショウジロウで提供されてる料理はそれらとは一線を画する料理と言っても過言では無いと思います。ハッキリ言ってすごくお奨めのレストランです。一度お試しあれ!
| レストラン:バルセロナ | 22:16 | comments(9) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの食べ歩き方:ガウディ設計のカサ・カルベット(Casa Calvet):雰囲気を味わうレストラン
ガウディ建築で有名なレストラン、カサ・カルベット(Casa Calvet)へディナーに行ってきました。バルセロナにはもうかれこれ結構長い事住んでいるのですが、カサ・カルベットで食事をするのは今回が初めてです。勿論存在は知っていたし、近くにお気に入りの本屋さんとかあるので、前を通る度に「何時か来よう」とは思っていたのですが、今までナカナカ来る機会がありませんでした。



では何故今日、突然来ようと思ったのか?特にコレといった理由は無いんだけど、強いて言うなら朝起きたら雲一つ無い快晴で、「ようやくバルセロナにも春が来たか!」という大変気持ちの良い1日だったので、春の到来を祝って普段は行かないようなレストランにちょっと行ってみた、とまあ、そんな所です。

コンタクト
Adress:Casp 48

Tel: 934124012


個人的に、ランチやディナーと言うのは料理の味は勿論の事、食事を盛り上げるレストランの雰囲気も重要な要素だと考えているので、その点は普段から大変重視しています。というのも、以前行ったドメネク・イ・ムンタネール設計のCasa Rouraで食べたランチやカタルーニャ音楽堂のカフェで飲むコーヒーなどが普段よりも美味しく感じられたのは、やはりその場の雰囲気が僕の心を高揚させてくれたからだと思うんですね(地中海ブログ:バルセロナからの小旅行その3:バルセロナの食べ歩き方番外編:Restaurant Casa Roura:今までで最高のレストランかも:ドメネク・イ・ムンタネール(Lluis Domenech i Montaner)設計のモデルニズモ建築の中でランチメニューを低価格で楽しめるレストラン)。

「美味しい料理を最高の雰囲気の中で心ゆくまで味わう事」。それこそ人生の楽しみであり、僕らの生活を豊かにしてくれる大切な日常生活の一部です。

と言う訳で期待に胸を膨らませ気合を入れて行ってきました。この建築はカサ・バトリョやカサ・ミラなど他のガウディ作品とは違って、注意していなければ見落としてしまうような建物なのですが、小さく開いた洞窟の入り口のようなエントランス部分からはもう既にモデルニズムの雰囲気がプンプンと漂っています。



この中にどんな空間が展開されているのか?と思いつつ、エントランスを潜った空間がコレ:



白いレンガを基調としながらも、右手側に見える重厚な木で創られた仕切り壁や調度品がこの空間をものすごく格調高いものに仕上げています。そうこうしている内に僕らの席が予約してあるメイン空間へと案内されました:




前方正面に大きなステンドグラスを備え、全体的に暗く落ち着いた雰囲気の大変ロマンチックな空間です。



天井は勿論カタランボールト。一つ一つの席の間がゆったりと取ってあるので、非常にリラックスして食事をする事が出来ます。それはそうと、僕が行った時は5組くらいのカップルや家族連れが食事をしてたんだけど、その全ての人が英語をしゃべってた。つまり観光客だと思われたんですね。まあ、カタラン人は普通、こんな所には来ないか・・・。

さて、今日オーダーしたワインがコチラ:



アラゴン産の赤ワイン、ENATEです。初めて飲んだんだけど、味わい深くてナカナカ美味しかった。



パンは幾つかある中から自由に選ぶ事が出来ます。そしてこのお皿:



ナカナカお洒落です。こういう細かい所の気配りが嬉しいですね。そうこうしている内に前菜が運ばれてきました:



豆と鶏肉のカレー風味のスープ(Crema de lentejas con curry y pollo de corral

なんか不思議な取り合わせだと思ったけど、やっぱり味の方も不思議だった(苦笑)。で、今日の一皿目がコチラ:



ロブスターとバニラオイルをまぶしたマンゴのサラダ(Ensalada tibia de bogavante y mango con aceite de vanilla
取り合えず盛り付けが綺麗ですね。食べるのが惜しいくらい。味の方は、マンゴの甘みが利いていて、ナカナカ美味しかったです。そして今日のメインがコチラ:



鴨と梨のオーブン焼き、オレンジの木の蜜ソース(Pato caneton al horno con miel de naranjo tatin de peras
鴨の肉がすごく柔らかく、蜜の甘さが程よく合って美味しかった。そして今日のデザートがコチラ:



香辛料のケーキとアイスクリーム&クレーマ・カタラーナPastel especiado, su helado y crema catalana
コレは・・・ちょっと僕には合わなかったかな。ケーキがパサパサで、はっきりとした味が無くイマイチ。このケーキの真ん中にCrema Catalanaが入ってるんだけど、それは普通に美味しかった。これなら普通のCrema Catalanaで十分だと思うんだけど・・・。



そして最後にクッキーとホワイトチョコレートが出てきて終わり。

今日の料理は、しめて100ユーロ(2人)。正直言ってこのレベルの料理で100ユーロは高い!ただ、冒頭にも書いたように、「食事とは雰囲気を味わうもの」でもあると思うので、その点を考慮したら、「まあ、これくらいかな」という所でしょうか。例えばこれとか:



ガウディがこの建築の為にデザインした家具などがさりげなく備え付けられています。これがオリジナルかどうか?なんて、そんな藪から棒な質問はしませんでしたが、この雰囲気の中でこんな椅子に座れる喜びは何物にも変えがたい。







他にもガウディの顔写真や彼が生きた時代のバルセロナの風景写真、レトロな電話など、当時を偲ばせる小物達によって大変魅力的な雰囲気で溢れています。値段はちょっと高めですが、話のネタに一度行ってみるのも悪くは無いと思います。
| レストラン:バルセロナ | 13:33 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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