地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
クリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)のエルジェ美術館(Musee Herge)はなかなか良かった
EUプロジェクト交通系説明会2010の初日が思ったよりも早く終わったので、以前から是非訪れたいと思っていたエルジェ美術館に行ってきました。この美術館はベルギーで絶大な人気を誇る漫画、冒険物語「タンタン(TINTIN)」の作者であるエルジェ(本名はジョルジュ・レミ)の様々な作品を公開する事を目的として建てられたミュージアムなんですね。



実はベルギーってヨーロッパでは指折りの漫画大国として知られていて、漫画関係の美術館・博物館などを始め、地下鉄の壁画や街の至る所に漫画が溢れています。以前のエントリで紹介したヴィクトール・オルタ(Victor Horta)が設計したWaucquezデパートなんかは今やマンガ博物館(Centre Belge de la Bande Dessinee)としてブリュッセルの観光名所の一つとして人気を呼んでいる程です(地中海ブログ:ブリュッセル出張その3:アール・ヌーヴォー建築の傑作、オルタ邸(オルタ美術館)を見ていて思った2つの事:ブログ全盛時代の内部撮影禁止事項とヴィクトール・オルタ(Victor Horta)の空間構成力について)。このマンガ博物館には前回の滞在の時に少しだけ行ったのですが、なかなか面白い内部空間の中に世界各国の漫画が紹介展示されていました。日本からはコチラの作品がエントリー:



じゃーん!モンスターの登場!!設定がドイツだし、ベルギーっ子には親近感が沸いたのでしょうか?

さて、今回僕が訪れたエルジェ美術館はベルギー中央駅から電車で約
1時間程の所にあるルーヴァン・ラ・ヌーヴ(Louvain La Neuve Univ)と言う大変こじんまりとした都市に位置しているのですが、行き方は非常に簡単で、この町までの直通電車が出ているので切符を買って電車に乗ってればそのまま自動的に目的地まで連れて行ってくれます。料金は確か片道5ユーロ程度で、美術館は駅から歩いて約5分程度の所にあります。駅を出たら表示が出ていますので、それに従って歩いていけば先ず迷う事はありませんね。さて、町中の広場を抜けると、目指すべき美術館の姿が見えてきます:



これがこの美術館の顔なのですが、二つの長方形の箱が少しずつ傾いて並んでいるのが分かるかと思います。今日の建築潮流の中において、建築に「はっきりとした顔がある」、もしくは「ここから見てくれー」って言う建築家の明確な意識が見えると言うのは、この建築の一つの特徴と言えるかと思います。



エントランスを通り過ぎて側面の方へ回ってみるとこの建築の構成が良く分かるかと思うのですが、どうやらこの美術館は大きな多角形の白い箱が2つ並んでて、その間をガラスで繋ぐと言う構成になっている様ですね。





反対側の側面に回ると、各々の白い箱の中には、青、赤、黄色などで彩られた様々な形をした箱が入れ子状になっているらしいと言う事も、ガラスを通して見えてきます。



更に側面に回り込むと、この美術館は段差のある敷地に建っていて、真下には道路が走っている事から、美術館にはブリッジを渡ってアプローチする方法が採られていると言う事が分かるかと思います。




で、美術館を支えているのがこの柱なんだけど、「まあ、何ともアクロバッティブな事やってるなー」と言うのが、第一印象かな。

実はこの美術館を設計したのは、泣く子も黙るフランス建築界の巨匠中の巨匠、クリスチャン・ド・ポルザンパルク
(Christian de Portzamparc)。僕自身、彼の建築を実際に訪れたのは今回が初めてだったのですが、その余りにもアクロバッティブな構成に最初はビックリしたというのが、正直な所でしたね。「あれ、巨匠、大丈夫ですか???」みたいな(笑)。斜めを向いた箱の並び、ブリッジを用いた派手なアプローチ、そしてそれらを支える斜めの柱郡などを見るに付け、「ははーん、この建築は「派手さ」で売っていく最近流行の目立ちたがり屋建築だなー」と一見思ってしまうのですが、ところがドッコイ、僕の目はごまかされません!その事を気が付かせてくれたのがこの空間です:



正面ファサードへと向かうアプローチ空間なのですが、この歩けば数秒も掛らない空間の中に、非常に巧みな空間操作が垣間見られるんですね。



下から見ると良く分かるんだけど、この橋が、美術館の中に展開する幻想世界、云わば、別世界へと入っていく為の準備空間として非常に上手く作用している事に気が付きます。ここが、「これから美術館の中へ入っていくぞ!」と言う気持ちを整える空間となっていると言う事です。そして右手側には、我々を先導するかの様な「パースペクティブが付いた手摺」が一直線に進行方向に向かって延びています。



手摺と言う道標に沿って進んで行くと、先ずは先程の大きな箱の一つが頭の上を覆い尽くす屋根の様な役割を果たす事によって、ひとまずココに親密空間を創り出しているいます。



そしてココからが巧妙なのですが、エントランスを「敢えて」正面には持ってこず、一旦左手側に折れて「奥」へと訪問者を導くアプローチを採っています(そしてここからは目的地(エントランス)が見えない)。
そしてこの斜めに延びるアプローチに従って進んで行くと、まるで天井が我々の道標であるかのように、一直線にエントランスへの道を指し示してくれているかのようです。



ふと右手側を見ると、ショップのガラス面が明るく僕らを迎えてくれます。言わずもがな、ここには「見る/見られる」の関係が成立していますね。エントランスに沿ったガラス面を創り出す事によって訪問者の動きを促進すると言うのは、美術館建築などにおける常套手段かと思いますが、その為にこの辺にカフェやショップを持ってくるのは、なかなか上手い処理ですね。




このガラス面と白色の一直線に伸びた天井、そしてそれらを融合するかのような地面から伸びているオレンジ色の腰壁が「ビシッ」と決まっている。


上手い!非常に上手いアプローチ空間です。コレだけ見ただけでも、この建築が只者ではない事、そしてこれを設計した人のデザイン力が相当のものである事が垣間見られます。一見、ファサードの傾いた長方形とか、ドバっと出たキャンチレバーを支える支柱のアクロバッティブな構成とかに騙されて、「あー、遅れてきたポストモダンねー」って言う感想で終わりがちなのですが、僕の目は誤魔化されません!!!フランス巨匠の力、しっかりと見させてもらいました!!!
| 旅行記:建築 | 21:17 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
スペインの歴代視聴率ランニングについて:ワールドカップとユーロビジョン
先々週の新聞(El pais 13 de Julio 2010)にスペインにおけるテレビの歴代視聴率ランキングと歴代観戦者数ランキングが載っていました。

言うまでも無くサッカーと言うのはオリンピックと並んで世界中の視線が一手に集まり、グローバリゼーションが進展した今の時代においてさえも、家族ぐるみで楽しむ事が出来る数少ない機会になっているんですね。「人が集まると言う事はお金が集まると言う事」というのは時の常なのですが、正にサッカーは大衆文化と手を組み、熱狂的なファンを生み出す事などから、莫大なお金が動くビジネスとなっています。その中心にいるのが実は今日の話題であるテレビの視聴率です。ちなみにオリンピックを商業的に大成功させたのは、つい先日亡くなったサマランチ元IOC会長であると言う事は、以前のエントリで書いた通りです(地中海ブログ:国際オリンピック委員会(IOC)前会長のフアン・アントニオ・サマランチ(Juan Antonio Samaranch)氏死去)。

(今ではもう世界中の人が知っているように)今回のワールドカップではスペインが歴史的な大勝利を収めたのですが、その中には忘れる事が出来ない数々の名場面や沢山の感動がありました。そんな中でもやはり僕が一番感動したのは、決勝戦でゴールを捥ぎ取ったイニエスタが亡き親友に贈ったメッセージ、「「ダニー・ハルケ、何時も一緒だよ (“Dani Jarque, siempre con nosotros”)」と、試合後のカシージャスの涙、そしてレポーターであり彼女でもあるサラ・カルボネロとの熱烈なワンシーンでしたね(地中海ブログ:スペイン、ワールドカップ優勝!:イニエスタのメッセージやカシージャスとサラ・カルボナルのハプニング映像など)。こんなロマンチックな場面にはそうそうお目にかかれるものでもないし、何度見ても良いシーンなので、もう一度載せちゃいます(特別に日本語訳付きで):



サラ:(今回のワールドカップ)始まりは最悪だったけど、終わってみれば、ねえ?
カシージャス:(見つめ合う二人)何が聞きたいの?
サラ:じゃあ、今どんな気持か教えてくれる?
カ シージャス:今、最高に幸せで、最高に満足してる、本当に。みんな、最初から最後まで本当に良く戦い、僕達のプレーは世界一に値するものだったと思う。こ こまで来れたのは何時も僕を応援してくれた人達のおかげだと思う、お父さん、お母さん、弟・・・そして・・・(見つめ合う二人・・・カシージャス涙ぐむ)
サラ:落ち着いて。もうちょっとだけ試合の事を話しましょう、その後で・・・
カシージャス:(そうじゃなくて、僕は・・・)
サラ:え? (チュー!!!!!!!) (拍手:パチパチパチ)
カシージャス:じゃあ、行くから
サラ:(明らかに喜んでる表情で)何て事かしら!!えっと、じゃあ、又後で続けます、それでいいですかJさん?

Sara: Bueno, como empezo la cosa y mira ahora.
Casillas: Que quieres que te diga. Que te voy a decir.
Sara: Pues que me digas como estas, como te sientes.
Casillas: Me pillas en un momento muy feliz, muy content y superalegre, la verdad. Yo creo que nos lo hemos merecido de principio a fin y solo lo agradezco a la gente que me ha apoyado siempre, a mis padres, a mi hermano….
Sara: No pasa nada. Vamos hablar un poquito de partido y luego volvemos a (los).
Castillas: (No, yo…)
Sara: No? (Besito)
Casillas: Me voy.
Sara: Madre mia. Bueno, pues luego seguimos, Vale J?

さて、こんな沢山の感動を我々に運んできてくれたワールドカップ2010だったのですが、ではスペインでは一体どれくらいの人達がこの感動を分かち合っていたのかと言うとですね、その数、なんと1500万人!視聴率にして82.9%と言う脅威の数字が出ているんですね。ちなみにこの数字は、各家庭に置いてあるテレビの数を元にした数字だそうで、皆でバーなんかに集まって集団で観戦していた人達はこの数字には含まれてはいないそうです。そしてこの1500万人と言う数字は、スペインでテレビの視聴率&観戦者数の計測が始まって以来、歴代第一位に輝いていると言う事です。

観戦者数と言う基準で歴代順位を追っていくと、大変興味深い事に、第3位までは全てサッカー関連の番組が占めてるんだけど、実は第4位にユーロビジョンが入ってきている事に気が付きます。さすがヨーロッパでサッカーと人気を二分すると言われているユーロビジョン!!(ユーロビジョンについてはコチラ:地中海ブログ:ユーロビジョン2010その2:欧州の大国がギリシャに投票したのはある種のメッセージなんじゃないの?とか思ったりして(半分冗談))驚くべき事に、2002年のユーロビジョンは観戦者数、実に1400万人を越えていました。更に面白い事に、オーディション番組であるスペイン版ASAYANとして知られているオペラシオン・トゥリンフォ(2002年)は歴代第11位に位置し、実に観戦者数1300万人近くの視線を集めていたようです。

さて、年代の進展と共に各家庭におけるテレビの普及率も上がっていったと推測されるので、単純に「テレビの観戦者数ランキング」=「視聴率ランキング」では無いと言う事は推測出来ます。

と言う訳で、視聴率と言う基準でもう一度ランキングを見てみると、先程の順位がガラリと変わってくるのですが、スペインの視聴率歴代第1位は、2002年のワールドカップ、スペイン対アイルランドの試合で、その数字なんと、脅威の88.9%!!そして歴代第2位には2002年のユーロビジョンが85.2%と言う数字で食い込んできています。今回のワールドカップ2010は82.9%で歴代第3位と言う結果になっていますね。瞬間視聴率で見ると、イニエスタがゴールを決めた前後では、視聴率なんと90.3%、観戦者数は1600万人を越えていたそうです。

更に更に、ココで驚くべき事実が発覚したのですが、この同じ瞬間にオランダではものすごい事が起こっていたようなんですね。ワールドカップ2010のスペイン対オランダの決勝戦、オランダでは何と、平均視聴率90.6%を記録していたと言う事です。瞬間じゃなくて、平均ですよ!!90%台って、一体・・・。

試合ではスペインが劇的な勝利を収めたのですが、視聴率ではオランダに完敗していたんですね。悔しいー!!!

関連データ:スペインのテレビ観戦者数ランキング(視聴率)

1. Mundial 2010. Prorroga: Final Holanda-Espana, 15.605.000(82.9%)
2. Eurocopa 2008. Penaltis: 1/4 Espana-Italia, 15.372.000(77.5%)
3. Eurocopa 2008. Final Alemania-Espana, 14.482.000(80.9%)
4. Eurovision 2002. Votaciones, 14.380.000(85.2%)
5. Eurocopa 2008. Prorroga, 1/4 Espana-Italia, 14.131.000(72.1%)
6. Copa de Europa 2001. Penaltis: Bayern Munich-Valencia,13.630.000(68.8%) 7. Eurocopa 2008. Posfutbol. Final Alemania-Espana, 13.468.000(73.2%)
8. Mundial 2010. Semifinal. Alemania-Espana, 13.289.000(77.3%)
9. C.de Europa 1998. Postfutbol: Juventus-Real Madrid, 13.234.000(67.5%)
10. Mundial 2002. Penaltis: 1/8 Espana-Irlanda, 13.036.000(88.9%)
11. Operacion Triunfo 2002, 12.873.000(68.0%)
12. Eurocopa 2008: Semifinal. Rusia-Espana, 12.870.000(72.7%)
| サブカル | 21:27 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
EUプロジェクト交通分野説明会2010
前回のエントリの続きです。EUプロジェクト交通分野(FP7 Information Days for Transport (Including Aeronautics)の説明会(Infoday2日目の昨日は、陸系(車と鉄道)と海系の公募についての欧州委員会のプレゼンテーションと質疑応答が行われました。前回のエントリで書いた様に、今年から日程がちょっと変わって、例年だと初日の午前中を陸・海系の説明に、午後を航空系の説明に割り当てていたのですが、参加者の急増に対応する為に今年から2日間に分ける事にしたようですね。



何でかって、500人収容の大会議室が昨日も今日も満員御礼になるくらいの状況でしたから、2日間に分けたのは非常に賢い選択だったと思います。テレビカメラも何台か来てましたしね。



さて、この説明会には毎年欧州各国から関連企業や研究所、大学関係者、各国政府や市役所関連の人達など、実に様々な職種の人達が駆けつけるのですが、そんな人達の間に去年辺りからある傾向が見られるようになりました。それは、スペインからの参加者の多さです。去年は本当に多くて、参加者リストの4分の1くらいはスペイン人じゃないのか?って言うくらいだったのですが、今年も去年ほどではないにしても、コーヒーブレイクやランチの最中に聞こえてくる言語と言えば圧倒的にスペイン語。さすがにカタラン語はそれ程でもなかったけど、スペイン語の多さには本当にビックリしました。

理由は明らかで、ギリシャ危機を受けスペイン政府の打ち出した財政削減策によって一番打撃を受けたのがR+D+i分野だったからです。つまり自国の予算には期待出来ないが故に、みんなでEUの予算を取りに来たと言う訳。まあ、経済が危機に直面した時に一番最初に削られる予算と言えば文化政策やR+D+iと言う事は何処の国でもそれ程変わらないとは思うんですけどね。それでも説明会後の質問タイムにおけるスペイン人による質問の多さや、午後から開かれたパートナー探しにおける彼らの真剣な態度を見るに付け、それが逆にスペインの置かれた経済危機の深さを暗に物語っている様にも見えましたね。

さて、気になった事が一つ。

今年の公募が始まる前日、各種メディアを賑わせていた記事に、「今年の欧州委員会がR+D+iに割り当てる予算は過去最大である」みたいな事が載っていました。この話はコーヒーブレイクの間中、そこここで議論されていたのですが、交通分野に関して言えば、予算配分はそれ程変わっていない様に見えます。鉄道、海系で言えば、若干増えた気がしないでもないけど、それでもそれぞれ26M euro(約30億円)程度ですからね。これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれ。

で、興味深いのが欧州委員会がプレゼン中に発表してたデータなんだけど、それによると、去年のプロポーザル応募総数は1600
で、その内360余りのプロポーザルが予算を勝ち取ったのだとか。つまり勝率21%。これは実際にプロポーザルを書き、コーディネートしている僕からしたら、「本当かな?」と思っちゃう数字ですね。僕の感覚からしたら、「5%程度じゃないの?」みたいに感じるからです。

例えば今年の4
月に締め切られたICT関連の交通系の公募には約100の応募があったそうなのですが、その内予算が付くのは多くて3つと言う事ですから、この公募に関しては勝率は3%しかない事になります。ただ、欧州委員会は様々な形の公募を行っていて、予算を振り当てるシステムも様々ですから、全体として見ると確かに20%程度なのかなー?と言う気はしないでもありません。

もう一つ気になった事は、(分かりきっていた事ではあったのですが)、やはり欧州委員会のサステイナビリティやエコに対する姿勢と言うのは年々強くなっていってますね。昨日だけで、クリーン、グリーン、エコ、サステイナビリティ、CO2
、エネルギー消費、効率性なんて言葉を200回は聞いた気がします(笑)。この方向性が良いのか悪いのかは別として、もはやこれらのテーマを扱わない限り、欧州委員会から予算を勝ち取るのは難しいのかな?と言う現実を物語っているのかもしれません。

まあ、何はともあれ、今年も無事に説明会が終わり、約一年ぶりに会った人達とも又来年の再会を誓い合い、ある人達とは一緒にプロポーザルを立ち上げる約束を交わしつつも、長かった一日が終わっていきました。


さて、来週からは長−い戦いの幕開けです!がんばろうっと。
| EUプロジェクト | 18:20 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
ブリュッセル出張:Infoday 2010:バルセロナ空港管制官の仮病騒動とか
今朝から(またまた)ブリュッセルに来ています。理由は欧州委員会で開かれている20102011年のEUプロジェクト交通分野(FP7 Information Days for Transport (Including Aeronautics)の説明会(Infoday)に参加する為なんですね(Infoday関連記事:地中海ブログ:2010年、今年最初のブリュッセル出張その2:バイリンガルを通り越してトリリンガルになる日本人達:なんちゃってトリリンガルが変えるかもしれない ヨーロッパの風景



このイベントは毎年結構楽しみにしているのですが、今日はブリュッセルに来るまでがかなり大変でした。と言うのも、実は今、バルセロナとパリを中心に空の便が非常に乱れていて、かなりの飛行機が遅延もしくはキャンセルになっているからです。何故かと言うと、今週日曜日(719日)の事だったのですが、バルセロナ空港の管制官達が集団で病欠すると言う異常事態が起こっちゃったからなんですね。何と、全管制官の内、約4分の1もの人達が同じ日に病欠すると言う、非常に疑わしい事態が起きた事から、勧業省の大臣が緊急会見を開くまでに至りました。

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人一斉に病欠って、まあ、どう考えたって「仮病」なんですけどね(笑)。スペインでは良くある事で、確か5日目までは病欠で休んでもその間の給料は勤めている会社が負担する事になるので、医者も簡単に「病気である」って言う証明書を発行してくれます。しかし5日を超えると、その超過分の給料は社会保障庁が支払う事になっているので、医者も証明書を発行する事を渋ると言う背景があるんですね。だから不思議な事に、スペイン人の病気って言うのは、4日でパッと治る事がすごく多い!(笑)。

ちなみにこの仮病騒ぎの事をTwitterで呟いたら、「ヨーロッパ各国の仮病率」って言うデータを送ってくれた方がいらして、そのデータがコレマタ、かなり興味深かった。病欠した人の内、何パーセントの人が仮病を装っているのか?っていうデータだったんだけど、それによると、スペインでは病欠中に占める仮病の割合は何と22%!「結構高いなー」とか思ってたら、何と、イギリスとアイルランドでは21%!オランダは20%。!!何に驚いたかって、何処もそれ程変わらないじゃんって所かな(笑)。

で、今回の仮病騒動にはちょっとした裏話があって、実はスペインの管制官って言うのは、大変な高給取りらしく、彼らの給料は平均で2000万を優に超えるそうなんです。どうして管制官の給料がそんなに高くなるのかと言うと、どうやら管制官の給料の40%近くを占めるのは残業代、もしくは別の仕事をした時など出る付加給料らしいんですね。そこに目を付けたのが、どうにかこうにかして政府の支出を減らしたいサパテロ内閣。「全国の公務員が5%の給料カットを強いられる中、管制官だけがそんなに給料を貰っているのはけしからん!」って事で、すぐさま管制官の給料削減に着手した訳なのですが、実は内心、自分よりも何倍もの給料貰ってる彼らに嫉妬してるんじゃないのかな?と個人的には思っています。ちなみにサパテロ首相の給料は91.982ユーロ(1100万円)で、閣僚の給料は81.155ユーロ(970万円)。空港管制官の実に半分以下!コレはコレですごい事なんですけどね(地中海ブログ:スペインの各自治州政府大統領の給料について

今回の仮病騒動はその給料削減に対する集団ストだと政府は見做しています。

まあ、そんなこんなでこの1週間くらい空の便が非常に乱れているんだけど、今日は結局、1時間程度の遅れで無事にブリュッセルに着く事が出来てメデタシ、メデタシ(パチパチパチ)。



で、今日の本題なのですが、EUプロジェクト交通分野の説明会は毎年9月に行われていたのですが、今年からちょっと時期が変わった様ですね。しかも例年だと、初日の午前中に陸(車や鉄道系など)と海系(船舶など)の説明会、午後からは航空系の説明会で、2日目は各国のリサーチセンターや企業、大学系のプレゼン大会だったんだけど、今年から参加者が急増した為に、初日は航空系のみの説明会で、2日目に陸・海系の説明会を持ってきている様子です。プレゼン大会は2日間とも午後に開かれる予定となっています。



それにしても今年は参加者が本当に多い!航空系なんて、毎年小会議室で説明会やってたのに、今年は500人収容出来る大会議室の席が全て埋まってる。多分これは、各国共にR+Diの予算を大幅に削っている事などから、自国には余り期待出来ない為、みんな揃ってEUの予算を取りに来ていると言う事だと思います。今日がコレだから、明日はどうなるんだろう・・・。今からお祭り騒ぎの予感がしています。

追記:
コメントで教えてもらったのですが、労働局の社会保障のページを確認すると、病欠の負担が社会保障に切り替わるのは4日目からと言う事でした。つまり3日目までは勤めている会社が病欠中の給料を出すのですが、4日目以降は社会保障制度が出すという事。エントリに書いた5日目以降という情報はLa Vangurdia紙に載っていたもので、てっきり信じ込んでしまいました。

もうちょっと突っ込んで調べてみた所、3日以内でも100%給料が出るか?というと、その辺は各企業によるようですね。スペインの大手デパートなんかでは、年間で3日間だけは100%支給、それ以上休んだ場合は支給無しという契約を結んでいるらしいです。しかしながら、4日目以降は、社会保障と合わせて足りない分を会社が負担する事によって100%支給に持っていくと言う仕組みらしいです。だんだん、今までは未開だったスペインの社会システムが明らかになりつつあります。
| EUプロジェクト | 23:28 | comments(6) | - | ↑PAGE TOP
バルセロナ市への観光税の導入の議論に垣間見える市政の台所事情
暑い!夏だから暑いのは当たり前なんだけど、それにしても暑い!!バルセロナは(日本と比べて)比較的乾燥している事もあって、日陰とか入ると風とか吹いて涼しい事は涼しいんだけど、日向に出ると、もうそれこそ殺人的な日射にやられそうな毎日です。



そんなんだから夏本番を迎えるにあたって、街中を歩いている人のファッションが段々薄着になっていって、挙句の果てにはこんな感じの人がソコココに見られるようになるのも分からないでも無いかな:




「どんだけ薄着!!」ってファッションなんですけどね(笑)。こんな感じの人々が堂々と繁華街を歩いている町、それがバルセロナ近郊に位置する
Salou市内に広がる日常風景です。この町には非常に美しいビーチがある事などから、その地理的恩恵を最大限に生かした観光戦略を、ライアンエアーなどのチープ観光と上手く組み合わせる事によって、英国などから毎年何万人もの若者を惹き付ける事に成功しているんですね(地中海ブログ:観光とチープエコノミー:ライアンエアー(Ryanair)などの格安航空機が都市にもたらす弊



その一方で、ハメを外しすぎた若者による行き過ぎた行為などが、地域住民との間に摩擦を生み出し、それが近年大問題になって来ているという事は、以前のエントリで書いた通りです(地中海ブログ:
エンターテイメント社会におけるチープ観光がもたらす弊害:観光のローコスト化による観光客の質の変化:Salouの場合)。

そんな、観光の良い面も悪い面も見てきた
Salou市なのですが、実はここ数週間と言うもの、この小さな町がカタルーニャ州民全体を巻き込んだ大論争の焦点と化しています。何故かと言うと、実はこの町、町中で裸や水着姿で歩く事を禁止した規則を発表しちゃったんですね。しかも罰金付きで!先日の新聞によると、ビーチや海岸沿いなど市域のごく一部を除いて、裸や水着姿で街中を歩いたら100ユーロから300ユーロの罰金が課せられるとの事です(La Vanguardia, 1 de Julio 2010, vivir, P1)

実は最近、バルセロナ市内や市近郊では、都市内における反市民的な行為を取り締まる規則がドタバタっと成立し、市内の至る所で「アレ禁止、コレ禁止マーク」を目にする様になりました。例えば水着関係で言えばこんなのがあります:




実はこの表示、市内を走るバスの中に貼ってあるんだけど、見ての通り、「裸や水着でバスに乗っちゃダメ!」って言う表示です。日本人の僕達からしたら、「そんなの当然だろ!」とか思うんだけど、当然だと思う事が当然では罷り通ら無いのがこの国の面白い所。見てると本当に水着姿でバスに乗り込んでくる人とかいるから驚きです。こんなのとかもあります:




「街中で立ち小便したら罰金!」みたいな。見つかったら
180ユーロの罰金だそうです。更にコチラ:



「犬の糞はきちんと片付けてね」って言う表示。どうやら犬の散歩なんかをする時、「犬の糞を片付けなかったら罰金」って言う規則が出来たらしい。スペイン人って犬好きだから、買い物する時でも髪切りに行く時でも、何時でも何処でも犬と一緒なんですよね。で、驚くべきはその罰金額なのですが、何と、場合によっては
1800ユーロ(日本円で約20万円)まで跳ね上がる事もあるのだとか!犬の糞で20万円って言うのはちょっとスゴイ!

さて、ここからが今日の本題なんだけど、実はバルセロナでは数週間前から、新たなる税金として「観光税を導入するかどうか?」を巡って、行政や市民を巻き込んだ大論争が巻き起こっています。今まで観光税には反対だったバルセロナ市長が一転、「観光税を国政レベルで調整する必要あり」と説いたのがその始まりだったんだけど、それにしても今回のかなり急な展開に、関係諸氏は動揺を隠せない様子。


取り合えず、「この観光税とは一体何なのか?」と言う所から始めた方が良いと思うのですが、「観光客って言うのは、その都市に税金を収めていないにも関わらず、税金で賄われている都市インフラやサービスなどを滞在中無料で使用している!」と言う理由から、「観光客一人一人から少しずつ税金を徴収しようじゃないか」と言うアイデアの事なんですね。


まあ、このアイデア自体はそんなに驚くべき事では無くって、例えばニューヨークなんかは、
Hotel taxと称してホテルの宿泊費に5.575%を掛けた料金を観光客から徴収するシステムを導入していますし、フランスなんかは、実はこの分野のパイオニアとして知られていて、滞在の仕方(キャンプか星付きホテルかなど)によって0.2ユーロから1.5ユーロを徴収してたりするんですね。実は驚くべき事に、フランスが観光税(La taxe de sejour)を導入したのは100年前の1910年の事だったそうです。その後、何度かの法改正などを経て、現在では半分近くの自治体がこの税を導入しているのだとか。パリに導入されたのは比較的最近で、1994年、シラク政下での事だったと言われています。その他の都市の状況としては、San Petersburgoやローマなんかも観光税導入を検討していると言う事は良く耳に入ってきます。

そんな中、じゃあ、一体バルセロナはどういうプランを考えているのか?と言うと、どうやら「観光客一人に付き
1ユーロ徴収」という事を考えてるらしい。って言うか、この程度の情報しか新聞に載らないって事は、「観光税導入」って言うアイデアだけあって、詳細なプランなんかは(何時ものように)無いっぽいですね(笑)。

まあ、そこはあんまり問題じゃなくて、多分本質的な問題は、「何故、今この時期に観光税導入なんていうアイデアが出てきたのか?」と言う点だと思います。もっと言うと、何故今まで絶対反対だったバルセロナ市長が今この時期に賛成、それも国政に働きかけるくらいの推進者側に回ったのか?と言う事こそ考えられるべき問題だと思うんですね。


観光業はバルセロナの国内総生産(
PIB)の13%を占め、間接的には10万人もの人々に雇用機会を作り出している、都市にとっての重要産業である事から、観光税なるアイデアがもっと前に浮上して実施されてたってちっとも不思議じゃない。もっと言うと、2001年にバレアレス諸島がエコ税(Ecotasa)なるものを始めた時に、バルセロナは観光税を一緒に始める事だって十分可能だったはずです。その時は実施しなかったのに、今になってその話がかなり現実味を帯びてきたのは一体何故なのか?

同じ様な事が上述した「裸や水着で町を歩き回る事禁止令」や「犬の糞罰金令」なんかにも言えて、と言うのも、水着や裸で町中を歩く何て事は、昔からあった訳で・・・。犬の糞に関してはもっと明白で、犬を散歩がてら、その辺に糞を散らかすなんて事は、バルセロナでは昔から日常茶飯事だったはず。そしてココに来て、突然の罰金・・・。


ずばり言っちゃうと、実はバルセロナ、資金のやり繰りに相当困ってるんじゃないのかな?と言うのも、経済危機や財政削減策やらなんやらで、中央政府からの分配金が大幅にカットされ、その残り少ない資金の奪い合いが各部門で始まっていると推測されます。と言う訳でなり振り構わず資金源を探しているんじゃないのでしょうか?そう考えると、何故いきなりこの時期に、今までは何とも無かった行為に突然ノルマが課せられるのか?と言う事の合点がいくんですね。


まあ、でも観光客に課税って言うのはそんなに悪いアイデアではないと思いますけどね。「観光客は都市インフラを使用してるんだから、その分の対価を払うべきだ!」みたいな市当局の言い分も良く分かる。それに対して反対を表明しているのが、ホテル組合なんかなんだけど、彼ら曰く、「1ユーロでも観光客に対して課税したら、彼らは絶対にバルセロナに来なくなるのは目に見えている」のだとか。


この議論、秋頃までには決着が付く見通しなので、どうなるのか見物です。
| バルセロナ都市 | 23:33 | comments(1) | - | ↑PAGE TOP
スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロ(Miquel Barcelo)の展覧会:La Solitude Organisative
今週金曜日からバルセロナではモンジュイックの丘にある銀行系の文化施設カイシャ・フォーラム(Caixa Forum)にて、スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロ(Miquel Barcelo)氏の展覧会、Miquel Barcelo 1983-2009, La solitude organisativeが開催されています。



例のごとく、全く関係無い話から始めたいと思うのですが(笑)、バルセロナにはミケル・バルセロという名で知られている人物が少なくとも3人います。一人目は政治家で22@BCNの会長を勤め、La Ciutat Digitalなどの著作もあるミケル・バルセロさん。今は確かFundacio b_TECの会長だったかな。2人目はカタルーニャ工科大学の教授であり、工科大学サステイナビリティ顧問にしてヨーロッパSF賞の創設者でもあるミケル・バルセロさん。そして3人目が今回紹介するアーティストのミケル・バルセロさんなんですね。個人的にはカタルーニャ工科大学のミケル・バルセロさんとは昔から仲が良いのですが、最初の内はえらくとまどいました。「え、ミケルさんってSFにも詳しくて、情報学部の教授なのにアートもやってるんですかー!!!」みたいな(地中海ブログ:
カタルーニャとSF)。

そんなどうでも良い話は置いといて、今回の主役である現代アーティストのミケル・バルセロ氏の近年の活躍ぶりには目を見張るものがあります。最近話題となった所では、約22億円(1850万ユーロ)をかけて2008年に完成したジュネーブ(Geneve)の
国連欧州本部の人権理事会Human Rights and for the Alliance of Civilisations at the United Nations, Geneva本会議場「Room XX」の天井装飾なんかは非常に有名ですよね。



「海と洞窟、それは表面性と内面性を表しているが、その基本的な宇宙観をまずは表現したかった。垂れ下がった鍾乳石のような形は、赤、黄、紫など、色も
形も1つとして同じものはない。それはまるで、人権委員会に集まる異なる言語と異なる意見を持つ人々のようだ」 ミケル・バルセロ

ナルホドなー、上手い事言うなー。こんなコンセプトの下、様々に彩られた氷柱をどう表現するのか?など技術的な安全性の問題なども含めて約1年間アトリエで研究し、その後13ヶ月かけて創り上げられた傑作がこの天井装飾だったんですね。ちなみに下記の写真は当時何度となくスペインで報道されたものなんだけど、絵の具を天井に吹き付ける際に、ガスマスクをして作業に当たっている様子を撮影したものだそうです。



この傑作が世界中に発表された時のスペインメディアの騒ぎようと言ったらすごいものがあったんだけど、まあ、アートと言うのはその国の成熟度を測る指標であり自国のアイデンティティを確立する為の道具として政治的に利用されてきたという歴史的事実を考えれば特に驚くべき事でも無いかな(地中海ブログ:
パリ旅行その8:公共空間としての美術館。つまりアートって言うのはある意味、広告的な側面を持っていると言う事です。だからこの作品の制作費22億円の内、約半分をスペイン政府が負担していると言う事も、まあ、当然と言えば当然か。

さて、ミケル・バルセロ氏のアーティストとしての名声は今やヨーロッパ中に知れ渡り、世界のアートシーンの第一線で活躍するアーティストの仲間入りを果たしたと言っても過言では無いんじゃないかと思うのですが、その反面、実は日本では驚く程知られて無いんじゃないのでしょうか?ちなみに今、ウェブで関連情報を調べてみたんだけど、日本語では殆ど出てこない・・・。辛うじて
ピカピカさんがフォローしているくらいかな(さすがピカピカさん!)



ミケル・バルセロは1957年、スペインのマヨルカ島に生れました。マヨルカ島って、今はヨーロッパ屈指の観光リゾート地として有名なんだけど、実は昔からショパンやジョルジュ・サンド、もしくはミロなどと言ったアーティストを育んできた地でもあるんですね。そしてミケル・バルセロに関して言えば、このマヨルカ島という地が、実は彼のアーティストとしての才能や彼の作品に多大なる影響を与えているのでは?と思われる節がしばしば見受けられます。


今回の展覧会ではそんなミケル・バルセロの比較的初期の作品から昨年のヴェネツィアビエンナーレに出展され大きな話題となったゴリラの絵(La solitude Organisative)など180点が集められ、彼のアーティストとしての軌跡が辿れるようになっているのですが、この展覧会を訪れて先ず驚かされるのは、彼の作品のバリエーションの広さなんですね。




抽象画は勿論の事、水彩画やタピエスの伝家の宝刀である、様々な素材を画面に貼り付けていく事で立体的な3次元を構成していく様な作品、はたまた彫刻などまで、彼のアーティストとしての許容力の幅広さを見せ付けられる展覧会となっています。




展覧会場の入り口には、昨年パリのグラン・パレ国立美術館でも展示されていたゾウがひっくり返った彫刻が我々を出迎えてくれます。見た瞬間、「何でゾウなんだ?」って言う疑問が沸いてくるんだけど、現代アートの知識が恥ずかしいくらい無い僕にはそんな疑問に答えられる余地全く無し(悲)。まあ、現代アートって言うのは、その本質的な所は「コンテクスト読み」にある訳で、そういう意味においてこれだけ複雑になってしまった現代アートのコンテクストを読み切れる人間が世の中に一体何人いるんだろう?って事も思うんですけどね。そんな訳で、今回は僕のアンテナに引っかかった作品だけを、(何時ものように)僕の独断と偏見で(笑)紹介したいと思います。先ずはコチラ:




2003
年に出たスペイン版のダンテ神曲(Dantes Divine Comedy)の挿絵シリーズです。ダンテ神曲に関しては、その内容が様々な想像力を刺激する事から、今まで沢山の芸術家達によってイメージの解釈が出ています。ロダンの地獄の門とか、日本人にはお馴染みの作品もその内の一つですね(地中海ブログ:パリ旅行その5:カミーユ・クローデル(Camille Claudel)の芸術:内なる感情を全体で表している彫刻作品、もしくは彼女の人生そのもの)。ミケル・バルセロのダンテ神曲シリーズは合計24点で全てアクリルで描かれてるんだけど、人間の苦しみとか悩みとか、そんなものが本当に良く表現されてて、直に心に伝わってくるかのようです。アクリルと言う比較的単純な画法で、ココまで人間の内側に迫れると言うのはちょっと凄い。



これなんて、この光の玉(魂?)の中に人間のエネルギーが満ち溢れているようでいて、しかし同時にそこには何かしらの「儚さ」も感じさせられるんですね。そう、まるでそれら相反する2つの力が共存しているかのような・・・。




これなんて、アクリルでサッと描いただけなんだけど、人間の苦悩が本当によく表現されている。2年程前に見たスロベニア出身の画家、ゾラン・ムジチの作品群も人間の「恐ろしさ、おぞましさ」にかけては秀でたものがあったんだけど、このシリーズもナカナカ見ごたえがあります(地中海ブログ:
ゾラン・ムジチ展覧会:ダッハウからヴェネチアへ ( Zoran Music: De Dachau a Venecia))。ちなみにミケル・バルセロのこのシリーズは2004年にルーブル美術館で展覧会が行われ、大成功を収めたそうです。納得の質!そしてコレなんかも目を奪われました:



エイを題材にした作品なんだけど、海の底で静かーに獲物を待っているかのような、「気迫」みたいなものがマザマザと伝わってくるかの様な大変力強い作品です。ヒョロっと伸びたエイの尻尾と重く鎮座する体とのバランス、そしてそれによる視線の移動、空白が空白に見えない構図の素晴らしさ・・・見れば見るほど、良いなー。そして今展覧会の主役とも言うべき作品がコチラです:




2009
年のヴェネティアビエンナーレ、スペイン館に出展されたLa Solitude Organisativeと言う作品です。見ての通り、ゴリラが一匹コチラを向いて座っているだけの作品なんだけど、これまた不思議な作品ですね。



このゴリラ、確かな存在感があるかと思いきや、今にも消えて居なくなりそうな儚い存在感をも醸し出しています。そんな、存在と非存在の間にいる存在、それがこのゴリラかな。
今までミケル・バルセロと言えば、動きのあるダイナミックな作品の印象が強かったんだけど、このゴリラは全くその逆。いや、存在感がある事では今までの作品と同じ系譜に載っているんだけど、それだけじゃない「何か」がある気がする。そしてそれがあるが故に、僕達の想像力/創造力を刺激し、魅力的な解釈へと導いているのかも知れません。

この展覧会、2011年の19日までだそうなので、バルセロナに観光に来られた方々には是非お勧めです。入場無料ですし、ミースのバルセロナパビリオンの真ん前ですし、スペインの現代美術に浸る良い機会なのでは?とも思います。
| スペイン美術 | 08:21 | comments(2) | - | ↑PAGE TOP
ブリュッセル出張:ユーロシティとかEU-JAPANセンターとか
所用で先日からブリュッセルに来ています。僕が所用でブリュッセルに来るって事はその多くの場合が欧州委員会関連なんだけど、今日はちょっと違って、海洋関連のミーティングで来てるんですね。と言うのも、先日スペインのヒホン(Gijonで行われた欧州海洋記念日(European Maritime Dayの会議で知り合った人達とかなり意気投合してしまって、「じゃあ、一度遊びに来い」とか言ってくれたので本当に来てしまったのでした(地中海ブログ:ヒホン(Gijon)その2European Maritime Day(欧州海洋記念日):フェリペ王子(アストゥリアス公(Principe de Asturias)とラボラル文化都市(La Laboral ciudad de la cultura。ディレクターの方はイタリア人だったんだけど、多分、彼的にはその場のノリで言ってたっぽい・・・。僕が本当に来るなんて思ってなかったんだろうなー(笑)。

さて、今回は彼の事務所で待ち合わせをしたのですが、その事務所が入っているというビルに着いてビックリ。



なんか、見た事ある名前ばかりがズラーっと並んでるじゃないですか!EU-JAPANセンター・・・なんか聞いた事あるような、無いような・・・。そしてユーロシティ!でもユーロシティってEUROCITIESじゃなかったかな?何かロゴもちょっと違った様な気がしないでも無いけど、まあ、いいや。

「ユーロシティとは何か?」と言うとですね、EUの中における都市の発言権の拡大やEUの都市政策に影響を与える為のロビー活動、そして情報交換をしあう欧州主要都市間におけるネットワーク組織の事です(説明終わり)。まあ、つまり、国民国家の枠を飛び越えて、EUと都市が直接結び付くって言う、バルセロナなんかが好きそうな、アレの事です(実情はもっと複雑だけど、その話は又今度)。現にユーロシティは1986年にロッテルダムで設立されているのですが、当初の設立メンバーの中にはバルセロナが入っています(設立メンバーはロッテルダム、リヨン、ミラノ、フランクフルト、バーミングハムなど6都市)。

思わぬ収穫に喜びつつミーティングもつつがなく終わったので、今回のブリュッセル出張で唯一の楽しみだったランチへゴー!ブリュッセルへ来る時は大抵の場合、欧州委員会のビルの中でネットワーキングランチとか、そんなのばかりなんだけど、今回のランチは自由に出来る事が分かっていたので、来る前に目ぼしいレストランを見つけておいたんですね。それがココ:



ベルギー王立美術館(Musees royaux des beaux-arts de Belgiqueの直ぐ裏手の教会の前にあるLa Tour dY Voirと言うレストランです(地中海ブログ:ベルギー王立美術館(Musees royaux des beaux-arts de Belgique)のピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude)とかバベルの塔と)。

コンタクト
Address:Place du Grand Sablon 8
Tel: 02.5114043




レストランの入り口は洞窟の様な空間の奥の奥にある階段を上った2階にあります。かなり窮屈で急な階段なんだけど、そこを上りエントランスを入った所に広がっている空間がコチラ:



ちょっと外からは想像も出来ない様な、静かで落ち着いた雰囲気の空間が広がっているんですね。ナカナカお洒落!で、早速メニューを渡されたんだけど、どうやら日替わりランチがあると言う事でそれを頼む事に。で、今日の一皿目がコチラ:



ハムが乗ったサラダです。実は日替わりランチメニューはウェイターの人が口頭で説明してくれるだけなので、ごく基本的な事しか覚えてない・・・サラダかスープか?肉か魚か?みたいな(笑)。なんて言ったって、僕の英語は、なんちゃってイングリッシュですから(笑)(地中海ブログ:2010年、今年最初のブリュッセル出張その2:バイリンガルを通り越してトリリンガルになる日本人達:なんちゃってトリリンガルが変えるかもしれないヨーロッパの風)。で、本日の二皿目がコチラ:



焼き魚です。勿論何の魚なのかは不明(笑)。でも、非常に美味しい!見た目は油タップリで重たそうな感じがするんだけど、実はそんな事も無く、量も適当で非常に満足な一品でした。そして今日のランチで何より良かったのがコチラです:



このパン、焼きたてのフワフラだったんですね。ちょっとビックリした。余りにも美味しかったので、2つも食べちゃいました。そして今日のデザートがコチラ:



カスタードクリームの表面を焼いたプリンみたいなものです。まあ、言ってみれば、僕達にはお馴染みのクレマ・カタラーナなんですけどね。チョコレートを期待していたのですが、このカスタードクリームもナカナカのものでした。そして締めは勿論コーヒーです。このランチが飲み物込みで18ユーロ。非常にゆったりと落ち着いて食事が出来る雰囲気の事を考えれば、この価格は適正価格だと思います。

「満腹、満腹」と表へ出た時、ある事に気が付きました。ここへ来た時はお腹がすいていた事もあって、あまり気にも留めてなかったのですが、教会の裏手側の公共空間が車の駐車場として使用されていると言う事に気が付いちゃったんですね。



この風景は悲し過ぎる!!折角、ほど良い空間があるんだから、車を追い払って歩行者優先の公共空間にし直すべきですね。美術館の直ぐ裏手&主要道路から一本入った所にある、静かなパブリックスペースでゆっくりとカフェ・・・なんて、結構魅力的な空間になると思うんだけどなー。どうですかね、ブリュッセル市役所の皆さん?
| 仕事 | 21:30 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
スペイン、ワールドカップ優勝!:イニエスタのメッセージやカシージャスとサラ・カルボナルのハプニング映像など
昨日から今日にかけてスペインではお祭り騒ぎが続いています。理由は勿論、スペインのワールドカップ初優勝!!おめでとう、スペイン!!!!優勝が決まった瞬間、バルセロナでは花火上がりまくり、クラクション鳴りまくり、そして「Campeones, Campeones(チャンピオン、チャンピオン)」と叫びながら路上を走り回る人達が朝方まで途絶え無いくらいの盛り上がりを見せていました。

それにしても昨日の試合は久しぶりに胸が熱くなる様な場面が幾つもありましたね。先ずは何と言ってもイニエスタのゴール。そしてこの光景:



ゴールを決めたイニエスタはユニフォームを脱ぎ捨てたのですが、そこにはこんなメッセージが:

「ダニー・ハルケ、何時も一緒だよ」
“Dani Jarque, siempre con nosotros”

ダニー・ハルケとは昨年急死したエスパニョールでプレーしていたバルセロナ出身の選手の事で、イニエスタやプジョル、シャビなどとは昔からの親友だったんですね。試合中にユニフォームを脱ぎ捨てるとイエローカードを貰うなんて事は、当然イニエスタも分かってた筈。だけど、それをおしてでもこのメッセージを天国の親友へと送りたかったんでしょうね。

そして今回、個人的にすごく感動したのが、ゴールキーパーのカシージャスのプレーでした。PKなど次々に止める彼のプレーを見て、生れて初めて「ゴールキーパーってカッコイイ!」って思っちゃいました。若林君も真っ青のSGGK(スーパー・グレート・ゴール・キーパー)とは正に彼の事(笑)。「ペナルティエリアの外からならシュートを打たせても構わん」とか言いそう(笑)。そしてスペイン中が待ち望んでいた(?)今大会一番のハプニング映像がコチラです:

試合終了後、カシージャスにインタビューする恋人のサラ・カルボネロの映像です。この場面ほど、ロマンチックで幸せに満ちた場面は近年ナカナカお目にかかった事はありませんでしたね。正に少女漫画の世界そのもの・・・「見つめ合う二人、止まる時間・・・」みたいな(笑)。下記に全訳を載せておいたので、それと一緒に見ると、この場面がどれだけロマンチックであるかが分かるかと思います。うーん、若いって素晴らしい!!

サラ:(今回のワールドカップ)始まりは最悪だったけど、終わってみれば、ねえ?
カシージャス:(見つめ合う二人)何が聞きたいの?
サラ:じゃあ、今どんな気持か教えてくれる?
カシージャス:今、最高に幸せで、最高に満足してる、本当に。みんな、最初から最後まで本当に良く戦い、僕達のプレーは世界一に値するものだったと思う。ここまで来れたのは何時も僕を応援してくれた人達のおかげだと思う、お父さん、お母さん、弟・・・そして・・・(見つめ合う二人・・・カシージャス涙ぐむ)
サラ:落ち着いて。もうちょっとだけ試合の事を話しましょう、その後で・・・
カシージャス:(そうじゃなくて、僕は・・・)
サラ:え? (チュー!!!!!!!) (拍手:パチパチパチ)
カシージャス:じゃあ、行くから
サラ:(明らかに喜んでる表情で)何て事かしら!!えっと、じゃあ、又後で続けます、それでいいですかJさん?

Sara: Bueno, como empezo la cosa y mira ahora.
Casillas: Que quieres que te diga. Que te voy a decir.
Sara: Pues que me digas como estas, como te sientes.
Casillas: Me pillas en un momento muy feliz, muy content y superalegre, la verdad. Yo creo que nos lo hemos merecido de principio a fin y solo lo agradezco a la gente que me ha apoyado siempre, a mis padres, a mi hermano….
Sara: No pasa nada. Vamos hablar un poquito de partido y luego volvemos a (los).
Castillas: (No, yo…)
Sara: No? (Besito)
Casillas: Me voy.
Sara: Madre mia. Bueno, pues luego seguimos, Vale J?

追記:
今日の新聞(La Vanguardia 18 de Julio 2010, P15)に載ってたカタラン人に対するアンケート結果が面白かったのでココにメモしておきます。

質問:7月11日のワールドカップにおけるスペイン代表チームの優勝について、祝う気持ちがありますか?(つまりカタラン人とってスペインが勝った事に祝う気持ちになれるか?と言う事。更にこのアンケートは新カタルーニャ憲章が拒否された直ぐ後に実施されたと言う事も考慮すべき)

ハイ:87%
イイエ:3%
どちらでもない:1%
サッカーにあまり関心が無い:4%
スペインが何をしようがあまり関心が無い:5%
| サブカル | 23:22 | comments(18) | - | ↑PAGE TOP
スペインの民主主義始まって以来の歴史的なデモ:新カタルーニャ自治憲章案に関して
710日午後6時、バルセロナの目抜き通り、グラシア通りを中心にバルセロナの中心街を赤と黄色のカタルーニャの国旗を羽織った人々が多い尽くしました。



その数なんと110万人!当然の事ながら市内の交通は麻痺状態で100メートル程度の道を横断するのにも、何と30分もかかる始末!!僕は比較的中心に近い所に住んでるので、昨日のデモには自宅から歩いて行ったんだけど、まさかこれ程の人達が集まっているとは夢にも思いませんでした。




昨日のエントリでチラッと書いた通り、このデモはカタルーニャが長い事温めてきた州レベルの憲法に相当する「新カタルーニャ自治憲章案」の一部内容が憲法裁判所によって拒否された事に端を発しているんですね(地中海ブログ:
グローバリゼーションの中における現在のナショナリズムについて:ワールドカップとカタルーニャ新自治憲章案)。

カタルーニャとしては、欧州(EU)やスペインといった関係の中でカタルーニャの発言権を最大化する事を目的として今回の新憲章を練り上げてきたのですが、その甲斐あって、2005年にはカタルーニャ州議会で可決され、翌年20065月には国会で承認されるに至りました。しかしですね、それに不服を唱えたのがスペイン保守の国民党(PP)。「新カタルーニャ自治憲章案には違憲な部分が含まれている」と憲法裁判所に訴え、度重なるイザコザを経て憲法裁判所が審議に入ったのが数年前の事。そしてようやく先週、憲法裁判所の見解が帰って来たのですが、その内容が不服だという事で昨日のデモに至ったという事は昨日のエントリで書いた通りです。




新カタルーニャ自治憲章案に対する憲法裁判所の見解については次回のエントリに書くとして、ここでは昨日僕がデモに参加してみた感想と今日の新聞に載っていた記事なんかも加えて検証してみたいと思います。


先ず初めにハッキリさせておかなければならない事があるのですが、それは昨日のデモの目的なんですね。何故なら「昨日のデモが何故行われたのか?」、それをとかく勘違いしているカタラン人が多いのではないか?と思うからです。昨日のデモの真の目的、それは「新カタルーニャ自治憲章案に対する憲法裁判所の見解に対する異議申し立て」であって、それ以上でもそれ以下でもありません。そしてもう一つハッキリさせておきたい事、それは「新カタルーニャ自治憲章案の中では一言もカタルーニャの独立を謳ってはいない」と言う事実です。


しかしですね、昨日のデモに集まった人達の言動なんかを見ていると、どうもその辺を明らかに勘違いしている人が多かった様に思います。例えばこんなプラカードなんかを平然と掲げている人とかまでいる始末:




言わずと知れたフランス独立戦争の代名詞的存在、ドラクロア
Ferdinand Victor Eugene Delacroix)による"民衆を導く自由の女神"です。ちなみにこの絵は去年のパリ旅行の際にルーブル美術館で見たのですが、「ドラクロア最高!」とか思っちゃいました(地中海ブログ:パリ旅行その8:公共空間としての美術館)。

昨日のデモは1975年にフランコ独裁政権が終わり、スペインが民主主義に移行して以来、今までで最大のデモだったらしいんだけど、これ程の人達を動員出来たのは、一概にこの「勘違い」が大きな原因だったのでは?と思います。つまり何時の間にかデモのテーマが「新憲章に対する異議申し立て」から「独立」にすげ替えられてしまったという事です。そしてそれはカタルーニャ州政府大統領Jose Montillaを初め、昨日のデモに参列していた元カタルーニャ州政府大統領で元バルセロナ市長だったカリスマ政治家、Pasqual Maragall氏や、民主化後長きに渡って州政府大統領の座に君臨し続けたJordi Pujol氏などの意図では無かった。


その点をきちんと分析出来ていたのは、やはりEl Pais紙でしたね。まあ、El Pais紙は労働左派の機関誌であるという点も関連してはいるんだろうけど、やっぱり記事や分析に関してはそれなりの質を持ってる気がします。反対に、カタルーニャ保守(CiU)の機関誌であるLa Vangaurdiaなんて、「どれだけの人が昨日のデモに参加したのか?」とか、そんな事しか言ってない。La Vanguardiaだって、やれば出来るんだから、しっかりやってよね!(地中海ブログ:
スペイン高速鉄道(Alta Velocidad Espanola:AVE)に見る社会変化の兆し



さて、その一方で、昨日のデモを見ていて印象的だったのは、おじいちゃんから孫まで、一家総出でデモに参加している人達の姿が多かった事なんですね。まるで家族行事であるかの様に・・・。




カフェに入れば運動会の如く子供達が走り回る中でコーヒー片手に議論に花を咲かせているし、夜は夜で普通の週末なんかよりもレストランに家族連れが多かった様な気がします。そしてそんな彼らが話している事と言えば、勿論今日のデモの話題。「憲法裁判所の判断は偏ってる!」だとか、「今後の教育にはカタラン語をもっと使用する方が良いと思う!」、「でも、そうするとスペイン語が苦手になって将来就職に不利になるような気がするから、家の子にはカステリャーノ語を優先させるわ」とか、聞こえてくるのは、「今後のカタルーニャをどうするのか?」と言う安否と希望が交じり合った声ばかり。そんな中には、「我々カタラン人は独立した方が良いのかも?」なんて言う、ちょっと度を超した議論も聞こえて来たりしたんだけど、それでもこの国の形を真剣に議論している姿には、見ていて心打たれるものがありました。


何時も怠けてて仕事とか全然やらないし、6時以降に仕事してる姿とか見た事無いにっくきカタラン人なんだけど、そんな彼らでも、自分の国を愛する気持ち、自国の文化に誇りを持っていると言う気持ちだけは、世界の誰にも負けてはいません。そしてそれはこの地に住んでいると嫌と言う程良く分かる。


勿論そこには民族主義の行き過ぎた議論に発展するって言う危険性もあるんだけど、でも、家族全員で自分の国の将来の形を真剣に考える機会があるというのはそんなに悪い事では無い気がします。


奇しくも今日は日本では参院選の投票日なのですが、我々日本人は日本の将来の形を、カタラン人程真剣に考える事が出来ているでしょうか?
2010年の710日、街中を黄色と赤の国旗で埋め尽くしたカタラン人達の光景を僕は一生忘れる事は無いでしょう。


(友達のMontseちゃんがくれた、昨日のデモに来てた元カタルーニャ州政府大統領、Pasqual Maragallの写真)


追記:
このデモの一週間後に行われたアンケートの結果が結構面白い(La Vanguardia 18 de Julio 2010, P14)括弧の中の数字は2010年5月に行われた同じ質問への回答率

質問1:もし明日、カタルーニャ独立の市民投票があったら独立に投票しますか?
ハイ:47%(37%)
イイエ:36%(41%)

質問2:独立派はカタルーニャで増加していると思いますか?
増加している:66%(48%)
減少している:13%(20%)

質問3:自分のアイデンティティについてどう思いますか?
自分はカタラン人である:18%(13%)
スペイン人というよりもカタラン人である:24%(18%)
カタラン人でもありスペイン人でもある:41%(52%)
カタラン人というよりもスペイン人である:8%(6%)
スペイン人である:7%(10%)
| スペイン政治 | 23:30 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
グローバリゼーションの中における現在のナショナリズムについて:ワールドカップとカタルーニャ新自治憲章案
奇しくも今週のバルセロナでは、ワールドカップ、そしてカタルーニャ新自治憲章案という2つの全く違ったテーマを軸に、グローバリゼーションの中におけるナショナリズムとは一体何なのか?と言う事を考えさせられる良い機会に恵まれています。

今週水曜日にスペイン代表がドイツ代表を下してからというもの、カタラン人達のおしゃべりにおいてワールドカップの話題が出ない日はありません。面白いもので、普段は絶対にサッカーなんて見ない様な女の子達まで「プジョールかっこいい」とか言ってるのには驚きました(笑)。まあワールドカップというのは、現在のグローバリゼーションが進行する世の中において、国民が一丸となって自国を応援する事が出来るナショナリズムをくすぐる場であると言う事を考えるとそれ程驚きではないんですけどね。そんな中での今回ちょっと異色の事件:



日本でも話題になっているタコのパウル君です。実はパウル君、今までのドイツ代表の試合結果を全て当てているらしく、今週行われたスペイン対ドイツの試合も「スペインの勝ち」と予想していた事から、「負けたのはパウルのせいだ!パエリアにしちゃえ!」とか八つ当たりされているらしい。そんな因縁をつけられたパウル君を守る為にスペインのサパテロ首相が「食べないで!」と声明を発表したくらいなんだけど、僕的にはドイツ人の頭の中に、「タコ=海産物=スペイン料理=パエリア」っていうイメージの連鎖がある事の方が興味深かったですけどね。個人的にはどうせタコ料理にするんだったら、ガリシア風タコ煮の方が絶対お薦めだと思うんだけどなー:



ガリシア風タコ煮(詳しくはコチラ:地中海ブログ:バルセロナの食べ歩き方:この値段のガリシア料理にかけてはバルセロナ1じゃないかと噂のレストラン:Meson a Cada da Veiguela

さて、サッカーが国家や国民にとってどれ程重要なのか?もしくはどういう意味を持っているのか?と言う事は、今回のワールドカップの勝敗が原因で各国で起こりつつある大事件が何よりも明快に物語っていると思います。例えば日本でも良く報じられている様に、フランス代表団の内輪揉めが原因で、チームが内部崩壊した事に対する責任説明を、代表団の監督が公の場で求められたと言うのは、あたかも国家レベルの政治的な大事件の様相を呈しているかの様です。

もしくは(こちらは日本では全く報じられてないのですが)ナイジェリアの大統領、Goodluck Jonathan氏がナイジェリア代表の結果が余りにも酷かった為に、大統領自らの命で、今後2年間の国際試合を禁止したと言った事がありました。その裏には、つい先日就任したばかりの現政権のイメージを保つ為の施策であると見る動きもあるんですね。

一転、スペインではどうかと言うと、スペイン王室挙げて全面的に応援に回っており、水曜日に行われた準決勝にはスペイン王妃が直々に南アフリカまで応援に駆けつけていたくらいです。更に試合後には王妃自ら選手の控え室まで労をねぎらいに行ったそうなんだけど、その時、プジョールは着替えの真っ最中で、王妃の前でタオル一枚だったというオチまで付いていました(笑)。


サッカーとナショナリズムの関係については社会学の分野で結構研究が進んでて、良く知られている所なんかでは、オランダ人の社会学者Van Houtum y Van Damの研究なんかが有名ですね。もしくはイギリスの社会学者、Richard Giulianottiなんかはこんな事を言っています:

「サッカーと言うのは、世界の中において自国のアイデンティティの輪郭を定める教育やマスメディアと同様に、最も重要な文化的制度の一つである」

“una de las grandes instituciones culturales, como la educacion o los mass media, que da forma y cimenta la identidad nacional a lo largo del mundo”

もしくはトルコのノーベル賞作家、Orhan Pamukなんかは、トルコにおけるサッカーの地位について、

「(サッカーに関する話題は)ナショナリズム、外国人排他、そして権威に関する論争や思考を生産する機械と化している」

“Habia convertido en una maquina para la produccion del pensamiento nacionalista, xenofobo y autoritario”

と語っている程です。

僕が2006年にフランクフルトへ行った時の事、教会の側にあった小さな美術館(名前忘れた)でちょっとした特別展が開かれていて興味深く見てたんだけど、その展覧会の意図は「サッカーというのは現代の宗教である」みたいな事が言いたかったのかなー?とか思ってた事を今でも覚えています。国旗を模したカラフルな衣装や、顔に様々な模様を描いている様子なんて、未開の地の民族のお祭りを彷彿とさせるものがあるように思えてなりません。エリアーデとか生きてたら、喜んでその辺の関係とか研究したのではないのでしょうか?

さて、そう言った流れがある一方で、全く偶然なんですが、この数日というもの、カタルーニャではカタルーニャナショナリズムが近年稀に見るような勢いで盛り上がりを見せています。その引き金となったのが、先日、憲法裁判所から返答があったばかりのカタルーニャ新自治憲章案についての回答だったんですね。

「カタルーニャ新自治憲章案とか何か?」と言うと、(簡単に言えば)、カタルーニャ州の権限を最大化しようと言う、州レベルで定めた憲法のようなものの事なんですね。元々カタルーニャ州は最初の自治憲章をフランコ独裁後の1979年に制定しているのですが、今回の親憲章案はそれを改訂&強化する形で提案されたものとなっています。その中にはカタルーニャ国民を認めるか?と言う問題や、言語や教育の問題など、欧州ースペインーカタルーニャの基本的な関係を築く上で大変重要な問題が数多く含まれている事から、長い間、カタルーニャとスペインの間で激論が交わされてきたと言う訳なんです。

しかしですね、今回、憲法裁判所から帰ってきた回答を見て、カタルーニャ州政府大統領初め、多くのカタラン人達はガッカリ。何故ならカタルーニャの社会政治状況を良くするはずの新法案が、蓋を開けて見れば全くかけ離れた内容のものとなっていたからです。そして遂にカタラン人達がブチ切れた!そんなこんなで、今日午後6時から、国を挙げてのデモが目論まれていると、まあ、こういう訳なんです。では、今からそのデモに行って来たいと思います。その結果は次回のエントリで!!
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