2009.06.30 Tuesday
スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その2:タイトル読み替え過程(Homologacion)について
前回のエントリ、スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その1の続きです。
オモロガシオン(Homologacion)と呼ばれるプロセスは、外国人が自国で取ったタイトルを、スペインで同等と思われるタイトルに読み替えるプロセスで、両国間(両大学間)の授業内容や履修時間などが比べられ、両タイトル間で振り替えが出来るかどうか?がスペインの教育省によって詳細に検討される過程の事を言います。
例えば、パリで建築学部を卒業し建築家のタイトル(architect)を取ったフランス人が、その後スペインで建築家として働きたい場合など、このオモロガシオンを行う事によって初めて異国の地スペインで建築家として働くという事が可能になるんですね。
勿論我々日本人がスペインで建築家として働きたい場合もこの過程を経る事になる訳なのですが、ココで日本人は他の国の人には起こり得ない様な深刻な壁にぶち当たる事になります。それが前回のエントリで書いた両国間における「タイトルの違い」です。教育省にタイトルの読み替えを申請する際の(暗黙の)前提は、建築家だったら建築家のタイトルを、工学だったら工学のタイトルをという様に用に、同じタイトル同士の振り替えが基本とされています。しかしですね、日本人建築家が保持しているタイトルは「工学」(美大系の場合は造形など)です。故に、「工学」のタイトルを「建築」のタイトルに読み替えるという大変不自然な過程が発生する訳なんですね。
「そんな事が通るのか!」というと、勿論「通りません」(笑)。普段は無茶苦茶いい加減で、銀行ですらお金の勘定を時々間違える国、スペインであっても、違うタイトル名くらいは間違え無いらしい(苦笑)。
とは言っても、同じ建築学科ですから授業内容などはある程度似ているので、長―い比較検討期間を経た結果、「都市計画の授業が足りないから履修しなさい」とか、「スペイン建築史は必須なので、取ってください」とか、スペインの建築家教育システムに照らし合わせ、「足りない授業」などが指示され、それらを履修する事によってスペインの建築家タイトルに振り替えが可能みたいなんですね。
僕の周りでも何人かの人達がこのオモロガシオンに挑んで「かなり理不尽な結果に終わった」と言う様な事を幾つか聞いた事があったのですが、色んな人からの体験談を集めた結果、この謎に包まれたオモロガシオンについて、最近分かってきた新事実があります。
先ずスペインでは(というか、日本でもそうだと思うのですが)各タイトル間に暗黙の上位関係が存在します(これは友達のカタラン人に聞いた情報)。例えば医者、弁護士、教授が上位グループで・・・みたいな。そんな感じでタイトルを並べていくと、今回登場した3つのタイトルの順位はこんな感じになります:
1. 工学
2. 建築
3. 造形
これらの間や上や下に医者とか弁護士とか大学教授とか一杯入ってくると思うんだけど、これら3つのタイトルの上下関係は大体こんな感じなんだそうです。
実はこのタイトル間の関係が、スペインのオモロガシオンをする上で大変重要だと気が付いたのはごく最近の事です。それというのも、僕がオモロガシオンをしようと思い、カタラン人の友達に相談した所、大変不思議そうな顔をされたからなんですね。彼曰く、「「工学(Engineering)」のタイトルを持ってるなら、わざわざ「建築(architect)」に振り返るなんて事しなくてもいいんじゃないの?工学のタイトルのままの方が何かと有利だよ」みたいな。
そう、つまり僕が「工学」から「建築」のタイトルに変えるという事は、いわば、上から下へと降りていく事を意味する訳なんです。その証拠に、僕がオモロガシオンをした時、最初の結果が出るまで約6ヶ月、そしてタイトル変換の条件としては「卒業設計」提出のみが課せられました。ちなみに6ヶ月というのはスペインでは信じられないくらい早いスピードで、タイトル変換の必須条件が「卒業設計提出のみ」というのは、コレ又異常なくらいの好条件です。
打って変わって、「造形」のタイトルを持っている友達の場合、最初の結果が出るまでに2年、更に取らなくてはならない授業が山程+卒業設計という通知が来たそうです。それらを全てクリアするのには少なくても3年は掛かるとか。何故なら「造形」から「建築」のタイトルに変換する為には、上に昇らなければならないからなんですね。
今までは漠然とケースバイケースだと思われ、「運が全て」だと思われていた「魔のオモロガシオン」にも、実はこんな裏事情があったのです。
この「魔のオモロガシオン」に挑み、見事にスペインで建築家のタイトルを取得した日本人は今までで2人居るそうです。その内の一人は、以前のエントリで紹介した、バルセロナ近郊の街、サンクガット(Sant Cugat)市で建築事務所U1ARCHITECTSを主宰されている鈴木裕一(Yuichi Suzuki)さんです。以前お会いした時にもこの話は話題に上ったのですが、本当に大変だったと昔を回想されていました。そりゃ、そうだよなー。情報が溢れている今でさえこんなに大変なのに、何にも無い当時(20年位前?)の状況を想像すると、もうそれだけで鳥肌が立ちますね(鈴木さんの奮闘についてはコチラ:地中海ブログ:スペイン公認建築士の鈴木裕一さんにお会いしました)
スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その3:短期滞在と長期滞在に取るべき戦略の違い、に続く。
オモロガシオン(Homologacion)と呼ばれるプロセスは、外国人が自国で取ったタイトルを、スペインで同等と思われるタイトルに読み替えるプロセスで、両国間(両大学間)の授業内容や履修時間などが比べられ、両タイトル間で振り替えが出来るかどうか?がスペインの教育省によって詳細に検討される過程の事を言います。
例えば、パリで建築学部を卒業し建築家のタイトル(architect)を取ったフランス人が、その後スペインで建築家として働きたい場合など、このオモロガシオンを行う事によって初めて異国の地スペインで建築家として働くという事が可能になるんですね。
勿論我々日本人がスペインで建築家として働きたい場合もこの過程を経る事になる訳なのですが、ココで日本人は他の国の人には起こり得ない様な深刻な壁にぶち当たる事になります。それが前回のエントリで書いた両国間における「タイトルの違い」です。教育省にタイトルの読み替えを申請する際の(暗黙の)前提は、建築家だったら建築家のタイトルを、工学だったら工学のタイトルをという様に用に、同じタイトル同士の振り替えが基本とされています。しかしですね、日本人建築家が保持しているタイトルは「工学」(美大系の場合は造形など)です。故に、「工学」のタイトルを「建築」のタイトルに読み替えるという大変不自然な過程が発生する訳なんですね。
「そんな事が通るのか!」というと、勿論「通りません」(笑)。普段は無茶苦茶いい加減で、銀行ですらお金の勘定を時々間違える国、スペインであっても、違うタイトル名くらいは間違え無いらしい(苦笑)。
とは言っても、同じ建築学科ですから授業内容などはある程度似ているので、長―い比較検討期間を経た結果、「都市計画の授業が足りないから履修しなさい」とか、「スペイン建築史は必須なので、取ってください」とか、スペインの建築家教育システムに照らし合わせ、「足りない授業」などが指示され、それらを履修する事によってスペインの建築家タイトルに振り替えが可能みたいなんですね。
僕の周りでも何人かの人達がこのオモロガシオンに挑んで「かなり理不尽な結果に終わった」と言う様な事を幾つか聞いた事があったのですが、色んな人からの体験談を集めた結果、この謎に包まれたオモロガシオンについて、最近分かってきた新事実があります。
先ずスペインでは(というか、日本でもそうだと思うのですが)各タイトル間に暗黙の上位関係が存在します(これは友達のカタラン人に聞いた情報)。例えば医者、弁護士、教授が上位グループで・・・みたいな。そんな感じでタイトルを並べていくと、今回登場した3つのタイトルの順位はこんな感じになります:
1. 工学
2. 建築
3. 造形
これらの間や上や下に医者とか弁護士とか大学教授とか一杯入ってくると思うんだけど、これら3つのタイトルの上下関係は大体こんな感じなんだそうです。
実はこのタイトル間の関係が、スペインのオモロガシオンをする上で大変重要だと気が付いたのはごく最近の事です。それというのも、僕がオモロガシオンをしようと思い、カタラン人の友達に相談した所、大変不思議そうな顔をされたからなんですね。彼曰く、「「工学(Engineering)」のタイトルを持ってるなら、わざわざ「建築(architect)」に振り返るなんて事しなくてもいいんじゃないの?工学のタイトルのままの方が何かと有利だよ」みたいな。
そう、つまり僕が「工学」から「建築」のタイトルに変えるという事は、いわば、上から下へと降りていく事を意味する訳なんです。その証拠に、僕がオモロガシオンをした時、最初の結果が出るまで約6ヶ月、そしてタイトル変換の条件としては「卒業設計」提出のみが課せられました。ちなみに6ヶ月というのはスペインでは信じられないくらい早いスピードで、タイトル変換の必須条件が「卒業設計提出のみ」というのは、コレ又異常なくらいの好条件です。
打って変わって、「造形」のタイトルを持っている友達の場合、最初の結果が出るまでに2年、更に取らなくてはならない授業が山程+卒業設計という通知が来たそうです。それらを全てクリアするのには少なくても3年は掛かるとか。何故なら「造形」から「建築」のタイトルに変換する為には、上に昇らなければならないからなんですね。
今までは漠然とケースバイケースだと思われ、「運が全て」だと思われていた「魔のオモロガシオン」にも、実はこんな裏事情があったのです。
この「魔のオモロガシオン」に挑み、見事にスペインで建築家のタイトルを取得した日本人は今までで2人居るそうです。その内の一人は、以前のエントリで紹介した、バルセロナ近郊の街、サンクガット(Sant Cugat)市で建築事務所U1ARCHITECTSを主宰されている鈴木裕一(Yuichi Suzuki)さんです。以前お会いした時にもこの話は話題に上ったのですが、本当に大変だったと昔を回想されていました。そりゃ、そうだよなー。情報が溢れている今でさえこんなに大変なのに、何にも無い当時(20年位前?)の状況を想像すると、もうそれだけで鳥肌が立ちますね(鈴木さんの奮闘についてはコチラ:地中海ブログ:スペイン公認建築士の鈴木裕一さんにお会いしました)
スペインで働くという選択肢:長期滞在を見込んだ建築家の場合その3:短期滞在と長期滞在に取るべき戦略の違い、に続く。
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