地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
京都スマートシティエキスポ2016
突然ですが、わたしくcruasan、今週水曜日(61日)から京都で行われる「京都スマートシティエキスポ2016」、その中の「ICTが支える生活・文化の質の向上」と題された分科会に登壇します。
 
 
 
今回京都で行われるスマートシティエキスポは、バルセロナのスマートシティ国際会議の誘致版なのですが、では何故バルセロナはスマートシティ国際会議を始めたのか?
←それはバルセロナが自身を世界的なスマートシティのリーダーという文脈に位置付けようとした「都市戦略の一つだった」ということは当ブログでは散々書いてきた通りです(地中海ブログ:スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜)、地中海ブログ:バルセロナのバス路線変更プロジェクト担当してたけど、何か質問ある?バルセロナの都市形態を最大限活かした都市モビリティ計画)。
 
 
 
バルセロナのスマートシティ国際会議には僕も結構深く関わっていてですね、そもそも、2011年にバルセロナで行われた第一回スマートシティ国際会議の基調講演者SENSEable City Labのカルロ・ラッティさんを紹介したのは僕ですから(笑)。そんな縁もあって、毎年11月にバルセロナで行われる会議には講師として参加させてもらっているのですが、京都に呼んで頂いたのは今回が初めて(祝)。
 
ちなみに京都スマートシティエキスポ初年度の基調講演者もカルロさんでした。。。しかもこの原稿を書いているいま現在(530日)、僕の横に座っているのもカルロさん(笑)。
←実は一緒にバルセロナでマスターコースの講師をしているのです。

←これ、嘘のような本当の話(驚)。この授業がなかったら1日早く京都入りして、どら焼きをたらふく食べまくったんだけどなー(笑)。
 
 
 
と、まあ、冗談はこれくらいにして、今回の講演内容は、「博物館におけるビックデータの可能性:ルーヴル美術館における来館者調査」にしようと思っています。この講演は、当ブログでは何回か取り上げてきた論文等を下敷きにしています(地中海ブログ:ルーヴル美術館、来館者調査/分析:学術論文第一弾、出ました!、地中海ブログ:ルーヴル美術館、来館者調査/分析:学術論文がファイナンシャルタイムズに紹介されました)。
 
 
 
更に更に、、、実はですね、、、先月ひっそりとルーヴル関連の新しい論文を発表したりしてまして、、、それが結構大々的にフランスのル・モンド(Le Monde)に取り上げられたりしました。
←おめでとー。パチパチパチー。
←論文のプレプリント・バージョンについてはこちらです。

 
 
なので、今回僕の講演会に参加してくださる皆さんには、先月出たばかりの最新の分析手法、分析結果についてもお伝えしようと思っています。
 
またこの国際シンポジウムの翌日(62日)、翌々日(63日)は「スマートシティメッセ in けいはんな」のJUEPISTEのブースに居ます。3日の午前11:45分からは「スマートコミュニティにおける日欧協力及び事例:ClouTプロジェクト及び神戸・バルセロナ連携国際ワークショップ」と題されたビジネスセミナーにも登場します。
 
 
 
お近くの皆さん、是非遊びに来てください!!!
| 仕事 | 17:49 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
神戸市とバルセロナ市の連携プロジェクト
今年(2016年)6月、神戸市とバルセロナ市の連携プロジェクト:「まちづくりICTをテーマとするデータビジュアライズの国際ワークショップ」をバルセロナにて開催します。
←お申し込みはこちらからお願いします。
 

 
この企画の目的はズバリ以下の2点:
 
1. バルセロナ市のオープンデータ・ビックデータ分析とその政策手法を、参加型ワークショップを通して実際に体験してもらうこと。
 
2. バルセロナ市におけるオープンデータ・ビックデータ政策関連部署・機関を訪問することによって、バルセロナ市役所の政権交代に左右されない長期的な関係性を築くこと。
 
 
 
スマートシティの分野でトップを走るバルセロナは、オープンデータの分野でも世界的なリーダーと見做されています(バルセロナのスマートシティ政策についてはこちら:地中海ブログ:スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜))。都市に関する様々なデータを非常に使いやすいフォーマットで提供し、それらを市民の皆さんに自由に使ってもらうことによって新たなる価値を生み出そうとしているんですね。

かくいう僕も、バルセロナ市に関する研究論文を執筆する際などは、バルセロナ市役所のオープンデータカタログから関連データを持ってきて、それを元に分析を進めることが多々あります。というか、それに慣れてしまっている状況下では、他都市の分析などを頼まれた際、「その都市に関するデータがオープンに使えるようになっていない」ということに違和感すら感じるようになってしまいました
←俗にいう職業病かもしれませんが、、、(苦笑)。
 
 
 
そんな雰囲気が漂うバルセロナにおいては、これら無償のデータを個人レベルで勝手に分析してみたり、それらを視覚化(ビジュアリゼーション)することによって、「自分たちが住んでいる都市への新しい見方を発見しよう」だとか、「自分たちが住んでいる地区の地域問題を浮き彫りにしよう」という動きが、それこそボトムアップ的に市民の間から現れるようになってきたんですね。
 
更に、それら市民側から上がってきた分析結果を踏まえ、バルセロナでは自治体側がそれらの提言を受け入れながら市の政策に反映させるという好循環が出来つつあります。
 
 
 
「このようなサイクルが何故生まれてきたのか?」、「それは具体的にどのように行われているのか?」、「バルセロナ市役所は何故そのような、「データをオープンにするといった政策」に踏み切ったのか?」、そして「市民はこれら自治体の動きに対して実際はどう思っているのか?」
 
それらの疑問に答える為、今回はワークショップという形を取って、実際にデータに触れてもらうことでより良く理解してもらおうと考えました。具体的には、バルセロナ市が提供しているオープンデータを使って、それらを視覚化してもらい、それを元に現地の人達の前で発表。その上で、自治体関係者とのグループワーキングなどを通して、オープンデータ活用先進都市、バルセロナのやり方を身を持って学んでもらおうというのが今回の趣旨となっています。
 
 
 
今回はバルセロナ市役所情報局(IMI)とバルセロナ自治大学(UAB)の全面的な協力のもと、在バルセロナの多くの公的機関・私企業などを巻き込みつつ、講演会を含む様々なプログラムを組んでいます。マニュエル・カステル率いるカタルーニャ・オープン大学(UOC)のICTと社会学研究グループもサポーターとして参加してくれたり(地中海ブログ:東さんの「SNS直接民主制」とかマニュエル・カステル(Manuel Castells)Movilizacionとか)、最近日本でも出版された「俗都市化ありふれた景観グローバルな場所」の著者であり僕の元同僚、フランチェスク・ムニョス氏が在籍するバルセロナ自治大学地理学部も参加してくれる予定です。
 


それらワークショップに加え、バルセロナ在住15年の僕が、「この機関こそ、はるばるバルセロナに来てくれた日本人の皆さんが見なければならない公的機関!」という部署を厳選し、それら各機関を回りつつ責任者などに話を聞くプロフェッショナル・ツアーを同時に開催します。そのツアーには、バルセロナのオープンデータ戦略やe-Government戦略を根本から創り上げたバルセロナ情報局、ビックデータという言葉が巷に現れるずっと以前から、まちづくりにビックデータを活用した政策提言を行ってきているバルセロナ都市生態学庁、バルセロナのスタートアップ政策を一手に引き受けているバルセロナ・アクティーバと22@エリアの街歩きなどを予定しています。
←若干の変更があるかもしれません。
 


このようなワークショップやプロフェッショナル・ツアーを通して、バルセロナの政権交代に左右されない長期的な関係性の構築を目指します。また、EU関連機関や欧州委員会などを巻き込むことによって、今後の欧州プロジェクト(Horizon 2020)の立ち上げも視野に入れています。
 


僕が知る限り、今までこのようなプログラムが行われたことは、バルセロナでは勿論、欧州レベルでも無かったのでは?と思います。
 
それはひとえに、現地のキーパーソンを見極め、それらの人達ときちんとコンタクトを取り、実のあるミーティングをセッティングすることの出来る人材不足にあります。世界広しと言えど、欧州の自治体レベルの都市計画やICT政策に深く入り込んだ日本人はそれほど多くはないのが現状なのです!
 


それ故に、日本の自治体の方々は、毎年3月、もしくは9月頃集中的にヨーロッパ都市へ視察にみえるのですが、往々にしてそれらの視察は表敬訪問に終わってしまったり、ある特定分野における覚書きなどに留まってしまっているんですね。
←まあ、それはそれで大変有意義なアクションであることは間違いないとは思うのですが、それら表敬訪問や覚書きの問題点は、政権交代でバルセロナ市側の担当者が変わる度に連絡が取れなくなり、いつの間にかその関係性が消えてしまう、、、という点に尽きます。
←そうすると、それらのプロセスをもう一度初めからやり直さなくてはならず、それが4年毎に永遠と続く事となり、その為だけに莫大な税金がつぎ込まれることになるのです。
 


しかしですね、在バルセロナ15年の僕の経験と知識、そしてバルセロナの公的機関で働いてきた間に構築してきた個人的な関係性を駆使すれば、バルセロナ市との長期的な関係性を築くことが可能です。それは大変難しいチャレンジだとは思うのですが、僕がコーディネートすれば不可能ではありません。
 
今回企画した神戸市役所とバルセロナ市役所連携プロジェクトは、そのような長期的な関係性を築くという観点に立ち、「両都市にとって有益なものにしたい!」という一心で立ち上げたものです。
 
参加者の方々を始め、両市にとって実りあるものとなることは間違いありません。皆さん、ふるってご参加下さい!

追記(517日):
2日間に渡る今回の神戸バルセロナ国際ワークショップを開催する場所が遂に決定しました!!!
その場所は、、、、な、なんと、、、サグラダファミリアに対峙するサン・パウ病院内にあるCasa Asia(カサ・アジア)でーす。
 


 
サンパウ病院(Hospital de la San Pau)は、ガウディのライバルであり当時のスペイン建築界の巨匠でもあったリュイス・ドメネク・イ・ムンタネール(Lluis Domenech I Montaner)がデザインした、カタルーニャ音楽堂と肩を並べるカタルーニャが誇るモデルニスモ建築の傑作中の傑作です(地中海ブログ:リュイス・ドメネク・イ・ムンタネール(Lluis Domenech i Montaner)によるモデルニスモ建築の傑作、サンパウ病院(Hospital de la San Pau):病院へ行こう!どんな病気も直ぐに治るような気にさせてくれるくらい雰囲気の良い病院、地中海ブログ:国際博物館の日(International Museum Day):世界屈指のロマネスク美術コレクションが凄いカタルーニャ州美術館(MNAC))。
 

 
 
ちなみにサン・パウ病院は世界遺産に登録されていたりします。
 

 
 
ということはどういうことかと言うとですね、、、そうなんです!!!今回のワークシップはなんと、「世界遺産の中で行われるワークショップ」ということなんですね!
↑↑↑
自分で言うのもなんだけど、これはちょっと凄いことだと思います。世界遺産の中でワークショップをする機会なんて、そう滅多にあるものではありません。




このような素晴らしい場所を提供してくださったカサ・アジアに感謝感謝です!!

| 仕事 | 17:08 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
京都の学芸出版社で刊行記念レクチャーを行います。
昨年10月に出版された「海外で建築を仕事にする2:都市・ランドスケープ編」の刊行記念レクチャーを、編著者の福岡孝則さん、そして龍谷大学の阿部大輔さんと共に、今月末(1月29日)京都の学芸出版社にて行います。
←おめでとー、パチパチパチー(祝)。



テーマは「モビリティ&テクノロジーで公共空間をつくる:バルセロナ市都市生態学庁元担当者と語る」ということなので、バルセロナの歩行者空間計画やモビリティ計画などを中心にご紹介させて頂こうかな、、、と考えているのですが(←詳細は未定)、福岡さんはアメリカ、阿部さんはスペインと3人とも海外経験者なので、今後海外への留学を考えている人、海外で働きたいと思っている方々などにとっても面白いお話が出来るのでは?と思われます。



僕に関しては、「どの様にスペインに渡ったのか?」、「どの様に仕事を探したのか?」などについては既に書籍の方に書かせて頂いたので、ここでは書き切れなかったテーマを少し記してみようかな……と思っていたのですが、、、今回の書籍を編集担当された学芸出版社の井口夏実さんのインタビュー記事を発見してしまい、それがあまりにも面白かったので、そのインタビューを紹介しつつ、当日の議論の下地を作れたらと思っています。

下記のインタビューは、“建てたがらない建築士”いしまるあきこさんによる「ウェブマガジン「フレーズクレーズ」の連鎖「素敵な本が生まれる時」vol.3、「ボーダレスな時代を生き抜く仕事の見つけ方。〜学芸出版社〜として発表されたもので、インタビューに答えられているのが我らが井口夏実さん(学芸出版社取締役、編集長)。全文はこちらで見れますので、ご興味のある方はどうぞ。

下記の青色の部分が井口さん、いしまるさん、黒字の部分が僕が思った事です。

井口:建築は自分のデザイン(ポートフォリオ)さえ認められれば、現地の言葉が多少しゃべれなくてもどこでも仕事ができる、それってすごく羨ましいなとずっと思っていて。自分の実力だけでやっていくのは大変だろうけれど、すごくスリリングだろうなと思っていたんですね。

基本的に僕は、「言語というのはコミュニケーションのツール」だと思っています。文法が多少間違っていようが、発音が少しばかりおかしかろうが、相手にこちらの言いたいことが伝わればそれで良いのです。ちなみに、現在ヨーロッパに住んでいる日本人の中には「なんちゃってトリリンガル」な人がチラホラと現れ始めています(地中海ブログ:内田樹の研究室の「リンガ・フランカのすすめ」を読んで:何故ヨーロッパでは、ゆるいコミュニケーションである「なんちゃってイングリッシュ」が成功するのか?、地中海ブログ:2010年、今年最初のブリュッセル出張その2:バイリンガルを通り越してトリリンガルになる日本人達:なんちゃってトリリンガルが変えるかもしれないヨーロッパの風景)。
←言語学者とかに言ったらすっごく怒られそうですが、僕は建築家なのでこんな感じで大丈夫(笑)。それに(井口さんも示唆されている様に)、我々建築家は哲学者や文学者と違って「言葉だけで勝負する職種」ではありません。相手に言いたい事が伝わらなかったらスケッチや図を使えばいいのです。



さて、ここからは僕の勝手な想像なのですが、ヨーロッパは陸続きなので、各国間における人的な移動(モビリティ)が非常に高いんですね。だから隣近所を見渡せば、自国語を話さない外人だらけという状況が多々あります。その様な社会・文化的バックグラウンドを共有しない人達と共存し、互いを認め合ってきたのがヨーロッパという社会なので、彼らにとって「言葉による完璧な意思疎通が出来ないこと」は、生まれた時からの日常茶飯事なんだと思います。だから南ヨーロッパでは、我々(移民)にも、「自国語を完璧に話せ、そうじゃないと聞かない!」などとは言わないのです。
←北ヨーロッパは状況が少し異なる様に思いますし、アメリカも全然違う様に感じます。このテーマ(海外に住むこと・働くことにおける言語の問題)は是非、福岡さん、阿部さんと共に当日の議論の中で深めたい所です。

井口:私自身、ロンドンに留学して建築史や美術史を学んでいたんですが、文章の仕事をしようと思ったので、そうなると日本語しかないなと日本に帰ってきました。チャンスさえあれば今でも海外で働いてみたいですが。

これは僕の勝手な考えですが、概して外国語が上手い人は日本語が上手いと思います。というか、日本語が上手い人じゃないと、外国語は上手くなり得ないと思うんですね。外国語を身に付けようと努力すると、ある程度までは上達するのですが、もう少し向こう側にいこうとすると誰しも必ず壁にぶち当たります。その壁を乗り越えられるかどうか、どこまで到達出来るかどうかは、その人の母国語の基礎言語能力、つまり日本語の能力に掛かっているのでは、、、と個人的には思っています。

井口:一冊目の建築編『海外で建築を仕事にする 世界はチャンスで満たされている』の企画のきっかけは、編著者の前田茂樹さんがフランスのドミニク・ペロー事務所から帰国された際、海外の有名建築家の事務所にはだいたい日本人スタッフが居て活躍しているという話を聞いたことでした。ヘルツォーク&ド・ムーロンとかジャン・ヌーベルの建築事務所で働いている日本人を前田さん自身がご存じでしたので、ぜひみなさんに書いてもらおうって話になりました。

「その建築事務所が一流かどうかは、日本人スタッフが働いているかどうかを見れば良い」と言う冗談が、世界中の建築事務所で80年代くらいから言われていたらしいのですが、これは逆に言うと、世界の有名建築事務所、もしくは新興建築事務所には日本人スタッフ(もしくは学生)が1人や2人は必ず居るということを指し示しています。だから、知り合いの知り合いを通して「あの事務所、実はさー」とか、「いま、xx事務所で所員募集しててさー」という様な声がチラホラと聞こえてきたりするので、「世界の有名建築事務所の内部事情」というのは、簡単ではないにしろ、それなりに心に思い描く事が出来るのでは、、、と思うんですね。



その一方、シリーズ2冊目が主題にしている「都市計画、ランドスケープ」を扱っている建築事務所、もしくは各都市の市役所がどんな仕事を請け負って、そこの部署にはどんなキーパーソンがいて、、、といった情報は、有名建築事務所ほど流通していません。この分野で10年以上仕事をしている僕ですら、世界の何処で誰が何をやっているかなんて、この本を見るまで全く知りませんでした。だからこそ、今回の2冊目は非常に価値があると、僕はそう思っています。
←詳しくはこちらに書きました(地中海ブログ:海外で建築を仕事にする2:都市・ランドスケープ編、発売!)。

いしまる:海外で働いている人は、独自の日本人ネットワークがあるんですか?
井口:ヨーロッパでは特にそのようですね。前田さんがパリに居る間に人脈を築かれていました。


まず、アメリカの状況なのですが、ボストン(アメリカ)には「ボストン日本人研究者交流会」なるものがあり、ボストンに在住している日本人の中から毎回2人くらいが30分程度のプレゼンを行い、その後近くのレストランに移動してインフォーマルな食事会、、、というイベントが一ヶ月に一回のペースで行われています(参加者は毎回200人くらい)。その会に出席すると、参加者の名前、ボストンでの所属、日本での所属、連絡先などが書いてあるリストがお茶とどら焼きと共に手渡され(←ここ重要w)、「この人と仲良くなりたい!」とか思ったら、気軽にメールして、後日コーヒー飲んで、、、ということが日常生活の中で行われていたりするんですね。

この様な会が組織的に行われている点は、バルセロナとは明らかに違う点だと強く感じました。ただこれはボストンなど日本人研究者が比較的多く集まる都市に固有のことなのかもしれません。フィラデルフィアではどうだったのか等、福岡さんに是非お聞きしてみたいところです。



また、ヨーロッパの日本人ネットワークについて、(敢えて)全く別の視点から一例を挙げると、欧州在住日本人によるTwitter組、、、みたいなものがあったりします(←僕が勝手にそう呼んでるだけですが(笑))。

これはですね、欧州全体を巻き込んだ大イベントなどがあると、それを見ながら各国からリアルタイムでツッコミを入れあって楽しむ、、、みたいな、正にニコニコ動画のリアルタイム版みたいな感じだったりします(地中海ブログ:東さんの「SNS直接民主制」とかマニュエル・カステル(Manuel Castells)のMovilizacionとか)。

例えば、ヨーロッパ各国の意地と意地のぶつかり合い、欧州の紅白歌合戦と名高い「ユーロビジョン」というイベントがあります。これは一年に一度、各国代表の歌手が生中継で歌を披露して、そこにヨーロッパ全土からリアルタイムで投票を行うという、(色んな意味で)物凄いイベントとなっているんですね(地中海ブログ:ヨーロッパの紅白歌合戦ユーロビジョン2012)。

 

ちなみにこのイベント、各国から選ばれた歌手が歌を披露し合う和気藹々としたイベントかと思いきや、非常に政治的なイベントだったりします。一般視聴者とは別に、各国には「国として」の投票権が与えられているのですが、その投票先を見るだけで、ヨーロッパ地政学の縮図になっていたりします。例えば、フランスはどんなことがあってもイギリスだけには投票しないとか、スカンジナビア諸国は互いに票を入れあうとか、、、(笑)。

いしまる:海外にいる方とメールだけで出版できるっていうのも、新しい仕事のやり方ですよね。
井口:そう思いますね。今はゲラのやりとりもpdfでできるし。2000年に入社した頃は郵送しないといけなかったし、往復に時間もかかるし、海外の方とのやりとりは大変でした。


SNSで仕事の形態が変わった、、、というのは僕も実感する機会が何度もありました。

数年前のことなのですが、とあるミーティングの為にフランクフルトにいたことがあったのですが、たまたま打ち合わせが早く終わったのでシュテーゲル美術館を訪れたんですね。そうしたら丁度その日は小学校の団体が課外授業を行っていて、2階奥にあるルノワールの絵の前では女の子3人組が一生懸命写生をしている真っ最中でした。



大変衝撃的な光景だったのでTwitterでとっさに呟いたら、それが瞬く間にReTweetされまくり、この投稿をキッカケに公共空間系の講演依頼が激増しました。

また、村上春樹氏のインタビュー記事の影響はもっと衝撃的でした。「イベリア半島の片隅を拠点とするスペインの新聞なんて(日本人は)誰も読まないだろう」と村上氏が思ったかどうかは分かりませんが、インタビューの中で「1Q84の続編出します!」と口を滑らせていたんですね。ちなみに彼、日本では「続編は出しません!」と言っていたので、「こ、これは面白い!」と思い、その記事を直ぐさま全訳しブログ上に公開。その数時間後から日本のメディアは大騒ぎとなりました(地中海ブログ:スペインの新聞、La Vanguardia紙に載った村上春樹氏のインタビュー全訳)。

その拡散度とスピード感。新聞という大手メディアの一次情報がSNSに取って代わられる現場を目撃したのと同時に、「Twitterでここまでこれるのか!」と思った瞬間でした。

井口:私も建築を勉強していたら、絶対、海外の事務所にアタックしていただろうなと思いますね。ただ英語ができれば働けるわけではなく、自分の実力、しぶとさみたいなものが厳しく問われそうなんだけど、きっとそこで認められる喜びも大きいだろうな、と思うんです。

海外で働けるかどうか、それはズバリ「運」です。この辺りの話も書籍の中で少し触れたのですが、スペインでいう運とは、その日担当してくれた担当官の気分が良いかどうか、彼/彼女が書類に眼を通した時がバケーション前なのか後なのか、はたまたその日は金曜日なのか月曜日か‥‥ということなのです。
←個人的には、イギリスとかドイツ、北欧など、割と社会システムがきっちりしてそうな都市でも、上に書いた様な南ヨーロッパと同じ様なことが起こっているのか?という所を、是非他の著者の方々に伺ってみたいところです。



さて、海外で働くのに最適なステップの一つはやはり、現地の大学や大学院へ進学して状況を見つつ、生の情報を集めながら職を探すというのが一番良いのでは、、、と思っています(地中海ブログ:スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その1、地中海ブログ:スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その2:タイトル読み替え過程(Homologacion)について、地中海ブログ:スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その3:短期滞在と長期滞在に取るべき戦略の違い)。

ヨーロッパの大学、もしくは大学院事情についてはことある毎に書いてきました(地中海ブログ:スペインの大学ランキング:総合ランキングではなく、学部間で競い合うというシステム、地中海ブログ:ヨーロッパの公立大学の授業料について、地中海ブログ:ヨーロッパの公立大学の授業料について、その2:スペインの教育システムの裏にある考え方)。また、前回の書籍に登場されたRCR事務所出身の小塙さんと藤井さんが企画されている短期留学体験みたいなオプションもバルセロナにはあったりします。

加えて、スペインの建築系の大学院に関しては、TOEFLやGREのような試験もなければ、厳格な入学審査(面接)のようなものもほとんどありません。また、学費も北ヨーロッパやアメリカに比べると格段に安く、近年は生活費が高くなってきたとは言っても、ロンドンやパリほどではありません。そういう意味において、南ヨーロッパへの留学というのは、北ヨーロッパ、もしくはアメリカへの留学と比べると「格段にお手軽かな、、、」という気はします。

では良いことばかりかというと、南ヨーロッパには「南なりのデメリット」も当然あります。その辺については当日のディスカッションで福岡さん、阿部さんと共に深めていけたら、、、と思っています。

井口:触れていただきたい内容は事前にお伝えしていました。建築論ではなく体験談として、海外へ出かけた動機、仕事の見つけ方、担当した物件、仕事の仕方、人との接し方、暮らし方、心がけ、目標、日本へ戻るきっかけや理由等々、です。特に海外にお住まいの方にはお会いしないまま書いていただくわけですから、一か八かみたいなところも正直ありますしね(笑)。

もう一つは、書き出しを揃えてもらいました。場所は違うけれども、現代という時間を共有していることが感じられるかなと思い、その日一日を振り返る描写で揃えてもらいました。

最終的に送られてきた原稿の中には、かなりリライトさせていただいたものもあれば、殆ど手を入れないものもありましたが、どなたも素直に、率直に書いてくださっていました。


初稿が真っ赤になって返ってきたのは僕です(笑)。かなりの部分が書き直し(ホントに真っ赤っかだったのです!)だったので、心配になってシザ事務所の伊藤さんに「い、伊藤さん、、、僕の原稿真っ赤なんですが、伊藤さんはどんな感じでした?」ってメールしたら、「あ、あれはですねー、出来の悪い人は真っ赤になるらしいですよ」っていう大変素直な返信があり(笑)、「や、やっぱりそうか!」と金曜日の夜に一人落ち込んでいたことも、いまとなっては良い思い出ですww
←ちなみにシザ事務所の伊藤さんも、前回の書籍「海外で建築を仕事にする」に書かれています。
←シザとのやり取りなどが巧みに組み込まれていて、すっごく魅力的な文章となっています。



井口:海外に限らないけど、人に直接会うことで情報や知見だけでなく別の人との出会いが必ずあるので、進路を開拓しようと思ったら自然とそうなるんじゃないでしょうか。

いしまる:建築に限らず、新天地というか、まったくコネがない場所で活躍するための術が実はこの本に載っているというか。


今回の書籍には15人分の人生が凝縮されています。各人がどのように考え、どのように海外へ飛び立っていったのか、そして彼の地でどのように仕事を選び、どのようにプロジェクトに絡んでいったのか、、、

それがそのまま他の人の人生になる訳では無いのですが、「海外へ出て行くということを人生の中にどのように位置付けるのか」を参考にすることは出来ると思います。そしてそのような視点で作られた書籍は以前は無かった様に思うんですね。

これは裏覚えなのですが、1980年くらいの「建築雑誌」に「海外留学特集」みたいなのがあって、当時の僕はその記事を穴が開くほど読んだ記憶があります。
←いや、僕の先生(渡辺純さん、ハーバードに留学)が寄稿されていたのです。
←あの当時、「今回のような書籍があったらなー」と思わずにはいられません。



いしまる:海外に行く予定はない、日本で仕事をしている人にこの本で何を一番感じてほしいですか?

井口:海外に行くかどうかは本当はあまり大事ではなくて「どこに居ても決まり切った進路の選び方なんて無いんじゃないの?」っていうことを感じてもらえたら嬉しいです。自分次第というか。


ここがこのインタビューの一番核心的なところだと思います。

「海外で建築を仕事にする」っていう本を出しておきながら何なのですが(笑)、実は海外に行くかどうか、海外で暮らすかどうかなんてことはあまり重要ではないと、僕も強くそう思います。

勘違いしている人が非常に多いのですが、海外には甘い生活が待っているとか、「海外に行けば何か面白いことができる」だとか、それは幻想に過ぎません。

他国で暮らすということは楽しいことばかりでは無く、くじけそうになることも多々あるし、全て投げ出してしまおうと思うことだってしばしばです。

また、見過ごされがちな事実として、我々日本人が海外で暮らすということは、「その国において移民になる」ということなのです。移民であるからには、定期的に移民局に行って何時間も待たされながらもビザを更新しなければならないし、「移民だから」と言う理由で仕事もかなり制限されます。

そしてそれは多分、その地域の文化を知れば知るほど、生活をすればするほど、「我々は日本人であり、この地では移民である」という事を思い知ることなんだと思うんですね。それが異文化の中で生きていく/生き残っていくということなのです。

では何故、僕はそんな思いまでして海外で働き、そして暮らしているのか?
←←←この続きは当日のディスカッションで。



井口:いざ企画書を書くときは、「どうしよう、めちゃくちゃ売れたら……」とか妄想しながら書いたりしちゃいます(笑)。


僕は書籍作りに関わらせて頂いたのは今回が初めてだったので、一般的に書籍がどういう風に作られるのか、編集側とのやり取りはどんな感じなのか、といったことに関しては全くの無知でした。

だから学芸出版社さんが僕にしてくれたこと、編集に関して井口さんが僕にしてくださったことが業界のスタンダードなのかどうなのか、それは分かりません。

しかしですね、彼女は僕の読みにくい原稿を一言一句丁寧に読んで下さり、僕の言いたいことを僕以上に理解してくれた上で、「こうしてはどうですか?」という適切なアドバイスを何度も何度もして下さいました。また、文章にあわせて載せる写真や図、スケッチなどを親身になって選んで下さり、その方向性に従って手直ししていくと、自分の原稿がみるみる良くなっていくのが分かる、そんな楽しい数ヶ月だったんですね。

もしかしたらこの様に親身になって執筆者の相談にのってくれるのは学芸出版社さんの社風かもしれませんし、もしくは僕を担当してくださった井口さんのお人柄だったのかもしれません。

でも、初めて参加させて頂いた本の担当が井口さんで本当に良かったと、いまでは心からそう思っています。

書籍作りを好きにさせてくれて、どうもありがとうございました!
| 仕事 | 11:06 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
観光MICEとオープンデータ:2020に向けて、バルセロナの失敗の学ぶ、データ活用による都市観光の未来
今月末(12月21日(月曜日))、横浜の情文センターにて「バルセロナの失敗に学ぶ、データ活用による都市観光の未来」と題したシンポジウムを開催します。
←お申し込みはコチラから。



主催はNPO横浜コミュニティ・デザイン・ラボとlaboratory urban DECODE、後援は横浜市役所とバルセロナ都市生態学庁です。

当ブログの読者の皆さんにはもう馴染み深いことだとは思うのですが、いまやバルセロナは世界に名だたる観光都市に発展してしまいました。「パリやロンドン、ローマだって世界的な観光都市なんだから、どうってことないじゃん!」とか思ったそこの貴方!ハズレですー、ぶっぶぶー(笑)。



いや、別にハズレってことはないんだけど(笑)、バルセロナの観光状況をパリやロンドンのそれと比べる時に考慮されるべき点が一つあります。それはスペインという国が1975年まで独裁政権下にあったということ、そしてそのフランコ政権時代においては、観光政策は勿論のこと、都市生活に必要不可欠な生活インフラにすら十分な投資が為されなかったという事実なんですね。つまりバルセロナを観光という切り口で見た時の一つの特徴は、「民主化後30年足らずでパリやロンドンといった世界トップレベルの都市と競い合えるまでになってしまった」ということなのです。

何故そんなことが可能だったのか?

その裏には非常に良く考えられた都市戦略、もっと言っちゃうと大規模イベントをうまく活用した都市政策なんかが挙げられると思います(地中海ブログ:バルセロナのイベント発展型都市戦略とGSMA(Mobile World Congress 2009))。ちなみに僕は、一時期ユネスコ(UNESCO)で働いていたことがあるのですが、バルセロナが2004年にでっち上げた大規模イベント世界文化フォーラム(FORUM2004)のバックにはUNESCOが付いていて、あれやこれやと画策していました。

世界遺産認定などで知られるUNESCOという機関はニュートラルな立ち位置を保っている為に、「一つの都市に肩入れする、、、」なんてことは普通はないのですが、元UNESCO総長だったカタラン人が「パリから引き上げる時のお土産に、ぜひ祖国に自分の記念碑を打ち建てたい!」みたいな超ワガママから生まれたのが、このFORUM2004だったりします。1992年のバルセロナオリンピック招致の裏にサマランチ会長がいたのと同じ構図です(地中海ブログ:国際オリンピック委員会(IOC)前会長のフアン・アントニオ・サマランチ(Juan Antonio Samaranch)氏死去)。

これら大規模イベントを用いた都市開発、都市計画の裏には見逃せない仕組み、システムがあるのですが、その辺についても今回のシンポジウムでは少しお話しようかな、、、と思っているのですが(こちらも参照してください→地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?:まとめ)、そんな中でも今までなかなか語られてこなかった側面、それが「バルセロナが如何にICTを使って都市を発展させてきたか?」、もしくは「都市政策や都市計画に如何にICTを活用してきたのか?」という点なんですね。

あまり知られていませんが、欧州においてバルセロナという都市はICT分野で抜きん出た功績を挙げています。例えば、Yahooリサーチがバルセロナにあったり、「初音ミク」の基礎技術を開発したのがバルセロナの研究所だったりする、、、ということを知ってる人ってなかなか居ないのではないでしょうか?ちなみにこのYahooリサーチや初音ミクの基礎技術を開発した研究所が集まっているのが、最近急激に伸びてきているポンペウ・ファブラ大学(Universitat Pompeu Fabra)だったりします(地中海ブログ:初音ミクに使われている技術ってメイド・イン・カタルーニャだったのか!って話)。

また、2011年から始まったスマートシティ国際会議は、スマートシティ関連のイベントとしては世界一の規模を誇るまでに発展してしまいました(地中海ブログ:スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜))。



2011年当時、35年近く続いた労働左派政権(PSC)がカタルーニャ右派政権(CiU)に初めて変わる交代劇がバルセロナ市役所であり、「前政権とは何か違うことがしたい!」みたいな右寄り政権の超ワガママな要求に、「スマートシティ路線でいってみてはどうですか?」とアドバイスをしました。更にそのイベントの権威付けの為に、MITで僕が所属しているラボの所長(カルロさん)に連絡して、「バルセロナ来たい?」って聞いたら、「チョー行ってみたい!」みたいな感じのレスが速攻で返ってきたので基調講演を頼んだりしたんですね。



そんなバルセロナが、現在のスマートシティ政策に直接繋がるプロジェクトに取り組み始めたのが2000年代初頭のこと、そして偶然にも、そのプロジェクトに放り込まれたのが僕だったりします(笑)。
←いや、ほんと当時は何にも分かってなかったんだけど、勝手に放り込まれてしまったのです!

実はその事実に気が付いたのはつい先日のことで、オープンデータ関連でバルセロナを訪問されたいた方と一緒にバルセロナ市役所のスマートシティのキーパーソンにお話を伺っていたら、なんと、そのプロジェクトが現在バルセロナが推し進めているオープンデータ政策の根幹であり始まりであった、、、という驚くべき証言が出て僕自身ビックリしてしまったのです!



その当時、僕はバルセロナ都市生態学庁からモビリティの責任者としてこのプロジェクトに参加していたのですが、そこで僕がやっていたことは、「ICTを用いたモビリティマネジメントの開発」というテーマであって、それが後のBluetoothセンサーなんかに繋がっていく訳なのですが(地中海ブログ:ルーヴル美術館、来館者調査/分析:学術論文第一弾、出ました!)、その一方で別のチームが、ICTを活用した都市プラットフォーム・インターフェイスの開発みたいなことをやっていて、それを横目でチラチラ見ながらも、「な、なんかやってるなー」ぐらいにしか思っていませんでした。



その時のアレが、実は現在バルセロナがオープンデータで世界的な主導権を握っているプラットフォームの根幹になっているとは、夢にも思わなかったのです!

というわけで、奇しくもバルセロナのICT活用の現場にその始まりから関わることになってしまい、机上の空論ではなく、現場で実際にプロジェクトが動いているところを見てしまったという稀有な体験から、「この経験をぜひ皆さんと共有したい」と思ったのが、今回のシンポジウムを立ち上げたキッカケです。

特に今回は、バルセロナが体験してきた観光という分野、そこに焦点を当てて講演出来たらと思っています。

講演会は2部構成になっています。前半では僕が基調講演をして、横浜市役所のかたも「横浜市の観光の現状」みたいな感じで講演をして下さる予定になっています(あくまで予定)。その後、観光に関わる幾つかのベンチャー企業の方々にプレゼンをして頂いた後、休憩を挟んで後半からは日本のオープンデータの引率者として知られている国際大学GLOCOMの庄司さんにmoderatorをお頼みし、様々な方々を交えながらディスカッションなど出来たらと考えています。

2020年の東京オリンピックを控える中、良い意味でも悪い意味でも、観光という分野においてバルセロナは日本の一歩も二歩も先に行っていると思います。そんな「バルセロナの体験している現在」は、「東京の未来の姿」かも知れません。そのバルセロナから一体何が学べるのか、どうすれば東京オリンピックをもっと良くできるのか、また周辺都市の役割は一体何なのか、はたまたそんな中で、ビックデータ・オープンデータはどの様に活用出来るのか?などを考えるキッカケになれば幸いです。

皆さん、宜しくお願いします!
| 仕事 | 15:40 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜)シンポジウム大成功!
怒涛ともいえる3日間の日本滞在を経て、やっとの思いでバルセロナに到着しました。



今回の弾丸帰国、トランジット待ち(2時間の予定)のミュンヘン空港のカフェでコーヒーを飲みながら、「あー、そろそろ搭乗時間かなー?」とか思ってもう一度チケットをよく見たら、待ち時間が「2時間」じゃなくて「12時間」だった(苦笑)。
←「1」を一つ見落としてたー!ギャー!!
もう、愕然とするしかなかったんだけど、ミュンヘンは今まで一度も来たことがなかったし、「良い機会かな?」と気持ちを切り替えて、前々から行きたかったコープ・ヒンメルブラウ設計のBMW博物館へGO!



ぼく、車とかバイクとかサッパリ興味がないんだけど、この博物館ではBMW車に試乗出来たり、バイクに跨ることが出来たりと、色々と体験することが出来て結構楽しい。



そしてそして、ミュンヘンと言えば、我々建築家にとって思い出されるのはやはりフライ・オットーのミュンヘンオリンピック競技場かな?、、、と思います(これについては次回のエントリで詳しく書こうと思っています)。

と、そんなこんなで東京到着前から既に波乱だらけの幕開けとなった今回の弾丸帰国、その目的は前回のエントリで書いた通り、8月8日に横浜で行われた「スマートシティとオープンデータ」に関するシンポジウムに参加する為だったんですね(地中海ブログ:スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜))。



いままで登壇者としてプレゼンすることは(色んな国と地域で)それこそ数え切れないほど経験させてもらったんだけど、その様なシンポジウムを企画する側に回ったのは実は今回が人生初!もうホント、分からないことだらけで、手探りの状態の中で進めてきたということもあり、当日は結構ドタバタだった気がします。



また、どれくらいの参加者の方々に来てもらえるかなどがサッパリ予測出来なかったことなどもあって、少々不安でもあったんだけど、当日は本当に沢山の人たちに来てもらうことが出来て、結果から言うと、「大」の上にもう一つ「大」が付く程の「大大大成功」と言っても過言では無かったと思います。



「(有料の)オープンデータ系のイベントでこれだけの人達が集まるのはちょっと異例」という言葉を色んな人達から言って頂けるほどの活況でした。



今回のシンポジウムを企画するにあたり、スポンサーの方々や登壇者の方々は勿論、分からない部分について様々なアドバイスを下さった方々や、お忙しい中、当日会場に駆け付けて下さった方々に心から感謝します。



どうもありがとうございました!!!!

で、この大成功を受け、「このシンポジウムを連続シンポジウムにしよう」という提案が出ています。今回と同じく、横浜市役所、バルセロナ市役所、そしてMITのバックアップのもと、第2回目は「オープンデータと医療」、第3回目は「オープンデータと観光」と題して行おうと画策している所です。

特に第3回目の「オープンデータと観光」については、2020年の東京オリンピック問題を絡め、「バルセロナオリンピックの成功と失敗から学ぶこと」みたいな感じで企画出来たらと思っているんですね。



当ブログの読者の皆さんには既に馴染み深いテーマだとは思うのですが、バルセロナは1992年のバルセロナオリンピックを契機に都市のインフラを大規模改善することに成功し、この都市開発手法は後に「大規模イベントを活用した都市開発モデル=バルセロナモデル」として世界中の都市に注目され続けてきました(地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?:まとめ)。



それらの議論では、「なぜバルセロナはこれほどまでに発展することが出来たのか?」、「いったい何が成功の要因だったのか?」など、主に「成功面から捉えたもの」が殆どだったと思うのですが、その一方で「バルセロナの失敗」についてはあまり語られることがなかったと思います。



僕の眼から見ると、バルセロナは数々の失敗を幾つも繰り返しているし、特に近年は、「成功し過ぎた観光」による都市への弊害、「増えすぎた観光客による市民生活への影響」が現地で大問題となってきつつあります(地中海ブログ:バルセロナの中心市街地で新たな現象が起こりつつある予感がするその3:街頭売春が引き起こした公共空間の劣化)。これは、「観光こそ21世紀を担う産業だ!」と手離しで観光客を誘致することだけを考えている日本の現在の状況に、それと並行して「観光マネジメントを考慮することの重要性」を示唆する事例でもあったりすると思うんですね。



更に、バルセロナオリンピック時において建設された施設群が「今現在、どのように使われているのか、どう運営されているのか?」といったポストオリンピックにも焦点を当てることによって、東京で計画されている選手村を含むオリンピック施設群の問題にも何かしらの光が当てられたらとも思っています。



‥‥と、こんな感じで今回初めて企画した「スマートシティとオープンデータ」シンポジウムから学んだ教訓を活かし、これから4ヶ月ほどを掛けてこれらの企画を実現していきたいと思っています。

上記のようなテーマで、「こんな話が聞きたい!」、「こんなテーマを取り上げてくれ!」というようなご意見、ご要望があったら、是非メール頂ければと思っています。



取り敢えず、今日はシンポジウムの成功を祝って、一人で勝手に乾杯しよう。
←いつもながらにコーヒーとクロワッサンで。
←ぼく、ビール飲めないので(笑)。

追記(今回の東京滞在で思ったこと)
シンポジウムの翌日(日本滞在最終日)は仕事関係のミーティングがギッシリ入ってたんだけど、その間の短い時間を使って森アーツセンターギャラリーで開催中の「機動戦士ガンダム展:THE ART OF GUNDAM」へ行ってきました。



日本ミュージアム・マネジメント学会の基調講演の為に帰国した6月の時には、同じ場所で「ナルト展」がやってたんだけど、森アーツセンターギャラリーって、こういう路線に変更したのでしょうか? ←個人的にはかなり嬉しい。

今回の展覧会ではガンダムの頭部が原寸大で作ってあったり、見たことない原画が展示してあったりと、ガンダム好きには堪らない展覧会となっています。

ここを駆け足で見て回り、バルセロナへの帰国便に乗る為に羽田空港へ。実は羽田空港を使うのは人生初! ←いつも日本へ帰る時は中部国際空港(セントレア)なので。で、今回、初めて羽田空港を使ってみたのですが、正直言って、これが日本の首都、東京の玄関口だとは思えないほど貧弱な空港で「ある意味」驚きました。

上述したように、羽田空港を使うのは今回が初めてだったので、この空港のことをよく知らないし、東京にはもう一つ成田空港があるということも分かっています。また、僕が使ったのは国際線の方で、「羽田は国内線と分かれているらしい」ということも分かった上でのことなのですが、取り敢えず「初めて使ってみた感想」を率直に書いてみます。

まず、ニューヨーク、ロンドン、パリなどと肩を並べるグローバルシティ、東京の空の玄関口としては貫禄がなさすぎ。レストラン街も、お寿司とかラーメンとか揃えてるのは分かるけど、ちょっと品揃えが少なすぎな感が否めません(レストランのラインナップだけなら、セントレアの方が良いと思うほどです)。



外国人観光客向けに橋とか非常にがんばって作ってるけど、正直言って、「うーん」って感じかな。チャックインして中に入っても、欧州のハブ空港フランクフルトなんかとは比べようもない。そして決定的なのは、空港から都内へのアクセッシビリティ。電車で40分って、これは遠すぎる。フランクフルトの12分(電車)は例外としても、バルセロナですらバスで20分の距離圏内ですからね。


(フランクフルト市内の街並み)
その一方、都内の公共交通機関の充実度は世界トップレベルであることは間違いありません。つまり空港は都心から無茶苦茶遠いけど、都内に入ってしまいさえすれば移動は最高にスムーズだということです。また、近年批判され続けてきた無料wifiの面も、地下鉄会社(?)が無料提供し始めたので、大変改善されていると思います。


(仁川空港)

もう一度言いますが、今回初めて羽田空港を使ったので、この空港については知らないことが多いし、もしかしたらものすごく間違ったことを言っているだけなのかもしれません。

今後、羽田空港、成田空港を使うことが多々出てくると思われるので、この空港問題に関しては観光客目線で、もうちょっと観察を続けてみようと思います。
| 仕事 | 02:01 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜)
暑い、、、とにかく暑い!先週、今週とヨーロッパ全土にアフリカからの熱波が押し寄せてるらしく、バルセロナ市内では連日猛暑が続いています。



なんか、サグラダファミリアも燃えてるっぽい、、、(笑)。

さて、夏本番に向け暑さが益々強くなってくる今日この頃ではあるのですが、8月8日の土曜日、「スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくり」と題したシンポジウムを横浜(横浜情文センター)にて開催します。
←上のリンクが参加登録ウェブとなっています。

「え、え、‥‥オープンデータってなに?、、、美味しいの???」とか思った、そこのあなた!!正しい反応です(笑)。



専門家ならまだしも、日本国民の大多数の人達は、「オープンデータという言葉すら聞いたことがない」というのが実情だと思います。

では一体、オープンデータとは何なのか?

Open Definitionによると、「オープンデータとは、自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布できるようなデータのことだ。従うべき決まりは、せいぜい「作者のクレジットを残す」あるいは「同じ条件で配布する」程度である」と書いてあります。

分かりやすい例えで言うと、「市役所なんかが持ってるんだけど、いままでは利用出来なかった各種データをウェブ上に公開していこう」‥‥というイメージで良いかなと思います(例えばコチラ:地中海ブログ:バルセロナ:オープンハウス2013:その地域に建つ建築(情報)をオープンにしていくということ)。



 「なるほどー。行政が一方的に囲い込んでいたデータを一般市民に公開するという方向性はよーく解った。でもそれが一体何の役に立つの??」、、、と思ったそこのあなた!素晴らしい感性の持ち主です(笑)。

というか、それが一般市民の皆さんの素直な反応だと思います。

何を隠そうこの僕も、知人からオープンデータという言葉とコンセプトを初めて聞いた時は素直にそう思ってしまいました。「行政が持っているデータをオープンにするとして、それが一体何の役に立つのだろう、、、」と。

今回のシンポジウムは、正にそんな超素朴な(しかし大変重要に思える)疑問に答えることを目的として企画されたと言っても過言ではありません。



基本的なアイデアとしては、都市計画(アーバニズム)とモビリティの交差点を「データ」という視点で切り取り、これらの分野を代表するお二方にそれぞれの背景を基調講演で語って頂くことによって、「オープンデータという捉えどころのない言葉」を、より具体的で身近な問題として感じてもらえればと思っています。



登壇者一人目はバルセロナから僕の元上司でありモビリティの世界的権威、そして当ブログにも度々登場するジャウマ・バルセロさん(Dr. Jaume Barcelo)をお招きし、最新テクノロジーを用いた交通データの収集法やその分析手法、更には現在世界中で話題騒然となっているNFD(Network Fundamental Diagram)などについてお話頂きます。



ジャウマさんに初めてお会いしたのは今から丁度10年程前のこと、僕がまだバルセロナ都市生態学庁に勤めていた時のことでした。その頃はちょうど働き始めたばかりで、グラシア地区の歩行者計画を担当していたのですが(地中海ブログ:グラシア地区祭り:バルセロナの歩行者空間プロジェクトの責任者だったけど、何か質問ある?)、そのプロジェクトの中でジャウマさんが開発された交通シミューレーション(世界で最も成功していると言われているAINSUM)を使っていたのが知り合ったキッカケだったんですね。



それ以来、仕事をするのは勿論、一緒に食事をしたり、クリスマス前のホームパーティーに招いてくれたりと、様々な形で彼との交流が始まったという訳なのです。ちなみに仕事関係では、バルセロナ市バス路線変更計画(地中海ブログ:バルセロナのバス路線変更プロジェクト担当してたけど、何か質問ある?バルセロナの都市形態を最大限活かした都市モビリティ計画)をご一緒したり、EUプロジェクトを一緒に立ち上げたりと、公私共に今まで散々お世話になっています。



その一方、筑波大学から川嶋宏一さんをお招きして、日本におけるオープンデータの現状を語って頂きます。

何を隠そうバルセロナという都市は、オープンデータという観点においては世界トップを走っていると言っても過言ではありません。
←嘘のような本当の話(驚!)。
世界中の自治体が、それこそ今度はバルセロナのオープンデータの取り組みを「バルセロナモデル」として参考にしようという動きが垣間見られるのです(地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?:まとめ)。



今回のシンポジウムでは、この様なバルセロナの取り組みをいち早く紹介することによって、日本の自治体の皆さんへの参考にしてもらおうという意図もあったりします。

という訳で、バルセロナ市役所の僕の元同僚や友達に連絡を取って、協賛という形でバルセロナ市役所に入ってもらうことになりました(調整中)。 ←実はバルセロナの政権が右寄り(CiU)から左寄り(Barcelona En Comú)に変わったばかりだったので、今回の協賛を取り付けるに当たっては結構骨が折れました(7月16日現在、最終決定通知メールは未だ来ていませんが、、、)。先ず、誰が最高責任者なのかすら決まってないという状態だったんだけど、友達のカタラン人(官僚)が非常に上手く立ち回ってくれて、短い時間の中で協賛という形に漕ぎ着けたという背景があったりします。



また、僕の所属しているラボ(MIT)は携帯電話のトラッキングデータを始め、大規模データの収集と分析においては頭一つも二つも抜け出ていることなどから、こちらにも協賛という形で色々と協力をしてもらっています。更に更に、日頃から非常にお世話になっている横浜市役所の方々にも協力してもらって協賛となって頂きました。

と、こんな感じで結構苦労して立ち上げた今回のシンポジウムなんだけど、今後確実にメインストリームとなってくるであろうオープンデータという潮流が、いかに「まちづくり」、ひいては我々の生活の質に影響を与えるかということを具体的に語る良い機会になると、そう信じています。

みなさん、ぜひご参加ください!

P.S.
スペイン関係の企業のかたや、日本でスペイン系のレストランなどを営んでいる方々で、「この機会に是非、横浜でうちの会社やレストランを宣伝したい!」という方々がいらっしゃったら、お気軽にご連絡ください。
| 仕事 | 05:25 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
華の都パリの魅力、そして誘惑
丁度今の時期、スペインの至る所ではスペイン人達が必死になって働いている「世にも珍しい姿」を垣間みる事が出来ます。何でかって、8月からの夏休みを謳歌したい彼らは、休みに入る前に無理矢理にでも仕事を終わらせようと、それこそ命懸けっていうくらいの勢いで仕事に取り組んでいるからなんですね。いや、ほんとスペイン人って休暇とかが絡んでくると、それこそ火事場のクソ力じゃないけど、土壇場で物凄い集中力とか発揮するから不思議です。って言うかさー、「普段からそれくらいの勢いで仕事したら?」とか言いたくなるのは僕だけじゃないと思う(苦笑)。



かくいう僕もこの時期の忙しさは尋常じゃなくって、ハッキリ言ってバルセロナに居る事も結構マレ。ましてや、ゆっくりとブログを書いている時間も無いくらいで、実はこのエントリもパリからの帰りの飛行機の中で書いています。ちなみに隣にはユーロディズニーに行って来たと見られる家族が座ってて、ミッキーマウスの耳を付けた小学生くらいのカタラン人の男の子がカタラン語で、「ママー、この中国人、何か訳分からない文字書いてるよー」とか言ってる(笑)。いや、ミッキーマウスの耳付けながらバルサのユニフォーム着てる貴方の方が訳分からないですけど‥‥と大人気ないながらも心の中で反論してみる(笑)。



と言う訳でとあるプロジェクトのミーティングの為に3日間ほど華の都パリに行ってきました。何時もパリに来る時は超過密スケジュールで来るので、ゆっくりと市内を観光している暇も無いんだけど、今回もご多分に漏れず、バルセロナを朝一番の飛行機(7時15分)で発って、そのままホテルにも寄らずにミーティング場所へ直行。それから夜までずーっとミーティング三昧の3日間だったんですね。



まあパリには3年前の年末年始のバカンスで2週間ほど滞在した時に、ポンピドゥーセンターやオルセー美術館、はたまたロダン美術館やコルビジェの一連の作品など主要なものは殆ど見たんだけど(地中海ブログ:パリ旅行その5:カミーユ・クローデル(Camille Claudel)の芸術:内なる感情を全体で表している彫刻作品、もしくは彼女の人生そのもの)、「やっぱりどれか一つくらいはゆっくり見て回りたいよなー」と思い、悩みに悩んだ末に選び出したのがコチラ:



17世紀に建てられた貴族の邸宅を図書館として増改築し、今なお使用されている国立図書館です。鋳鉄の柱とアーチ、そしてドーム天井が大変美しい空間を醸し出しています。近代図書館建築の傑作だと思います。



今回は知り合いのフランス人と一緒に行ったので、直ぐに中へ入れてもらう事が出来た上に、写真も少しだけ撮らせて貰える事に(普段は撮影禁止っぽい)。ラッキー!そしてもう一カ所、空港へ行く前に僕が必ず訪れるのがコチラです:



ブックオフ!そう、何を隠そうパリにはブックオフがあるんですね。多分パリに住んでる人にとっては「なに当たり前の事言ってるの?」って感じなんだろうけど、「ピレネーから南はヨーロッパじゃない」と言われるバルセロナに住んでる僕からしたら、街中に日本の書籍を扱っている本屋さんがあるという事は、俄には信じがたい程のインパクトがあります。で、不思議な事に僕がパリに来る度にバルセロナの自宅には「修羅の門」が増えていくという謎(笑)。そしてパリ滞在中の食事は勿論ラーメンと餃子。パリのラーメン、ムチャクチャ美味しい!殆ど日本だな、こりゃ!

日本人が数多く住んでいるパリという街においては、もし我々日本人が日本の食事を楽しみ、日本語の本を読みたいと望むならその様な生活が出来てしまう空間が用意されているのだと思います。勿論、そうするか?そうしないか?は個人の選択の自由で、そうしない事も選択肢の一つだと思うんだけど、僕みたいな人間にはパリに居ながらこの様な日本的な空間で「閉じた生活」が出来ちゃうという甘い誘惑が用意されていると言う事なんですね。そしてそれは大変居心地が良い反面、色んな意味で「ちょっと怖い事でもあるかな」と思いました。

‥‥とか書いてたら「もう間もなく着陸態勢に入るので電気機器のスイッチをお切りください」とのアナウンスが。



華の都パリ。今回もかなりの急ぎ足で各機関を行ったり来たりしていたものだから、ゆっくりとコーヒーすら飲む時間も殆ど無かったんだけど、ルーブル美術館でのミーティングの合間を縫って、ガラスのピラミッドが真正面に見えるカフェで飲んだカプチーノが最高だった。そしてこの極上の空間体験こそ、この地を今でも「華の都」として、世界中から観光客を魅了して止まない、この地にしかない魅力なのでしょうね。
| 仕事 | 21:16 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
マドリッド出張2010その1:AVEはやっぱり凄かった!
今日から出張でマドリッドに来ています。夏前にブリュッセルで20102011年度欧州プロジェクトの説明会と言うのが行われたのですが、そのスペイン版に参加する為です(そういうのがあるんです!地中海ブログ:EUプロジェクト交通分野説明会2010)。



ヨーロッパの9月と言う月は日本で言う4月と同じ様な意味合いを持っていて、新しい学期が始まる月である事などから「今年はこんな感じでいきたいと思います」的な重要ミーティングなどが多々入ってたりするんですね。で、そんな欧州委員会関連の説明会などに参加していて最近僕が思う事・・・スペイン人の参加者の多い事!あっちからも、こっちからも、聞こえてくるのはスペイン語ばっか。まあ、理由は簡単で、昨今の経済危機への対応などからスペイン中央政府があらゆる分野における予算を削っている為、みんなマドリッドを頼りにするのはやめてブリュッセルにお金を取りに来たと、まあ、そんな所だと思います。

スペインがどれくらい危機に瀕しているか?もしくはスペインの私企業や研究機関、はたまた行政機関までもがどれくらい危機感を感じているのか?は、このようなブリュッセルで開かれる予算振り分けの説明会の参加者数に如実に表れていて、毎回参加者リストなんかを見てみると、どの説明会でも
2年位前の倍近くのスペイン人が駆け付けている事に気が付きます。



まあ、そんな事を思いながら今日も朝一番のAVE(スペイン高速鉄道)に乗ってマドリッドにやってきました。AVEについては以前のエントリなんかで詳しく書いてきたのですが、やはりこの電車の良い所はスペインでは非常に珍しく時間通りに目的地に着く所ですね(地中海ブログ:スペイン高速鉄道(Alta Velocidad Espanola:AVE)バルセロナ−マドリッド間開通一周年記念)。何てったって、30分以上遅れたら全額返済してくれるんですから。最初は耳を疑いましたけどね、「え、RENFEさん(AVEを運営している会社)、あなた、そんな事言っちゃって大丈夫?僕達(何事にもとってもいい加減な)スペインに居るんですよ?」みたいな(笑)。

今日のマドリッド到着予定時刻は
908分。何時もなら本当に908分チョッキリ、もしくはどんなに早くても95分、それ以前には着かない様に(多分)プログラムされてると思うんだけど、今日は何だか知らないけど10分も前に着いてしまった。しかも、駅からはかなり離れた所で降ろされちゃったし・・・。「あ、あれ?!」みたいな。



どうやら現在マドリッドのアトーチャ駅は拡張工事をしているらしく、AVEが到着したのは、駅の入り口から1キロくらい離れた無茶苦茶遠い所。ちなみに上の写真の奥の方に新しく作ってる所が拡張部分。この写真は駅から撮ったんだけど、目が霞むくらい遠いでしょ?



で、もう一つちなみに、上の写真は現在の
AVEの到着駅なんだけど、デザインしたのはスペインを代表する建築家、ラファエロ・モネオ。コンクリの柱が天高く屋根を支え、その屋根のデザインにはコールテン鋼でデザインされたユニットが繰り返されると言う、ナカナカ秀逸なデザインになっています。



素晴らしく気持の良い空間に仕上がっていると思います。



で、問題の電車の到着位置なんですけど、こんな感じで列車の連なりが途方も無い長さになっているのがお分かりでしょうか?タダでさえAVEは新幹線みたいに何両も連なってて長いのに、それが何台も縦列駐車してるから遥か彼方から歩いてこないといけない事になる訳ですよ。で、その遥か彼方からエッコラ、エッコラと散々歩かされ、「ようやく着いた!」と思い、駅前にある時計の針を見たら、908分!AVEの到着時間にピッタリ!!恐れ入りました、歩く距離と時間も計算に入れて、10分前に着いたのね、やっぱりスゴイよ、AVE!
| 仕事 | 23:22 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ロンドン出張その2:船上ディナー
EU関連のプロジェクトに関わっていて毎回非常に楽しみなのが何を隠そうディナーなのですが、というのも、ホストになった都市の人達が、その地方の文化を他のパートナーの人達により良く理解してもらおうと、その地方に根ざしたもてなしを駆使して楽しませてくれる場合が多いからなんですね。今回の開催都市はロンドン、と言う事で市内に川があるし、お題も海洋関連プロジェクトだったので、「船かな?」とか思ってたら、やっぱり船上パーティーだった。



大きな川が市内に流れている都市では、川岸に結構沢山の船が停泊してて、その中で夜景を眺めながら「ゆったりと美味しい食事を頂く」というのが結構な楽しみになっている様ですね。で、早速中に入ってみる:



僕はあんまり船とか乗らない方なので今回船に乗るのはモロッコに行った時以来、10年振りくらいなんだけど、今回の船は豪華客船なので優雅さが違う。備え付けの備品一つ一つから気品が漂ってくる・・・様な気がする(笑)。船とか本当に全然乗らないから、全く分からない(冷汗)。ヒホン(Gijon)でスペインが誇る空母、プリンシペ・デ・アストゥリアス(Portaaviones Principe de Asturiasに乗ったけど、あれは航空母艦でしたからね(地中海ブログ:ヒホンその4:航空母艦プリンシペ・デ・アストゥリアス(Portaaviones Principe de Asturias)。



さて、今回は集合が19時で1時間ほど船の上でカクテルを飲みながらの食前酒&おしゃべりタイムだったのですが、この時間は外もまだ明るく、向こう岸にはテートモダンなんかもバッチリ見えました(地中海ブログ:ロンドン旅行その9:テートモダン(Tate Modern)Herzog and De Meuronの建)。そうこうしている内に、船内に用意されていたテーブル席で本ディナーへと突入。生演奏が流れる中、とっても優雅に今日の一皿目が運ばれてきた:



料理名は忘れたけど、パンの上に生のサーモンが載ってる料理。まるで白いお皿に真っ赤なバラの花が咲いているかの様で、見た目も綺麗ならお味の方もナカナカ。そして今日のメインがコチラ:



こっちも料理名忘れたけど、チキンを煮込んだものの上に美味しいソースがかかってる料理。このソースに、焼いてあるベーコンが添えられているんだけど、それが美味しい事!これは久しぶりの「大変おいしゅうございます!」



ここでふと外を見ると、もう完全に日が暮れてて、岸のあちら側にはダイアモンドの如くの夜景が広がってる。



船内では雰囲気抜群のジャズの生演奏とかやってるし、こんな雰囲気の中でディナーを取ってると、本当に何でも美味しく感じられてくるから不思議です。やっぱり食事と言うのは、味もさる事ながら、食事をする雰囲気の重要性と言うのは外せないと思いますね。そして今日最後のお皿、デザートの登場:



今日のデザートは定番のアップルケーキでした。色んな所で色んなタイプのアップルケーキを食べてるけど、今回のケーキはシャキシャキのリンゴが「これでもか!」と言うくらい載ってる非常に満足の一品。おなかも一杯になった所で再び外へ。



もうすっかり日も暮れてロンドンの誇る夜景を楽しみながらみんなで又おしゃべり。素敵な夜景の魔力も手伝ってか、話が弾む、弾む。明らかに今日の午前、午後に行われたプレゼンとその後のディスカッションなんかよりも、よっぽど生産的な議論が出来てる気がする(笑)。と言うか、ディナーやコーヒーブレイクの時のおしゃべりの方が実はよっぽど重要なんだと言う事が分かっているからこそ、主催者側も結構なお金と時間をかけてこのような場を設けるんだと思うんですけどね。この辺の理屈は、ジョルディ・ボージャなんかが言ってる、「都市の機能の内で重要なのは、実はカフェでの何気ないおしゃべりである」みたいな所に通じる所があるかも・・・無いかな(笑)。それにしても、船上ディナーなんてあまり体験した事無かったけど、今回は大変満足な夜でした。
| 仕事 | 17:46 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
夏休み終わりました!:ロンドン出張2010その1
長かった様な短かった様な夏休みも終わり、今日から仕事に復帰します。

今日は休み明け初日と言う事で、世界各地で休暇を過ごした同僚達が持ち帰ってきたお土産が、中央にある大きな机の上にずらーっと並べられ、それを肴に、午前中は仕事そっちのけで、「私はこんな事をした」だとか、「僕はこんなすごい体験をしたぞ」とか、オフィスはまるで小学校の91日の様な風景が広がっているんですね。と言うか、広がっているはずです。と言うのも、「楽しいイベント大好き人間」の僕にとっては大変悲しい事に、僕は今、EUの海洋関連のイベント、Shipbuiders&Shiprepairers Association:The voice of the UK marine industryに参加する為にロンドンに来ているからです(悔しいー!)。日本から帰国したばかりだと言うのに、バルセロナでゆっくりする事も出来ず、今朝は4時起きして朝一番の飛行機に乗ってきたのですが、まあ、唯一ラッキーだった事と言えば、日本から帰国したてホヤホヤの為、時差ボケの真っ只中なので、朝4時と言えども、空港に着く頃には、オメメはパッチリ、頭は既にフル回転の状態だった事くらいですね(苦笑)。

さて、何故に僕が欧州の海洋関連のイベントなんかに参加しているのか?と言うとですね、今年の5月にスペインの地方都市、ヒホン(Gijon)で行われた欧州海洋記念日のイベントに参加して以来、何時の間にか海や船関連のプロジェクトにも首を突っ込む事になってしまったと言う訳なんです。(地中海ブログ:ヒホン(Gijon)その2European Maritime Day(欧州海洋記念日):フェリペ王子(アストゥリアス公(Principe de Asturias)とラボラル文化都市(La Laboral ciudad de la cultura)。ハッキリ言ってサッパリ関係の無い分野だったんだけど、まあ、でも、こうやって自分の活動領域が段々と広がっていく事自体は喜ばしい事ではあるんですけどね。

それはそうと、さっきから僕のメールボックスに同僚達からの大量のメッセージが流れ込んできてる・・・。例年通り、初日の今日はかなり楽しそうにやってるみたいで、ちょっと羨ましい。一応僕がお土産に買ってきた「ゆかり:名古屋スペシャルバージョン」も、今日みんなに食べてもらおうと、昨日のうちにEちゃんに渡しておいたんだけど、どうやら大人気だったらしく、「来年もヨロシク」とか言うメールが結構目に付く。中には、「ドラ焼きが食べたい!」なんていう、リクエストまであるし・・・。いや、ドラ焼きとか持ってきたいのはヤマヤマなんだけど、アンコって意外と重いんですよね。もっと言っちゃうと、僕としては三重名物の「赤福」なんて、スペイン人には是非食べて欲しいとか思ってるんだけど、赤福って、1日か2日くらいしかもたないから、なかなか持ってこれないんですよね。

ちなみに、去年の休み明け初日に、夏休みが余りにも楽しすぎて、自分のパソコンのパスワードを忘れちゃって、一日中大騒ぎしてた秘書のEちゃんは、今年はちゃんとパスワードをメモっていたらしく、何事も無く平穏な一日だったとか。すごい嬉しそうに「今年は大丈夫だった!」みたいなメールが来てたし(笑)。

そんなこんなで、なんか今年はバタバタと始まってしまった新学期なのですが、今日から又、エンジンをかけつつ、取り合えず、次の大きなお休みがある年末年始まで全力で突っ走れたらなと思っています。大きな期待とちょっとの不安(逆かも)が入り混じる中、地中海ブログも一ヶ月の休養期間を経て、今日から又再開したいと思います。

元気良く、そして楽しくいきたいと思いますので、今年度もヨロシクお願いします!!!
| 仕事 | 23:04 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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