2010.07.29 Thursday
クリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)のエルジェ美術館(Musee Herge)はなかなか良かった
EUプロジェクト交通系説明会2010の初日が思ったよりも早く終わったので、以前から是非訪れたいと思っていたエルジェ美術館に行ってきました。この美術館はベルギーで絶大な人気を誇る漫画、冒険物語「タンタン(TINTIN)」の作者であるエルジェ(本名はジョルジュ・レミ)の様々な作品を公開する事を目的として建てられたミュージアムなんですね。

実はベルギーってヨーロッパでは指折りの漫画大国として知られていて、漫画関係の美術館・博物館などを始め、地下鉄の壁画や街の至る所に漫画が溢れています。以前のエントリで紹介したヴィクトール・オルタ(Victor Horta)が設計したWaucquezデパートなんかは今やマンガ博物館(Centre Belge de la Bande Dessinee)としてブリュッセルの観光名所の一つとして人気を呼んでいる程です(地中海ブログ:ブリュッセル出張その3:アール・ヌーヴォー建築の傑作、オルタ邸(オルタ美術館)を見ていて思った2つの事:ブログ全盛時代の内部撮影禁止事項とヴィクトール・オルタ(Victor Horta)の空間構成力について)。このマンガ博物館には前回の滞在の時に少しだけ行ったのですが、なかなか面白い内部空間の中に世界各国の漫画が紹介展示されていました。日本からはコチラの作品がエントリー:

じゃーん!モンスターの登場!!設定がドイツだし、ベルギーっ子には親近感が沸いたのでしょうか?
さて、今回僕が訪れたエルジェ美術館はベルギー中央駅から電車で約1時間程の所にあるルーヴァン・ラ・ヌーヴ(Louvain La Neuve Univ)と言う大変こじんまりとした都市に位置しているのですが、行き方は非常に簡単で、この町までの直通電車が出ているので切符を買って電車に乗ってればそのまま自動的に目的地まで連れて行ってくれます。料金は確か片道5ユーロ程度で、美術館は駅から歩いて約5分程度の所にあります。駅を出たら表示が出ていますので、それに従って歩いていけば先ず迷う事はありませんね。さて、町中の広場を抜けると、目指すべき美術館の姿が見えてきます:

これがこの美術館の顔なのですが、二つの長方形の箱が少しずつ傾いて並んでいるのが分かるかと思います。今日の建築潮流の中において、建築に「はっきりとした顔がある」、もしくは「ここから見てくれー」って言う建築家の明確な意識が見えると言うのは、この建築の一つの特徴と言えるかと思います。

エントランスを通り過ぎて側面の方へ回ってみるとこの建築の構成が良く分かるかと思うのですが、どうやらこの美術館は大きな多角形の白い箱が2つ並んでて、その間をガラスで繋ぐと言う構成になっている様ですね。


反対側の側面に回ると、各々の白い箱の中には、青、赤、黄色などで彩られた様々な形をした箱が入れ子状になっているらしいと言う事も、ガラスを通して見えてきます。

更に側面に回り込むと、この美術館は段差のある敷地に建っていて、真下には道路が走っている事から、美術館にはブリッジを渡ってアプローチする方法が採られていると言う事が分かるかと思います。

で、美術館を支えているのがこの柱なんだけど、「まあ、何ともアクロバッティブな事やってるなー」と言うのが、第一印象かな。
実はこの美術館を設計したのは、泣く子も黙るフランス建築界の巨匠中の巨匠、クリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)。僕自身、彼の建築を実際に訪れたのは今回が初めてだったのですが、その余りにもアクロバッティブな構成に最初はビックリしたというのが、正直な所でしたね。「あれ、巨匠、大丈夫ですか???」みたいな(笑)。斜めを向いた箱の並び、ブリッジを用いた派手なアプローチ、そしてそれらを支える斜めの柱郡などを見るに付け、「ははーん、この建築は「派手さ」で売っていく最近流行の目立ちたがり屋建築だなー」と一見思ってしまうのですが、ところがドッコイ、僕の目はごまかされません!その事を気が付かせてくれたのがこの空間です:

正面ファサードへと向かうアプローチ空間なのですが、この歩けば数秒も掛らない空間の中に、非常に巧みな空間操作が垣間見られるんですね。

下から見ると良く分かるんだけど、この橋が、美術館の中に展開する幻想世界、云わば、別世界へと入っていく為の準備空間として非常に上手く作用している事に気が付きます。ここが、「これから美術館の中へ入っていくぞ!」と言う気持ちを整える空間となっていると言う事です。そして右手側には、我々を先導するかの様な「パースペクティブが付いた手摺」が一直線に進行方向に向かって延びています。

手摺と言う道標に沿って進んで行くと、先ずは先程の大きな箱の一つが頭の上を覆い尽くす屋根の様な役割を果たす事によって、ひとまずココに親密空間を創り出しているいます。

そしてココからが巧妙なのですが、エントランスを「敢えて」正面には持ってこず、一旦左手側に折れて「奥」へと訪問者を導くアプローチを採っています(そしてここからは目的地(エントランス)が見えない)。 そしてこの斜めに延びるアプローチに従って進んで行くと、まるで天井が我々の道標であるかのように、一直線にエントランスへの道を指し示してくれているかのようです。

ふと右手側を見ると、ショップのガラス面が明るく僕らを迎えてくれます。言わずもがな、ここには「見る/見られる」の関係が成立していますね。エントランスに沿ったガラス面を創り出す事によって訪問者の動きを促進すると言うのは、美術館建築などにおける常套手段かと思いますが、その為にこの辺にカフェやショップを持ってくるのは、なかなか上手い処理ですね。

このガラス面と白色の一直線に伸びた天井、そしてそれらを融合するかのような地面から伸びているオレンジ色の腰壁が「ビシッ」と決まっている。
上手い!非常に上手いアプローチ空間です。コレだけ見ただけでも、この建築が只者ではない事、そしてこれを設計した人のデザイン力が相当のものである事が垣間見られます。一見、ファサードの傾いた長方形とか、ドバっと出たキャンチレバーを支える支柱のアクロバッティブな構成とかに騙されて、「あー、遅れてきたポストモダンねー」って言う感想で終わりがちなのですが、僕の目は誤魔化されません!!!フランス巨匠の力、しっかりと見させてもらいました!!!


さて、今回僕が訪れたエルジェ美術館はベルギー中央駅から電車で約1時間程の所にあるルーヴァン・ラ・ヌーヴ(Louvain La Neuve Univ)と言う大変こじんまりとした都市に位置しているのですが、行き方は非常に簡単で、この町までの直通電車が出ているので切符を買って電車に乗ってればそのまま自動的に目的地まで連れて行ってくれます。料金は確か片道5ユーロ程度で、美術館は駅から歩いて約5分程度の所にあります。駅を出たら表示が出ていますので、それに従って歩いていけば先ず迷う事はありませんね。さて、町中の広場を抜けると、目指すべき美術館の姿が見えてきます:




反対側の側面に回ると、各々の白い箱の中には、青、赤、黄色などで彩られた様々な形をした箱が入れ子状になっているらしいと言う事も、ガラスを通して見えてきます。

更に側面に回り込むと、この美術館は段差のある敷地に建っていて、真下には道路が走っている事から、美術館にはブリッジを渡ってアプローチする方法が採られていると言う事が分かるかと思います。

実はこの美術館を設計したのは、泣く子も黙るフランス建築界の巨匠中の巨匠、クリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)。僕自身、彼の建築を実際に訪れたのは今回が初めてだったのですが、その余りにもアクロバッティブな構成に最初はビックリしたというのが、正直な所でしたね。「あれ、巨匠、大丈夫ですか???」みたいな(笑)。斜めを向いた箱の並び、ブリッジを用いた派手なアプローチ、そしてそれらを支える斜めの柱郡などを見るに付け、「ははーん、この建築は「派手さ」で売っていく最近流行の目立ちたがり屋建築だなー」と一見思ってしまうのですが、ところがドッコイ、僕の目はごまかされません!その事を気が付かせてくれたのがこの空間です:




そしてココからが巧妙なのですが、エントランスを「敢えて」正面には持ってこず、一旦左手側に折れて「奥」へと訪問者を導くアプローチを採っています(そしてここからは目的地(エントランス)が見えない)。

ふと右手側を見ると、ショップのガラス面が明るく僕らを迎えてくれます。言わずもがな、ここには「見る/見られる」の関係が成立していますね。エントランスに沿ったガラス面を創り出す事によって訪問者の動きを促進すると言うのは、美術館建築などにおける常套手段かと思いますが、その為にこの辺にカフェやショップを持ってくるのは、なかなか上手い処理ですね。

このガラス面と白色の一直線に伸びた天井、そしてそれらを融合するかのような地面から伸びているオレンジ色の腰壁が「ビシッ」と決まっている。









































